第二章第五話 補足
どうも。
土台ミスったらその後に響くからと、先々のものも含めて見直しとか細かい修正をモタモタやってたらいつの間にか前話から1ヶ月以上経ち、終いには大晦日になってしまいました。
時が経つのは早いですね⋯(どちらかと言うと自分の筆が遅いだけ)
そうしてお出しした今話は、完全オリジナル要素をがっつり入れた内容となりましたが、皆様いかがでしたでしょうか?
今まではゲーム本編を踏襲ないし拡大解釈したものに留めていましたが、今回は新派閥に新キャラに新装備にと、本編が続いていても恐らく出ることはなかったであろうレベルの要素を投入しました。
こういった要素は好き嫌いが分かれるかとは思いますが、本編のサービス終了に伴い、当初予定されていたものとは違うシナリオとなった以上、こちらもそれに合わせて変化した内容にしていくべきだというのが私の考えです。
細かい理由や設定などについては以下の通りとなります。今回の補足は結構長いですが、今後の土台となる内容なので、ご一読いただけると幸いです。
オリジナル要素を入れた理由
何故オリジナル要素を入れたのか。その理由については大きく分けて2つあります。
まず1つめの理由としては、終章のアリス、コハク戦までひたすら降鬼、機兵、モブB.L.A.C.K.研究生と戦い続けて尺を持たせるには限界があり、内容としても薄く、マンネリ化してしまうからです。
『“仲間候補発見→仲間増える”×6(敵は降鬼と機兵、研究生のみ)→アリス戦→コハク戦』の流れは、ちょっと想像しただけでも「おもんなそう⋯最後以外あんま盛り上がらなそう」という結論になりましたし、現状一般に開示されている要素のみでこの物語を面白くするには限界を感じていました。
物語の最後まで(降鬼などを含む)登場人物が全て判明していて、その上大体の流れが予想できてしまう物語は果たして面白いのか?と問われたら私はノーと答えたくなります。
そして2つめの理由は、N12戦(アリス&コハク)までに充分な経験値(特に対人戦闘の経験値)を積む必要があるからです。
“雑魚敵を狩った分だけレベルが上がり、いずれ相手よりも強くなる”というのは、強さというものが数値化されており、数値の優劣が絶対的な差となるゲーム上でしか通用しないロジックです。
私たちにとっては創作された物語の世界ですが、彼女たちにとってはその世界が“現実”です。だから彼女たちの成長において、先述のゲーム論は当てはまりません。
実際の現実でも、実戦経験の中からしか得られないものが沢山ありますし、人間の成長とは、ゲームのレベル上げのような1次関数的なものではありません。いくら練習を頑張っても伸び悩む時はありますし、逆に、たったひとつのキッカケで急成長する場合もあります。
特に、霊力という精神や魂の状態が力の大小に大きく影響する力が存在するこの世界で、強者としのぎを削る経験を経由せずして、帝国華撃団に入るまで武器を持って戦ったことすらない少女たちがN12と戦えるだけの実力に到達できるでしょうか?少なくとも説得力に欠ける内容になることは必至でしょう。
だから、オリジナル要素に嫌悪感を示す方が居たとしても、そこに至るまでに大きな実力差を埋められるだけの要素を追加することは、この物語を説得力のある内容にするための必須事項だと私は捉えています。
しかし、だからといって全くもって突拍子のないものを出す訳にはいきません。ゲーム本編との繋がりを感じるような、違和感の少ないものでなければ納得して貰えません。
そこでキーとなったのが、神子浜あせびの存在でした。
機能限定版をお持ちの方は、第一章終盤を見返していただければ分かると思いますが、彼女は霊子ドレスを装着したそのままの姿でB.L.A.C.K.に離反し、帝国華撃団を去って行きました。
ということは、例えその後の説明が一切なくとも、それは即ち敵組織に霊子ドレスの技術が流出したことを意味します。
敵対組織に流出した技術が解析・研究されないはずがありません。
また、あせびの存在の有無に関わらず、B.L.A.C.K.の中には(というか、こういうのはどんな組織にも言えることですが)以前からN12の次期候補となる者は存在していたはずです。
