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タガーって自ナンバーで見る隙なくない?という話

『キャッツ』静岡公演が千秋楽を迎えてしまった。広島公演開幕まで長い。いや、開幕したとて広島公演へ行く予定は今のところないのだが四季の「週間キャスト」に『キャッツ』がないのは寂しい。

 というわけでラム・タム・タガーである。

 『キャッツ』の年パスがあったら迷いなく購入するタイプのファンの皆様ならお分かりいただけると思うが、ラム・タム・タガーのナンバーはあまりにもタガーを見るタイミングがなさすぎではないだろうか?

 イントロが流れ、タガーが現れる。ここで早速「キャー!」と黄色い声をあげる3ガールズを見てしまう。
 そのあとタガーがあの長い足をカッコよく蹴り上げるところはどうしても見たいのでなんとか見ようとするが、ランパスキャットは好き勝手やっているしシラバブとコリコパットは仲良く遊んでいるしマンカストラップは死んだ目でタガーを見つめているしあれだけキャーキャー言っていたジェリーロラムは最後「もうええわ」と言わんばかりに後方に下がるのも見どころだしタガーを囲む女子たちもそれぞれわちゃくちゃと楽しい。
 タガーに避けられたディミータにボンバルリーナがアイコンタクトをとって曲線美を生かした悩殺ダンスとその後ろでコリコパットとスキンブルシャンクスが頭をグルングルン回すところは絶対に見なくてはならないし、そこを見るとそのままコリコとスキンブルのやりとりも見たい。
 タガーがお客さんとダンスするところはお客さんの表情とリアクションも見たいし舞台の上にいる猫たちも見たい。特にランペルティーザーは見逃せない。
 「こいつは厄介!」とタガーを厄介者扱いする非モテ猫ズの動きも目で追ってしまう。タガーにハイタッチ(ロータッチ?)されて肘掛けにされるところも毎回やかましく見せてくれるし「♪寒い時には〜」でいきなり踊り出すところも見逃せない。ところであのダンス、バリバリにカッコよく踊った直後なんで急に尻を見せつけてくるのか。いつも「急に尻だな」って思いながら見てしまう。いやいいんだけども。

 そんなこんなでこのナンバーはタガーを見る余裕が全然ない。じゃあ逆にどこでタガーを見ていたかな?と思い出してみるとジェリクル舞踏会で上手2階に現れた時の「全く何にもしないのさ」は欠かさず見ている。まったく何にもしてないタガーを欠かさず見ているとかどういうことなの。でもなんだかあそこのタガーは表情が好きで見てしまう。
 それから鉄道猫のナンバー「♪個室の特別寝台は〜」でいつも隣のギルバートとペアのシラバブに迷惑をかけるところはちゃんと見ている……いや、そう見せかけて実質ギルとバブちゃんを見ている気がする。ここのギルは隣のランパスからも絡まれているのでその受難っぷりを堪能している。ギルはそのうち「受難猫」というナンバーが出来ればいい。

 GRCでバグパイプを吹くタガーも可愛くてついつい見てしまうがそこは推し猫であるランパスキャットと舞踏会の支度を!と言い放っておきながら急に違う話を始めたマンカスの動向を見守ってしまう。最初にポップコーンを食べながら出てきてマンカスのイキリ顔に血相を変えて去っていくタガーの心情はまさに私の心情だ。どうしたんだろって思うよねぇ、分かるわぁ。

 そんなふうに自ナンバーではなかなか注視できないタガーだが、グリザベラがメモリーを歌っている時、背を向けているタガーは見守ってしまう。タガーは最後までグリザの方を向かない。そしてラスト、オールドデュトロノミーのところにいざなう最後の一手を担う。
 解釈は色々あるのだろうがタガーはグリザのことを初めから特別視していないと思っている。つっぱり猫なんて言われているが、自分軸を持って、みんなの頼れるお兄さんのようなオカンのようなスタンスで周りをよく見ているからグリザが疎まれているのもずっと思うところありながら見ていたのだろう。だからみんながグリザをジェリクルと認めて手から手へと渡していくのを見て感動しているのだと勝手に思っている。あのシーンは自分が紹介した仲良しのミストフェリーズがみんなの前でマジックを成功させてデュト様を助けた、という嬉しい出来事の後だということもあるし、昂る気持ちもひとしおだろう。

 こう書いてみるとタガーのことは自ナンバー以外でわりと見ていることに気づいた。しかしやはり自ナンバーがいちばんの見せ所なのだろうから次に観劇するときはもう少しタガーに注視してつっぱり猫のナンバーをみようと思う。

 さよならまた会おう、とスキンブルシャンクスと約束したので、きっと必ずチケットを取るよと思いつつ、隙を見て『バケモノの子』のチケットを取りながら過ごそうと思う。

 

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高矢 色
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