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『ゴスレ』がちゃんと男性ウケしてる話

 「現在2、3割しか来ていない男性のお客さんを増やしたい」と明確なターゲットを見据え、鳴物入りで始まった劇場四季の新作オリジナルミュージカル『ゴースト&レディ』。東京初演は大盛況のうちに幕を下ろし、もう既に次の名古屋公演もチケットが入手できるか心配なくらいの人気作になっている。先日の配信も大盛り上がりのようで四季大好き民の私としては非常に嬉しい。

 さて、そこで気になったのが当初四季が掲げていた「男性の集客アップ」である。果たして男性に刺さったのだろうか?
 ということで、被験者として観劇経験が殆どない当方の伴侶と『ゴスレ』の配信を見た。
 ちなみに伴侶はこのような趣味嗜好の人だ。↓

 結論から書けば『ゴスレ』は旦那にクリティカルヒットした。どれくらいヒットしたかといえば配信期間は毎日配信を視聴し、配信が終わってからは毎日CDを聴き、以前知人が観劇のお土産にくれたゴスレのパンフレットを読んだりYouTubeを漁るなどし「これは『からくりサーカス』の人じゃないか」「デオンは実在の人物なのか」「名古屋公演はいつからなのか」「できれば月イチで見たい」「初演と千秋楽も見たい」等、どハマりした人が言いそうな挙動をし、台詞を言っている。『ジーザス・クライスト=スーパースター』にハマった時もだいぶ興奮した発言が見られたが今回はその比ではない。

 ということで今回は聞き出さなくても勝手にお気に入りポイントをたくさん話してくれたので以下にまとめてみた。

・仕掛けがいっぱいあって楽しい
 ワイヤーアクション、マジック、プロジェクションマッピング等、演出の派手さに見応えがあったようだ。デオンが浮いているところや幽体離脱、壁抜けなどが純粋にすごくて面白いとのこと。「不思議な絆」の星空がバァーッと動いていたところや影を使った演出なども見応えがあったらしい。

・演技がアツい
 俳優さんたちの絶唱、殺陣などの迫力が良かったそう。伴侶は音圧を感じたいタイプなのでバンバン歌いあげてくれるナンバーが多いのが気に入っているようだ。エイミーのナンバーも芝居がよく溶け合っているし、ヴィクトリア王女のシーンも歌と芝居の楽しさで目も耳も楽しいよう。

・アンサンブル探しが面白い
 これは配信で何度も見られる環境にあったからだと思うのだが「フローの母親役の人がヴィクトリア女王もやってる」と教えたら「じゃあフローの父親も他のシーンに出ているのか」と父親役の平良さんを探し始め「ここにフローのお姉さんもいる」「この人は他のシーンでどこにいるのか」とアンサンブルの動向を探り始めたので驚いた。「アンサンブルの人は他の演目にも出てるんだよね?」と聞かれたので他演目のプリンシパルがいっぱいいること、どの演目も団内オーディションがあることを教えたら驚いていた。そうやねん。四季みんなスターやねん。

・曲がいい
 ナンバーが多いよね、と言っていたので「そこまで多い方じゃないと思う」と返事をしたがよく考えてみたら2枚組CDは久しぶりではなかろうか。伴侶は音楽が好きなのでいい曲をたくさん使っていることに好感触だった。『偽善者と呼ばれても』の四重唱のところでデオンとグレイのモチーフが織り込まれているのも聞き応えがあって良かったよう。一番お気に入りの曲は「あなたの物語」とのこと。イントロから好きらしい。
 我が家は一家揃ってそれぞれ音楽好きなのだが洋楽が好きな伴侶、レゲエとラップが好きな息子、JPOPとV系が好きな娘も全員「曲がいい」と言っているので広く好かれる音作りになっているのではないだろうか。すごいねー!

・ストーリーが分かりやすい
 『JCS』も相当好きな伴侶であるが、見る前に知識が必要なそれに比べ、ストーリーが追いやすくて見やすかったそう。曰く「『JCS』は芸術作品的で見る人を選びそうだけど『ゴスレ』はミュージカル初心者にもとっつきやすいと思う」だそうだ。展開が早いのでダレないと言っていたがこれはエピソードがこれだけ詰まっていながら場面転換がスムーズでアニメ的見せ方が無茶苦茶うまいスコット氏の手腕だと思う。ラッセルと影の使い方がうまいのよ。

 そんなわけで『ゴースト&レディ』はちゃんと狙い通り男性層の取り込みに成功していると思う。あとこれは伴侶の場合だけかもしれないが家で気楽にとてもいいカメラ割りで見られた、というのは大きい気がする。そう考えると昔NHKでよく劇場四季の作品が放送されていたが今こそこれを復活させるといいかもしれない。

 私は『バケモノの子』も男性向けだしとても好きなので過日の大阪千秋楽の配信も一緒に見れば良かったなぁと少し後悔している。こちらも劇場で男性客を見ることが多い。

 劇場四季、ちゃんと狙い通りの結果が出せてすごい。

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高矢 色
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