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私鉄最高級の空間を体験「スペーシアX コックピットスイート」乗車記

東武鉄道が浅草駅〜東武日光駅・鬼怒川温泉駅間で運行する
新型特急「スペーシアX」コックピットスイートに乗車しました。

コックピットスイートは浅草寄り乗務員室に面した
私鉄最大の広さ11㎡の個室は1編成に1部屋しかないプラチナチケット。

私鉄最大の広さ11㎡の個室

特急券を含めると2万円を超える高額なチケットだけに迷いましたが
これも何かの縁と思い、乗車5日前に浅草駅の窓口で購入。

立派で細長いスタイルの東武浅草駅

個室空間で移動する魅力やスペーシアXの良さ、乗車して気づいた
メリット・デメリット・感想などみなさまにお伝えできればと思います。
楽しみすぎて色々調べた結果、ボリュームのある記事になりました…

1.東武鉄道の日光特急

東武鉄道は関東1都4県で12路線を運営する大手私鉄
総営業距離は近鉄に次ぐ国内2位の約463.3km。

東武スカイツリーライン・伊勢崎線など主要路線では
代表的なスペーシア、りょうもうなどの特急列車が運行。

100系 スペーシア(DRC塗装)

関西住みとしては近鉄に似ているような印象を持ちました。
この先入観が後々、ややこしさをもたらすことに…

さて、東京浅草ー日光・鬼怒川エリアで運行される特急列車は
従来の100系スペーシア、分割併結可能な500系リバティ、
今回乗車するスペーシアXなど多様な車種で運行されています。

分割併結可能な500系リバティ 福島県 会津田島まで走行可能

日光輸送は国鉄(旧JR)と熾烈な競争を繰り広げた歴史ある区間。
両社の仲は良くなった?が競争のおかげで現在も
高品質の輸送サービスの恩恵を受けることができます。


2.新型特急スペーシアXとは

スペーシアX(N100系)は2023年7月より運行開始した新型特急。
東武鉄道 浅草駅から東武日光駅・鬼怒川温泉駅間で運行。

通常座席からラウンジ・個室まで6種類の豊富な座席ラインナップ
スペーシアXの乗車には乗車券のほか特急券が必要
座席ラインナップが豊富になった一方、特急料金体系が複雑に。

浅草〜東武日光は¥3,340〜¥21,340と幅広い料金体系

スタンダード/プレミアムシート特急料金のほか
個室・ラウンジ利用の場合は特別座席料金が必要。

現在は1日約6往復。運行当初に比べれば予約しやすくなりましたが、
朝夕の観光に便利な列車や週末にかけて個室を中心に満席になるようです。

乗車日の空席状況、すでに個室は全て満席になっていた

主要駅の特急券発売窓口・web・旅行会社などで予約購入可能。個人手配のほか
東武トップツアーズの乗車つきプランを組み合わせる方法もあります。


3.スペーシアX 乗車

12:40 東武日光駅にスペーシアXが到着

先頭車両は現行のスペーシアを連想させるフォルム
使いまわしてすいません💦

車体色は日光東照宮 陽明門の色(胡粉)、側面の窓枠は鹿沼の組子や
竹編細工といった江戸文化や沿線にインスピレーションを受けたエクステリア

行先表示器の使い方が独特な東武、またしても斬新な使い方
2〜5号車の外観は従来の特急車両といった外観
品のある白色と窓枠のコントラストがとても美しい

12:45 出発10分前から乗車開始

6号車のエントランス天井には大きなディスプレイが設置
日光の四季が表現されている。(1号車にも同様の設備あり)

浅草寄り先頭6号車は従来のスペーシア同様
個室タイプのコンパートメントが4室並ぶ

車内アテンダントさんの案内を受けて乗車

限られた色合いで多彩に魅せる江戸文化
「四十八茶百鼠」でデザインされた
廊下の先にあるのは1室だけの特別空間「コックピットスイート」

12:50 最高級の空間"コックピットスイート"

プライベートジェットをイメージした空間、コンセプトは走るスイートルーム。
スペーシアX最上級クラス、私鉄最大の個室(11㎡)を最大7名で利用できます。

特製スリッパや東武ホテルのボトルウォーターやコンセントも設置。
室内インテリアは日光東照宮などをイメージしたものがあり、
落ち着いた上品な空間を演出しています。

室内用のスリッパ(ルームシューズ?)
スリッパ・水は定員7名分用意されていました

※乗車記念品はカフェ購入商品と合わせて紹介します。

浅草寄り運転室からは前面展望が独占できる。
一方、東武日光・鬼怒川温泉行きの際は最後部の車掌室になるので、
巡回の際に定期的な出入りがある旨の記載があった。

乗り物好きでなくとも興味を抱くプロの空間

個室空間と運転室後方のメリットを存分に味わうなら、
断然浅草行きの乗車が良いと思います。

12:55 東武日光駅発車

スペーシアX6号は途中主要駅に停車し、浅草までは約2時間の旅

和楽器を織り交ぜた車内チャイムはフルサイズでなんと60秒。
さすがに長いのか、車内では冒頭10秒だけが流されている。

車内自動放送は東武でおなじみ久野さんではなく、
『お風呂が沸きました』の声で有名な講談師 一龍斎貞弥さんが担当。
東武鉄道 社内教育映像で登場した経歴もあるらしい。

