仕事の速さとクオリティのバランスのとり方

自分の仕事の進捗を自分で管理するのは難しい。誰だって自分に甘くなるし、締切もクオリティも妥協しがちだ。

でもこれを精神論で乗り越えようとするのはお勧めしない。人間は堕落する生き物だし、心をいつも強く持てるわけではない。

自分のタスクやスケジュールを管理する良い方法は、良いルーティンを習慣化することだと思う。習慣化して「がんばろう」とか「意識高くしよう」とか「期日は守らなきゃ」みたいな心の余裕を奪う思考を不要にすること。

良いルーティンというのは人それぞれだと思うけど、自分の方法を紹介しておこうと思う。もし性に合ったらなら幸いである。

例によってゲームの仕様書を書く場合で話をすすめると、まずやることは

「全体を組み立てて、見通しできる文書を書く」

ということ。

今日日のゲームプランナーはいろんな仕様書を書く。運営案件のイベント仕様を書くこともあれば、開発案件である機能の仕様を書くこともあるし、もっと大きい括りでゲーム全体のデザインを記述することもある。

なんにせよ、最初に書くのは「ここからここまでについて、おおよそこういうことを書くぞ」という全体像。粗いやつだと本の目次くらいの箇条書きを羅列するくらい。

というか、ここは粗いやつで十分で、細かいことは後から書けばよい。この段階では「後から細かいことを書く」がとても大事で、とにかく「全体はおおよそこんな感じで、こんなことをやって、こうなって最後にこういうふうにする」っていう俯瞰できるものを書いておく。(最悪、自分以外の誰かがこれを読んで跡を継いでくれる)

全体像を俯瞰したら、次に「最短距離、最短時間で最低限必要なことを全て書ききる」ということをやる。ここは一番集中力を使うべきところ。できるだけ他の作業はやらないほうが良いし、邪魔が入りそうなら可能な限り予め排除しておく。会議とか同僚からの質問とか電話、メール、チャット、そういう思考を切ってしまう要素を無くす。許されるならヘッドホンをしてもいい。

この段階で目指すのは、完成だなと思う水準の8割くらい。

これを、全行程の30%~50%くらいの段階で済ませる。遅れてもいいけど、早ければ早いほど良い。同僚のアフターの誘いを断ってでも、趣味の時間を削ってでも、この時だけは仕事を優先する。僕の場合は、食事の時間が不規則になって、残業がそこそこ増える。

なぜ8割を目指すのかと言うと、それ以上のクオリティは時間に見合わない(事が多い)から。そして8割の出来なら仕事を褒められることは無いかもしれないが、ダメと言われることもほぼ、無い。

与えられた日程の前半で、仕事の8割が出来上がり、あとはクオリティアップや漏れ抜けを探して潰していくという流れが作れたら、残りの日数は自由に過ごす。

もうアクセルは踏まなくていい。

ゆっくり働いてもいいし、自分のやりたいこと(仕事)をやっても良いと思う。もちろん、より高いクオリティを目指して引き続き頑張ってもいい。少しでもブラッシュアップにつぎ込むというのも良い選択だと思う。時間は無限ではないのだから。

こうして、「いつでも出来上がった」といえる状態を作りつつ、期日までは自分の好きなようにクオリティと自分の体力、精神力をコントロールする。休める時に休むことは、安定して良い仕事をするために必要なことで、ゲームプランナーとして長いキャリアを考えたいなら少しずつ意識していくといいと思う。


補足

とはいえ最初のうちは、全行程の30%の段階で仕事の8割を終わらせるなんて出来ないと思うはず。そもそも自分に見合わない量のタスク積まれすぎて終わるわけねぇ、とか。(デスマは除く)

そんな場合は、とにかく予定よりも早く進めて、全体をざっと作っておく。早くするために(後でどうにかするから)多少クオリティは犠牲にする、ということから始める。

うまく出来なくてもとにかく上述のような段取りを繰り返す。くり返した分だけ必ず要領は良くなるので諦めないで1,2年くらいは続けてみると良いとおもう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?