【フランス生活】愛犬シラノの老い
土曜日にちょっと良くない兆候があって、すぐに電話して予約、夫と一緒に動物病院に連れて行った。
血液&エコー検査。
脾臓に腫瘍が出来ているとのこと。
知らないフランス語ばかりで、夫に聞いたりネット検索したりしながら、話に置いていかれそうになるのを、やっとのことでついていく。
「脾臓摘出手術」という一語のフランス語があるだなんて、これまで一度も考えたことすらなかった。
話しを総合すると、脾臓に腫瘍ができていて、治療方法は脾臓の全摘出しかない。でももし肝臓や肺に転移していたら、そこは摘出できないので、手の施しようがない。ということらしい。
脾臓全摘出か、なす術なしか。
月曜に朝から飲食禁止で再検査ということになった。
家に帰ってから、日本語で存分にネット検索する。
必要そうな言葉や獣医さんに聞きたいことをフランス語に翻訳してリスト化。
再検査の後は、シラノにとって大事な決断を、早急にしなければならないのだ。
人間の1年が、犬の7年とも8年とも言われるけれど、ガンの進行も早い。
ガン細胞の分裂増殖にかかる時間が人間だと30日のところ、犬は2~7日なのだとか。速い。速すぎる。
土曜日にすぐ病院に行ってよかった。
シラノは11歳と8カ月。同じ病気に6歳でかかる子もいて、予防不可能とのことでもあるので、いたずらに自分たちを責めることはしないことにする。
海にも毎年行ったし、山にも森にもよく行った。
田舎のバカンスも存分に楽しんだ。
夫と話しながら、自分たちの心をなぐさめる。
抗生物質や抗炎症剤を注射してもらい、シラノの状態は安定している。
少し疲れているようではあるけれど、ずっと一緒にいるので満足そうだ。
いつものように幸せな一日。
今が幸せ。それだけでいいのかもしれない。
今、シラノを動物病院に預けてきたところ。
午後のはじめに検査結果が出たところで迎えに行く。
顔見知りのスタッフさんに連れられたシラノは、なんだか楽しそうだった。
「親の心子知らず」と言うけれど、それでいいのだ。
こちらの心配を知られたら、どれほどか憂鬱にしてしまうことだろう。
どうか知らずに、のんびり過ごして欲しい。
シラノを不安にさせず、できるだけ幸せな、いつも通りの気分でいてもらおうじゃないか。
「今こそ腕の見せどころだぞ」と自分に言い聞かせる。