続いて担当乗務員さんによる肉声放送が実施。車内設備や注意点など
車内カフェ同様、途中春日部駅まで担当されるらしい。

車内見学しながら、6号車から1号車GOEN CAFE SPACIAXへ。

個室・ラウンジタイプの座席など豊富なシートバリエーションを見学

4.スペーシアX 車内見学

コンパートメント(6号車)

※北千住で撮影(偶然にもスカイライナーが映り込んでいました)

スペーシアの個室をアップデートし、江戸文化「四十八茶百鼠」で壁をデザイン

コの字型ソファと折りたたみテーブル

このコンパートメントも雰囲気があって素敵だが、従来の個室よりも
窓が小さく閉そく感を感じるのでこのあたりは好みが分かれるかもしれない。

東武博物館に設置された100系スペーシア個室(実物大)


5号車はバリアフリー対応車両
車いすスペースほか移乗席も
お手洗いは男性用・男女共用・車椅子対応(5号車のみ)の3種類、2号車にも設置

ボックスシート(5号車)

向かい合う2シートによる半個室・横幅約80cmのゆとりあるシート

スタンダードシート(3~5号車)

・コンセント付きで背面&肘掛け2種類のテーブルがあり使い分けOK
・窓はシ ート1列に対して1つの個窓で居住性UP、機能性を高めた座席

プレミアムシート(2号車)

・2+1列のグリーン車のような空間
・東武初の電動リクライニングや可動式枕、バックシェル構造を採用
・近鉄特急ひのとり「プレミアムシート」のような空間

コックピットラウンジ(1号車)

“時を超えるラウンジ”がコンセプト・1人〜4名掛けのソファが配置

5.車内カフェ「GOEN CAFE SPACIAX」

東武日光駅〜春日部駅間で利用できる
テイクアウト専門・整理券式・完全キャッシュレスのカフェ。
1・6号車の利用者のみ整理券なしで利用可
※ほかの利用者はweb整理券の取得が必要
 (土日などはweb整理券の配布がすぐ無くなることも。

ビールを購入するとその場で注いでくれるサービスも

クラフトビールやおつまみをはじめ、オリジナルメニューが多数
今回はビールやおみやげを含めて¥3,000ほど購入
観光情報の案内などもあるらしい。

今回は販売メニューからこれらを購入しました

【購入メニュー】

・NIKKO LAGER1/2パイント ¥800 日光らしい“和魂洋才”を表現
・ニッコーラ ¥650 日光珈琲が開発したクラフトコーラ

日光みそと湯波のお味噌汁 ¥380
日光味噌に揚げ湯波と国産ほうれん草入り
日光湯波おかき ¥480
日光の湯波を練りこんだ、軽い食感のおかき
三ツ山羊羹本舗 一口羊羹(3個セット) ¥800
スペーシア Xの車体をモチーフにしたスリーブに
小箱(ニッコウキスゲ・紅葉・ヤシオツツジと男体山)が3個入ったセット
日光珈琲 スペーシアX オリジナルブレンド ドリップバッグ ¥250

スペーシアXのエクステリアを意識したパッケージが多く、
お土産にもうひとつ購入したいものばかり。


6.個室空間の魅力

栃木駅を発車後、鬼怒川温泉行きスペーシアXと離合

車掌さんによるご挨拶

離合直後、巡回の車掌さんが乗車券類の確認と挨拶を兼ねて来室
挨拶の際、個室利用者向けの特製名刺とともに、
コックピットスイート限定の記念コースターをいただきました。

四季をイメージしたコースターは4種類、季節ごとにデザインが変わる

またプレートを用いた記念撮影もあり、
個室利用者向けの丁寧なサービスを実感する瞬間でした。

次の停車駅、春日部駅までは約30分ほど
広々とした空間でのんびりとしたひとときを過ごします。

ソファでくつろぎながら運転席を眺める

個室空間の素晴らしさ

個室料金¥18,000(〜7名)をどう捉えるかは個人の価値観次第。
個人的には公共性の高い鉄道車両で約2時間の時間を
広い個室空間で過ごせるなら、むしろ安いくらいでは?と思います。