そんな中、N12候補となったあせびに霊子スーツが配られたのですから、以前から居た上位選抜生たちにも同等のものが配られているはずであり、その者たちがより強く、新しい力を手に入れていたら、N12に迫る実力者になり得るのではないか。ということで今回登場させたのがX12と霊子クロスというわけです。
一応こういった理由と思考プロセスを経て出したものなので、“全くもってあり得ない”という程のものにはなっていないと思っています。
完全非公式な存在の彼女たちですが、原作の乙女たち同様、とまではいかなくても、これから先の彼女たちの活躍を見て、少しでも愛していただけたら嬉しいです。
X12
選抜生の中でも、N12に次ぐ(next)実力を持つ上位12人を指す単語。
元々はファン発信の非公式用語だったが、今ではファン内に留まらず、団内でも定着している。
実力上、神子浜あせびを含めた12人が現在のX12該当者となるが、新入りかつ元帝国華撃団のあせびがトントン拍子でN12候補になっている現状が気に入らない研究生が大多数であるため、ハブる意図も含めて、あせびは研究生たちからはX12として認められていない。
よって現在、研究生の間ではあせびを除く上位11人を指す言葉となっている。
頭文字をそのまま使用するとN12となるように意図して付けられた呼称ではあったが、文字に起こす際は混同を避けるため、X12と表記される。
・補足
X12のメンバーの名前は全員『誕生月と同じ誕生石+誕生石と同色の花や枝葉をつける植物』というルールに沿ったものになっています。あせびの誕生月は12月なので、X12の誕生月は1月〜11月となっています。
金剛サリア
血液型:AB型
誕生日:1995年4月27日
年齢:15歳
身長/体重:162cm/48.9kg
イギリス人と日本人のハーフで、透き通った白い肌と白銀のロングストレートが目を引くX12の1人。
女優業とは無縁の家庭に生まれたが、街中を歩いている時に偶然通りかかったスカウトに誘われ、半ば流されるままB.L.A.C.K.に入団した。
入団するまで演技や発声、ダンスなどのレッスンは一切やってこなかったが、女優という職業には元々憧れていたため、B.L.A.C.K.に入れた嬉しさそのままの勢いに乗り、入団後早々にX12まで駆け上がった。
立派な女優になろうと努力はしているものの、あともう一皮が剥けない感覚を感じており、そんな現状を歯痒く思っている。
霊力量だけなら既に上位N12と遜色がない程で、他のX12と較べて飛び抜けて多い。
姓は金剛石、名はバラの品種“サリア”から。
・補足
上述の設定の通り彼女はかなり強いので、弱々しい印象を受ける見た目や性格とのギャップが出るように、無骨さと可憐さを感じるような構成の名前にしました。
ダイヤモンドは無色透明なものからカラーダイヤまで様々なので、名となる植物は霊属性の色である桜色(ピンク系)から選びました。
柘榴石カナメ
血液型:A型
誕生日:1994年1月7日
年齢:17歳
身長/体重:155cm/44.1kg
ツリ目で赤髪ツインテール、勝気だが面倒見が良く、なんだかんだお人好しな性格をしているツンデレの化身のような存在。
X12の実質的なリーダーを務めており、女優としての実力はもちろん、統率力も高く、夷守メイサや一目ミヤビからも厚い信頼を置かれている。
自身の才に溺れず、常に追加の自主トレーニングを怠らない努力家。
立場上、選抜生のセンターに立つことが多いため、周りに立つメンバーより身長が低いことを少し気にしている。
霊力量が特別多いわけではないが、持ち前の観察眼と視野の広さを活かして状況に応じた適切な戦い方ができるため、豪快な見た目の戦闘スタイルとは裏腹に霊力のロスが少なく、中・長期戦にも強い。
姓は柘榴石、名はカナメモチから。
・補足
カナメの姓に関してですが、最初は石の名前まんまなのは自分でもどうかとは思ったものの、口に出して読んだ時に柘榴で止めるよりも、柘榴石の方が個人的にしっくり来たのでそのまま採用しました。
霊子クロス 宵星
N12の霊子スーツ、暁星の対となるシリーズネームを付けられた試験機たちの総称。
