【フランス生活】原子力発電所
ランスからアリエ県に帰る途中のこと。
「目の前のあの雲は、原子力発電所の冷却施設から出ている湯気だよ」と夫が教えてくれた。
近くに原子力発電所があること自体、思ってもみなかった。
いや、聞いたことがあったかもしれないけれど、雲と結び付けたことがなかった。
そういう目で雲を見たこともなかった。
どの雲?と探してみると、だんだんはっきりしてくる。
なるほど、出所のある雲がある。
フランスには54の原子力発電所があるという。
近づいてくると、だんだん雲のはじまりが見えてきた。
意外と近い。
普段わたしはなんとぼうっと生きているのだろう。
言われなければ、その雲に出所があることも、それが原子力発電所ということも気が付かなかった。
冷却施設の湯気だから、ただの水でなんの危険もないそうだけれど、ものものしい感じはある。
一度気になると、ずっと見続けてしまう。
電力を他の国に依存しないために、フランスは原子力発電を選んだ。
この雲は、発電所の安全を守った水が役目を終えて空に昇ったのだ。
ものものしいけれど、大切。
思うことはいろいろあるけれど、大事な水が役目を終えた姿なのだと、窓から見えなくなるまで見続けた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?