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僕は、僕になりたい。

 昔から「大人になりたい」という願望が理解できなかった。
 「大人」にあまり夢がないように見えたから。
 たぶん、周りに楽しそうな大人がいなかったから。
 いや、楽しそうな大人はいたけど、「大人」であることを楽しんでいる人はいなかった。
 メディアや、SNSでもそう。
 どうしても、「大人になる」ことが良いことに思えなかった。
 だから「大人になりたい」とはあまり思わない。

 ならば、「子どもになりたい」のか?
 実は、これも違う。
 たぶん、経験してきた「子ども時代」に、あまり楽しかった思い出がないからだろうか。

 ならば、どうなりたいのか。

 思うに、「大人」とか「子ども」というイメージは抽象的過ぎる。
 大雑把で、ふわふわしていて、経験やメディアなど、色んな影響を受けすぎる。
 そして、大体良いイメージを持てない。嫌な部分ばかり強調されるから。
 そんなイメージを元に、自分像を組み立てても、いい結果になるとは思えない。
 たとえば、「大人にならなければならない」とか考え出すと、どうしても間違った自分になってしまいそう。違和感で擦り切れちゃう。

 だから、僕は、僕になりたい。
 唯一無二の素晴らしい存在!……なんて美辞麗句を語るつもりはない。
 それでも、「大人だから」「子どもだから」といった枠に自分からはまりに行こうとは思わない。
 他の人はいろんなことを言ってくる。
 それはもう、仕方のないことだ。
 だけど、その外圧に屈して、自分で自分の枠を狭めるようなことはしたくない。
 怖いけど。ものすごく怖いけど。
 でも、自分を彩る額縁は、自分で選びたいじゃないか。
 だから、僕は、僕になりたい。

 心から、自分の言葉を発信できるようになるために。

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