『ウィキッド』のオマージュの話

 ミュージカル『ウィキッド』に他作品のオマージュが存分に散りばめられている話は有名だ。
 原作オマージュとしては劇中ナンバーである『魔法使いと私』『自由を求めて』などでエルファバが歌う「♪できるわ、かならずできるわ」というフレーズが、映画『オズと魔法使い』のテーマソング『虹の彼方に』の歌い出し「♪Somewhere over the rainbow」の音階と一緒であるというのは知っている方もいると思う。

 こういった気付くと楽しいオマージュがたくさん散りばめられているのも『ウィキッド』の好きなところのひとつである。

 他に公式から言われているものだと、フィエロが上手袖からロープで登場するシーンが『ライオンキング』でヤングシンバがいきなり成長して現れるシーンの再現、婚約発表シーンのグリンダの動きが『エビータ』、フィエロがランプを持ってエルファバと共に森をさまようシーンと、ネッサローズの部屋の鏡からエルファバが登場するのが『オペラ座の怪人』、ボックが民衆に魔女狩りの扇動をするシーンが『美女と野獣』、洞窟でフィエロとエルファバが愛を確かめ合うシーンが『アイーダ』なのだそう。前回見た時に『アイーダ』は気づかなかったので次に見る時はきちんと意識して見たい。

 パンフレット等で他にもあるかもね、と言われているので私はまだきっと「隠れオマージュ」があると疑っている。個人的には一幕のナンバー『ポピュラー』は初演グリンダさん繋がりで『キャンディード』のアリアのオマージュじゃないかと思っている。あとここまでロイドウェバー作品が入っていて『キャッツ』がないのが解せないのでどこかにある筈だとうたがっている。さぁ、探せ!である。
 ロイドウェバー作品でいえば『オペラ座の怪人』からふたつもオマージュされている。好きなのだろうか。だとしたらダンスホールで階段上からエルファバが出てくるシーンも同じく『オペラ座の怪人』の仮面舞踏会のオマージュだったりするかもしれない。いや、『ジーザス・クライスト=スーパースター』の「ここは私の祈りの場だァァァアー!」かもしれない。いや……まぁよくある構図だよな、とも思う。惑わせるぜ『ウィキッド』……。

 『アイーダ』のオマージュと言われているフィエロとエルファバのラブシーンは『ノートルダムの鐘』でカジモドとエスメラルダが鐘撞堂の手すりの上でそのまま再現していると思うのだがどうだろう。だとしたらオマージュのオマージュ?ちょっと面白い。

 あとオマージュとはまた違う話だが、劇団四季は『ウィキッド』上演以降、他作品でもピアニッシモとクレッシェンドのメリハリが今まで以上にハッキリするようになったと感じるのだがどうだろうか?四季の「演じた手法はバリバリ他でも活かして行くぜ!」という気概が伺えて心強い。

 まだ今回の再演は見ていないので観劇した方々のレポを見て楽しんでいる毎日である。どうしても家族に見せたくて取ったチケットまで日にちがありまくるので、なんとかシレッとチケットを取ってひとりで観劇に行きたいものだ(抜けがけ)。


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