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【フランスで犬と暮らす】2週間留守にする朝
今晩日本に向かうという朝、いつものようにシラノの散歩をさせるけれど、いつも通りにならない。
数日前からスーツケースを出しているから、そろそろ日本行きなのはシラノもわかっている。
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外に出ようとしたら大雨で、中庭だけにしようかと、甘い考えを起こしたのもいけなかった。
中庭でまず泥だらけ。
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写真ではわかりにくいけれど、これがわたしの犬?というくらいに黒い。
出発前にシャワーかあと思いながら、拗ねてくれるところも愛おしい。
結局、中庭では終わらずに雨の中大回りで散歩に行き、真っ黒なシラノの全身を洗い、出発の前に一仕事だった。
こんなやりとりを10年、年にほぼ2度ずつ。
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シラノを迎えることにしたとき、人に預けても平気なように育てようと決め、小さい頃から他の人にも懐くように心がけた。
その甲斐あって、預けるどこの家にも懐き、可愛がってもらった。
でも、長期の不在には不満があるらしい。
日常のちょっとした外出のときは、帰りを大歓迎して迎えてくれるのに、日本から戻ると嬉しそうではあるものの、ちょっとそっけなくされたりもする。
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わたしがいない間はいつもより多めに散歩できたり、いろいろな人と会えたり、ご馳走を分けてもらったり、むしろ待遇はいいのだ。
それでも不在を拗ねてくれるなんて、そんなことをしてくれるのは世界中探してもシラノだけではないか。
海外で犬を飼うとお互い寂しい時間もあるけれど、再会の喜びもある。
たぶん離れた時間が愛を育てるのだと、言い訳しながら今回も日本に向かう。
元気で待っててね。