神子浜あせびがB.L.A.C.K.に提供した霊子ドレス[献風]から得られたデータを元に、霊子スーツの技術と掛け合わせて造られたハイブリッド機体であり、いわばB.L.A.C.K.版霊子ドレスと言えるものである。
装甲に関しては霊子ドレス換算で一式、二式相当のものが多く、防御面では霊子スーツに劣る。
霊子スーツが全て黒と金で統一されているのに対し、霊子クロスは装着者のパーソナルカラーに黒と銀を加えた3色構成の配色になっている。
クロスという名称は霊子ドレスの技術を使用したことに由来し、交わりの“cross”と、布の“cloth”のダブルミーニングから来ている。また、サマエルが敵側の技術の名前をそのまま使いたくなかったというのもこの名称になった理由の1つである。
・補足
各機体の命名ルールは以下の通りとなっています。
・釼→ダイレクトタイプ・攻撃型
・鋼→ダイレクトタイプ・防御型
・堝→スポットタイプ・攻撃型
・塊→スポットタイプ・防御型
・晶→シュータータイプ
分類数こそ霊子ドレスに準拠していますが、あくまで敵側の装備なので、正義の味方感が出ないよう、正道なイメージを受けにくいものから文字を選びました。
シュータータイプの命名ルールに関しては、霊子スーツのシュータータイプと同じものとなっています。
これは、後述する“純晶”が他のクロスよりも先行して開発されており、その時に霊子スーツに準拠して命名していた名残で後の霊子クロスも“○晶”になったという感じです。
宵星【Type-α】“純晶”
装着者:金剛サリア
属性:霊
戦闘タイプ:シューター
機体カラー:白・黒・銀
背面に装備されている6本のビット、『星群』の遠隔操作による多角的な射撃攻撃を行う霊子クロス。
『星群』に出力は劣るものの、手甲の掌からも霊力を発射することが可能であり、接近された際はそれを使って迎撃する。
ビットには刃が付いているため両刃剣としても使用できるが、霊力放射の方が全体的に攻撃性能が高いため、霊力切れを心配するような状況にならない限り、サリアが斬撃武器として使用することはほとんどない。
ビットにはそれぞれ夏の大三角(デネブ、アルタイル、ベガ)と冬の大三角(シリウス、プロキオン、ベテルギウス)の名が付けられている。
このクロスは、神子浜あせびが帝国華撃団を離反する以前から、霊子ドレスの映像データを元に形だけ模して試作していたものを調整した機体であるため、他の霊子クロスよりも霊子スーツに近い内部構造となっている。『星群』も元々はN12用の追加兵装として開発されていた物で、サリアの霊力出力に耐えうるものとして流用された。
他の霊子クロスと開発経緯及び内部構造を異としていることから、唯一ナンバーは振られていない。
必殺攻撃は、6本のビットから放ったエネルギーをぶつけ合って1点に収束させ、帯電した極太の霊力波を上空から撃ち下ろす『招雷タケミカヅチ』。
・補足
上述の映像データから参考にされた霊子ドレスは、しのの[純風]です。
なので、名前と属性もそれに合わせたものになっています。
宵星【Type-X1】“烈釼”
装着者:柘榴石カナメ
属性:火
戦闘タイプ:ダイレクト・攻撃型
機体カラー:赤・黒・銀
片刃の大剣『灼彩』による強力な斬撃で相手を斬り伏せる霊子クロス。
最初に造られた霊子クロスということもあり、神子浜あせびの霊子ドレス[献風]のコンセプトを取り入れたものとなっている。
剣の峰と背面部に取り付けられた3つの可変ブースターにより、使い手の力量次第で様々な戦い方ができるようになっている。
必殺攻撃は、炎を纏った斬撃と共に、広範囲に壁のように高い炎の衝撃波を放つ『轟剣オキツヒメ』。
・補足
個人的な解釈ですが、あせびの[献風]のコンセプトは必殺攻撃の様子から、スピードを自由に変速できるタイプのものと捉えています。
カナメの操る“烈釼”は、[献風]よりも瞬間的な推進出力を少し下げた代わりにブースター操作の自由度を向上させたものとなっています。
霊子護符について
新しい要素を追加する一方で、今まで通り既存の材料はどんどん活用していくべきだと思うので、今回は本物語における霊子護符の立ち位置(私なりの解釈)を説明したいと思います。
本物語における霊子護符は、人々の信心を多く集める霊験あらたかな場所、もしくは霊力が特別強く集中している土地の霊気を吸って、特殊な効果を得た護符のことを指します。
