「ダンジョンアーティファクト」は面白いです


まず始めに感想

価格1200円でお安く、品質はとても良いし、ゲームデザインはしっかりしている。インディーズでこんなの作れる人凄いなという感想
僕は仕事でしかゲームを作れない、作ったことがないので純粋にこういう才能に憧れる

元にしたであろうStS(Slay the Spire)はアセンション上がっていくととにかく辛いゲームになるんだけど、コイツはインフレデッキでコンボガンギマリで脳がハッピーみたいな方向性に(たぶん)振っていて快感全振りみたいなUX
ストイックなジャンルと思わせておいて異世界転生チートプレイゲーのようなゲーム体験である

製品版はステージのボリュームや多彩なキャラクター性能などの方面に充実してくれると嬉しいなぁと思う

概要

ジャンル:ローグライクデッキ構築型ゲーム

一言でいうと:Slay the Spireの忠実なフォロワー

お値段:早期アクセス1200円(6/12時点)

マネタイズ

アーリーアクセスで1200円。買い切り。追加の有料コンテンツは今のところなし
Steamはセールが多いので3割引きになれば4桁切って840円

フック

ストアページは良くも悪くも正直なゲーム説明に終始している
「このジャンル好きなら」気になるかなという内容
その一方でゲームのバランスとレベルは相当イージーに設計されていて、このジャンルのつまみ食いユーザーがメインターゲットになりそう。
一方でコア層はゲーム性を「浅い」と感じるだろう

リテンション

ローグライクらしい高いリプレイ性がある
ただし「今のところ」の評価
なぜ今のところなのかというと、デッキビルド面に不安があるから
具体的には
・特定戦術が非常に強い傾向にあり他の戦術に目を向けにくい
・ピックアップできるカードが良くも悪くもきれいにバラついているので「プランBを採用せざるを得ない」という状況が起きづらい

カードの種類数はかなり豊富だし戦い方の幅はあると思うのだけど…活用できていない印象

ゲームループ

インゲームは四角マスのマップを移動しながら敵と戦うタクティカルSLG風ステージでSlay the spire式バトルを行う形式

深層部を突破すると終了で、スコアに応じたトークンが得られる
このトークンで各キャラ(今のところ2名)の追加カードのセットを解放できる
解放できるカードは単純に強いとか便利というわけではなく、クセが強く、特定のビルド向けにチューンされたものがメイン

初回クリアで2人目のキャラが解放。2人目をクリアすると1人目の難易度ハードが解放。さらにクリアで2人目のハードが解放される。(アーリーアクセスはここまで)

追加カード解放は結構な周回が必要なのだけど、ベリーハードとかボス違いの新たなダンジョンなどが現状ないのでハードぐるぐるしないといけない。
その周回ではプレイフィールに変化が乏しいのでゲームループ的にはここが弱点。
デッキ構築の偶然性、プレイごとに異なるカードが手に入るようにして、異なる戦術を試せるようにする仕掛けや
ステージ進行の揺らぎ、攻略性の大きく異なる中ボスがプレイごとに変わる仕組みやイベントなどリプレイ性を担保する要素があると良さそう

その上で、解放したカード群で新たな戦術が組めると楽しく周回できると思う

難易度が緩めの割に最深部クリアまでの時間が長い(Slay the Spire比較)

サウンド・グラフィック

カジュアルなイラストにポップなサウンド
雰囲気で遊べるような趣なのが好印象

ユーザービリティ

ステージ選択中画面でデッキを確認する方法が見当たらなかった
この画面はデッキをどう変えていくかを考えながら進路を選択するフェーズでデッキ内容を確認したい場面が数多くあったので不便に感じた

バトルの処理(≒発動したカード処理)は処理順オートがあったり、確認を任意にできたり、遊戯王MDかってくらい気を遣っている 
ここをテンポよく処理してくれるのでバトルのストレスは殆ど無い
(唯一つらいのは決定ボタンまわりくらい)

カードとゲームデザイン

種類数は非常に多い(まだ全部ゲーム中に見れてない)
多いけど使える/使えないはわりとハッキリしている
カードゲームの定番でドローやサーチは強い
カードシナジーは露骨なくらい分かりやすい
2人目のキャラで「手札コストにドロー」と「ディスカードをトリガーに効果」のコンボはプレイすれば全員が最初に気づく
しかもドローソースのコストが安い。0とか1とかで、これが2人目キャラが異様に強い原因のひとつ

カードのタイプも一通り用意されていて
発動すれば戦闘中永続効果のパーマネント
なにかのカード発動に重ねて発動できるカウンター(遊戯王ならチェーン、M:tGならスタック処理相当)
敵の、特にボス敵の強力な攻撃への対策用のカウンターカードは強力かつ有用で「保留」効果のアーティファクトがあると保険的に使えるようになる

このゲームはStSと違って位置取りと攻撃範囲の概念があるため敵の攻撃がかなり強めに設定されている。回避するかバリアを積んで耐えるのが防御の基本だけど移動はかなり制限が厳し目。逃げるとこちらも攻撃が届かないので、受けて返せるカウンターは戦術が広がる

パッシブ効果を付与するアーティファクト(StSのレリックに相当)はデッキに組み込まれないカードで、これも撃破時や宝箱からのカードピックで出現する
明確なぶっ壊れ性能アーティファクトがある、というかアーティファクトの半分以上が強い(体感)

これらのカードの単体のパワーの強さとシナジーが容易であることが重なってデッキパワーが加速度的に上昇するようになっている。非常に現代のスマホゲーム的デザインで、エネミー側も同じように(HPなどが)目に見えて強敵になっていく。その敵のインフレに負けないようなデッキパワーのインフレを目指すのがこのゲーム



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