ヴィパッサナー瞑想の記録
※2023年8月に参加した際の記録です。
当時書き留めていた日記をnote用に編集しています。
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8月を迎えて26歳になるわたしにとって、人生観を大きく変える出来事があった。ヴィパッサナー瞑想の10日間の合宿に参加したのだ。
わたしの周りには、偶然にもヴィパッサナー瞑想の経験者が多かった。
パートナーは3回瞑想センターに行ったことがあり、よく勧められていた。
いつか参加できたらと思っていたら、仕事を辞めることになり空白の時間ができたので、絶好のチャンスだと思った。
10日間のあいだ、携帯や本、人とコミュニケーションを取ることなど、外部とつながる手段が一切断たれた。それは、日常を彩る娯楽もないということ。ただ、ひたすら瞑想だけをする。
滞在中、何度帰りたいと思ったことだろう。
経験者からは「すごくいい体験だったから、参加するといいよ」と聞いて期待をふくらますような情報しか受け取っていなかった。実際は、信じられないくらいの足の痛みと人とコミュニケーションが取れないことによる苦痛感との激しいギャップに苦しんだ。最初の4日間は、どうやったらここから抜け出せるだろう・・?と冗談抜きで考えを巡らせていた。
瞑想に対しての好奇心や期待、あるいは不安、恐れ、いろいろな感情が溢れてきて、心は渋滞してぐちゃぐちゃになっていた。
そんなとき、わたしの師である小木戸利光氏がかけてくれた言葉を思い出す。
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「変容すると決意したとき、その瞬間はひとりでその道を歩まなくてはならない。」
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そう、わたしは変容したくてここにきたんだ。一番の目的を思い出した。どうしても、どうしても、乗り越えられない自分の弱さを手放したかった。
一人で瞑想しているあいだ、不思議なことにたくさんの存在とのつながりを感じた。自分の心と身体のつながり、あるいは次々と頭に浮かんでくる、大切な家族や友人の顔など。わたしはひとりぼっちなのではない、と気づく。
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ある日、心が鉛のように重くなった。息がうまくできない・・。
それが何時間も続き、心が折れそうになって、ちゃんと瞑想できてるのか不安に襲われた。
指導者に質問できる時間があったので、尋ねてみた。
「心が重たくて、集中できません。これは瞑想によるものなのでしょうか?」そう聞くと、指導者は穏やかな表情を浮かべながら、「それは瞑想がしっかりできているということなので大丈夫ですよ。みなさん通ることなので、安心して続けてくださいね。」と声をかけてくれた。
至福の時間
わたしは瞑想以外の時間、宿舎の傍にあるベンチに腰掛けて、風で流れゆく雲のようすや、花から花へ活発に移りゆく蜜蜂、木々のすべて異なる多様な緑を一個一個追うように観察していた。
その時間は、心が安らぐ至福の時間だった。
夕方、日が沈む頃の景色には毎日自然と涙が流れるほどこころを動かされた。わたしは、この時間、この瞬間を五感全部で味わうために生きているのではないかと思うほど。
また、ある日いつものようにベンチに腰掛けてぼーっと外を眺めていると、こんなことを思った。
「雲はいつ見ても、まったく同じ形をしていない。だから、毎日見ていても飽きないし、感動するんだ。わたしたち人間も、忙しなく感情や思考が行き来する。考えていることも、気分もすぐに移り変わる。だから、この大自然のようにわたしたちのいのちは尊くて、うつくしいのだ。」
痛みの解放、突然身体とこころが軽くなる
8日目に、突然全身で何かが弾けるような感覚が起こった。たくさんの涙と一緒に身体中の重さ、特に心の重さが流れ出した。
午前中の瞑想を終えて、あまりの身体の軽さに驚いてしばらく動けなかったので、その感覚をゆっくりと味わった。
この10日間の体験が一体なんだったのか、理解が追いつかないまま家に帰ってきた。
見慣れた景色や空間への感じ方が違うことに気づく。いつもの道を歩いていても、身体が軽いし、頭がクリアになっている。
その日の晩に、わたしは神秘体験をした。
パートナーと暮らす家に帰り、10日ぶりに一緒の布団で寝る。
10日間誰とも触れ合っていなかったわたしは、信じられないくらいの多幸感に包まれた。
肉体を持ってこんな感覚って味わうことができるのか・・というくらいに、現実離れしたうっとりとするような時間だった。まるで、ふたりともうすくて白い繊細なベールに包まれて、「大丈夫、安全だよ」と言われているような安堵感を感じた。今までの人生で感じたことのない安心感を覚えて、急に大声をあげて泣き出した。赤ん坊のように・・・。
この体験を通して、自分という魂が守られていること、この肉体をもって生きているということが神秘で満ちていて、奇跡であるということを知った。
わたしの源、いのちの根源とつながるということ。
わたしは、瞑想で味わった体験について、自分の身体をつかって表現しようとこころに誓った。
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