日常生活においては機器類や構造にはほとんど影響は与えませんが、強い霊力を持つ者や、霊的な力を持つ兵装の近くあると、固有の効果を発現します。
付与しただけで戦局を変えるほどの大きな影響は与えませんが、何らかの能力の底上げをしてくれます。
住職や神主が直筆した護符を販売している寺社であれば、それを購入して霊子護符と同等の効果を得ることができます。そうでない所では、吸わせる霊気と親和性の高い水(近辺の河川や湖で汲んだものが望ましい)で磨った墨を、和紙でできた札に印や呪文などを書いて護符とすることができます。
本来の護符は神仏からの加護を受けるために結構な準備をして書く物ですが、霊子護符はその土地の霊気の性質を力とするため、札にその地の霊力を吸わせて効果を定着させることが目的となります。なので大層な手順は必要なく、札に書く内容も略式的なもので大丈夫です。
ゲーム本編ではデメリット効果のある護符もありますが、現実において、そういう物はご利益のある物として手に入れに行くわけなので、デメリットが付くようなものを手に入れに行くのは行動原理としておかしくなってしまいます。なので、これから入手するものも含めて、全ての霊子護符はデメリット効果がないものにする予定です。
また、同じ護符を重ねて1つにして強化するという行為もゲーム的な概念なので、効果は梅林たちが入手した時点で最大能力相当の効力を発揮するものとしています。
霊子護符を登場させた役割としては、先述のX12を登場させた理由と同様に、物語開始(帝国華撃団入団)時点で大きな戦闘力の差を短い期間で埋めるための要素の1つとして組み込みました。
女優業と戦闘訓練で身体能力、霊力共に鍛えまくってきた人たちが、短期間で肉薄される理由が“才能(潜在能力)”や“窮地で覚醒”だけだったらあまりにもご都合主義ですし、それやると何でもアリになっちゃうので。
霊脈・富士山
ゲーム本編
全属性攻撃力アップ(3〜8%)
対全属性防御力ダウン(5%)
↓
本作
全属性攻撃力アップ(8%)対全属性防御力ダウン(5%)
%の値はあまり気にせず、今回で素の火力が多少上がったものと認識していただければ大丈夫です。
・補足
梅林が札に書いた内容は、霊気を呼び込む基盤となる文言を中央に据え、その周りに四象と太極を表す印が書かれているイメージです。四象と太極はそれぞれ地水風火、陽月の6属性を表しています。
かしえについて
作中および以前の補足でも述べていました通り、今回でかしえの出番は今回で終わりとなるわけですが、いかがでしたでしょうか?
皆様の江田島かしえ像と解釈違いを起こしていたら申し訳ありませんが、私としては、まだ書きたいことはあるものの、アウトプットしたいことはある程度書けたかなと、個人的に満足しております。
かしえは登場時期の関係で、面白キャラとしての出番くらいしかありませんでした。二次創作においてもその立ち位置は、その本編での描写に準拠したものになることが多いのが現状です。
別にそれはそれで良いし、そもそも二次創作。それぞれが好きにやって良いことなのですが、それだけでこのキャラクターの可能性を留めてしまうのは個人的に勿体ないと思い、長編に組み込んで、元の味を残しつつも、一味違う感じに書きたいなと思ったのが、彼女をこの物語に登場させるキッカケとなりました。
だから、梅林編を書き始めた段階から、かしえは単なる賑やかし役ではなく、主軸は“頼りになる先輩”で書こうと決めていました。
自己満の二次創作ではありますが、江田島かしえの新たな魅力として感じてもらえていたならば幸いです。
本当はもっとかしえが絡む話を書きたいところではありますが、ある程度のタイミングで近畿周辺に戻しておかないと、ゲーム本編と時系列的に矛盾が生じてしまうので、今回でやむなく退場となります。書いてて楽しい子だから、可能ならもっと書きたかった!
ということで、今回は色々と長くなりましたが、この辺で締めたいと思います。
次回からは第三章、グンマーに突入いたします。
ここから先は完全オリジナル要素を多分に含んだ展開となっていきますが、よろしければ今後ともお付き合いいただければ嬉しいです。では。