グループ旅行はじめ、少人数の旅行でも周囲の目を気にせず
プライベートな空間で移動できるのが最大のメリット

また、特別な旅行や自分へのご褒美にもぴったりかと思います。
今回は誕生日と日々のお疲れさまを兼ねて大奮発。
プライベート空間の先には、鉄道好きなら一度は憧れる運転席。
この眺めを独占できるのは浅草行きだけ、最高の付加価値です。

先頭車両の乗り心地

ソファタイプの座席なので乗り心地はそこまで良くありません。
狭軌幅で6号車は個室、定員数も少なく
車両が軽いこともあってか横揺れは少し気になる結果に。
乗り物酔いに敏感な方は工夫が必要かもしれません。

途中春日部駅で乗務員が交代、浅草まではあと30分の旅
ここから先は北千住・とうきょうスカイツリーに停車。

コックピットスイートからの眺め・見どころ

左手にはJRの車両が見える「栗橋駅」
駅構内の連絡線を利用して、大宮・新宿方面の直通列車などが運転されます。

特急 きぬがわ・日光・スペーシア日光/きぬがわが運転される

南栗橋を過ぎると線路容量・列車本数が次第に増加
都心に近づいている事を実感します。

草加せんべいで有名な草加を通過

北越谷〜北千住駅間18.9kmは私鉄最長の複々線区間
『予告急行線』や『通過線』などの喚呼が特徴的
駅を出発した電車を追い抜く様子は複々線の醍醐味

東京メトロ日比谷線直通車を追い抜く

今回は運転席後方の部屋ということもあって
運転中の喚呼が車内に聞こえるほどのライブ感。
ぜひYouTubeでお楽しみください。

運転士さんを中心とした安全運行のおかげで、
安心して贅沢なひとときを過ごせることに感謝です。

荒川に架かる鉄橋を渡るとまもなく北千住

多くの方が北千住で降車されたようで個室にも空室が目立ちました。
乗換を考慮すると浅草よりも便利なのかもしれません。

前ばかり見ていて、後方のディスプレイに気づかなかった

北千住駅から10分ほどで浅草駅に到着。
名物ともいえる急カーブを曲がり
運行開始に合わせて改装されたホームに入線します。

東武日光から約2時間で終点浅草に到着。
隣には1編成しかないカルピスカラーのりょうもうが停車

新型特急スペーシアX 最高級のコックピットスイートを大満喫した2時間
観光要素の高い特急だけに他社(近鉄)の特急・サービスと比較して
感じることも多々ある乗車となりました。


7.まとめ

最後に乗車した感想・メリット・デメリットなどをまとめました
乗車を検討されている方の参考になれば幸いです。

他社のサービスと比較して

関西・名古屋から伊勢志摩を運行する近鉄特急しまかぜでは
車内販売カウンターに加え、カフェ車両・巡回タイプの販売、
専門アテンダントさんや個室向けのサービスが行われています。

似たような設備、都会から観光地に向かう同種の特急として、
無意識に比較してしまう部分もあり、正直物足りなさを感じる場面も。

東武ではカフェ利用のwebシステムやMaaSなどを持っているので、
個室(コンパートメント)やプレミアムシート向けに新幹線のような
モバイルオーダーサービスやワゴン販売があれば
より利便性の高い快適な乗車になるのではと思いました。

次回、日光・鬼怒川温泉に行く機会があれば
2号車に設置されたプレミアムシートを利用したいと思います。
あれこそ、ひ○とりとの比較になってしまう…

2号車に設置されたプレミアムシート

選ぶ際のメリット・デメリット・ポイント

【メリット】
・座席バリエーションが豊富
・グループや旅行プランに合わせて席を選べる
・運転本数が多く、乗車機会が多い
・非日常的な空間でレジャーに最適

【デメリット】
・スペーシアXを堪能するには追加料金が前提
・カフェ利用のハードルが高い割に内容が薄い
・プレミアムシートが中間車なので静音性に欠ける
・設備以上の付加価値をあまり感じられない

スペーシアXの魅力を存分に堪能するならカフェ優先権のある
コックピットラウンジ・スイート、コンパートメントが断然オススメ。

車内販売メニューはwebサイトに紹介されています。
お弁当や飲み物など必要なものは事前に購入して乗車
決めたものだけ購入するのがスマートかもしれません。

【運行情報】

列車名 :東武鉄道 スペーシアX
運行区間:浅草〜東武日光・鬼怒川温泉
運行頻度:1日6往復
乗車方法:乗車券(運賃)ほか特急券などが必要
※最新の運行情報をご確認ください

座席の予約は東武鉄道の特急券予約サイトや
東武トップツアーズの乗車付き旅行サイトが便利です。

最後までお読みいただきありがとうございました。
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