見出し画像

業績不振の原因と改善策

はじめに

 会社経営には好不調の波があります。

 そして、不調のときに訪れるのが業績不振です。

 経営者であれば避けて通りたい業績不振ですが、そこから抜け出せれば経営者冥利に尽きます。

 備えあれば憂いなしとするため、業績不振の原因分析と対策立案方法を知っておきましょう。

業績不振=会社経営のレッドゾーン

 営業不振に販売不振、業績不振に経営不振、どの言葉も会社経営者にとっては見たくも聞きたくもないものばかりです。

 不振とは、勢いがふるなわいことと辞書には載っていますが、会社経営にまつわる不振は、勢いがふるわない程度のレベルではないのが実感でしょう。

 しかし、現実に会社が業績不振に陥ってしまったら、経営者としてはそれから目をそむけることはできません。

業績不振とは

 端的に言えば、業績不振とは、売上高や利益が減少してしまっている状態です。

 業態によって、その実態はさまざまなパターンがありますが、例えば、会社内部に何らかの問題がある業績不振もあるでしょう。

 あるいは、外的要因として、新規参入ライバル会社や代替品の出現によって顧客を奪われる形での業績不振もあります。

 また、技術革新や人口減少など社会の変化が市場を変えてしまい、それが業績不振につながってしまうケースもあり得ます。

 いずれにしても、業績不振に陥り、それを放置してしまうと、引き起こされるのは負のスパイラルです。

 つまり、業績不振から赤字突入→資金繰り悪化→債務超過→倒産という悪夢への入口が業績不振と言えます。

 中小企業庁の統計では、倒産理由の約8割が販売不振です。

 経営者たるもの、販売不振、業績不振を察知したら即時、改善策を講じなくてはいけません。

業績不振の原因

 倒産理由の約8割を占めるのが販売不振ですが、その他の理由として2位~4位に挙げられているものを以下に紹介します。

 ◯経営者の放蕩経営
 ◯資本金不足
 ◯連鎖倒産
 これらは比率としてはいずれも5%前後ですが、どれも業績不振を招くインパクト大のものと言えるでしょう。

 また、業績不振に陥るときというのは、何か1つではなく複数の原因が重なり合って業績不振となる場合が多いのも特徴です。
 そして、業績不振を招きかねない事象の中で、会社内部の問題であれば自浄努力で対処することができます。

 特に以下の3つは、業績不振を招く社内3大原因です。確認しておきましょう。

①経営力の不安定さ
 経営者には経営者としての責任がありますから、その経営力はとても重要です。

 しかし、非上場の中小企業によくあるようなワンマン経営の場合、本当に経営者1人に全ての責任が集中してしまっていて、非常にハイリスクと言わざるを得ません。

 倒産理由にも挙げられているような放蕩経営につながる温床となる可能性もあれば、経営者が事故や病気で倒れたとき、経営が止まってしまいます。

 また、ある種の勘を頼りとするような経営方法の場合もあり、それでは合理的な経営とは言い難いでしょう。

 会社の業績不振を防ぐには、予実管理や正確な利益の把握など、厳密に数字にこだわる経営に徹することが必須です。

 数字による経営管理を徹底すれば、あらかじめ業績不振のシグナルを捉えることも可能となり、業績不振を未然に防げる対処も行えるでしょう。

②組織力の低下
 1人の人間が同時に管理することのできる組織の人員数の限度は、10人とも20人とも言われています。

 従って、企業の規模が大きくなってくると、経営者1人では会社全体をこと細かに管理できなくなるはずです。

 その場合、中間管理職に権限を移譲することになりますが、人選ややり方を誤ると組織力の低下を招き、結果的に業績不振となる恐れがあります。

 能力不足であったり人格に難のある人材が中間管理職になると、組織力はたちまち低下してしまうからです。

 経営者は能力や人格などをよく見極めたうえで、中間管理職を任命しなくてはいけません。

③親族内の争い
 非上場の中小企業の場合によく見られるのが同族経営です。

 親族同士であれば、赤の他人よりも信頼できるという理由があるのかもしれませんが、これも業績不振の原因となり得ます。

 それは、仮に親族内で争いが生じた場合、他人とは違って遠慮がないため、抗争が長引くからです。

 親族間の経営陣の確執は派閥を生み、従業員同士も足の引っ張り合いや非協力的な態度など、業務の遂行に支障が出るようになり、そうして急激に業績不振が進行します。

 経営者として親族を経営陣に招き入れる場合、自分との相性や適性など、よくよく検討してから決めましょう。

業績不振の基本的な改善策

 できるだけ未然に防ぎたい業績不振ですが、そうそう全てがうまく運ばないのが人の世の常です。

 万が一、業績不振に陥ってしまった場合も想定し、業績不振を改善するための対策の立て方について考えてみましょう。

 ベーシックな業績不振改善策として、以下の3つを提示します。

①目標の見直し

 業績不振を改善する第一の策としてお勧めしたいのが、事業目標の見直しです。

 業績不振から脱却するためには、中長期的な目標と目前の短期的な目標の両方を明確にすることがポイントになります。

 どちらか片方の目標が欠けていると、おそらくは業績不振の改善はかないません。

 業績不振改善のための目標見直しでは、その目標が実現不可能なほど難しいものでないか、あるいは逆に簡単に達成できてしまう目標ではないかといった具合に、目標の難易度設定についてよく検討しましょう。

 長期的な目標と短期的な目標それぞれに関して、適切な難易度に設定し直せば業績不振の改善につながるはずです。

②インセンティブの設定・付与
 インセンティブとは、目標を達成するための刺激や誘因、目標達成時に与える報酬を指しています。

 従業員や役員に対し、何らかのインセンティブを設定・付与することで、各人が業務に発奮し業績不振を改善できる可能性が高まる効果を期待できます。

 具体例としては、目標に対してきちんと成果を残した従業員・役員には、相応の報酬が支払われるシステムを構築すれば、社内全体のモチベーションアップにつながり、業績不振の改善に向けて有効な打開策となり得るでしょう。

③モニタリングの実施
 目標の見直しによって妥当な目標を設定し、なおかつインセンティブ制度を作ったとしても、目標が達成されなければ、それは絵に描いた餅であり、業績不振は改善されません。

 目標達成のためには、モニタリングの実施が肝要です。

 業務の違いによってモニタリングの周期を日次、週次、月次に分け、各自の目標達成度合いを確認し、未達成であればその原因を分析し追加の改善策を施します。

 原点に立ち返り、仕事の基本的な改善手法であるPDCAサイクルを全社的に徹底させましょう。

 しかし、倒産理由の1つに挙げられていた連鎖倒産や市場の縮小などの外的要因は、内部努力だけではいかんともし難く、業績不振から簡単には抜け出せない場合もあります。

 そのような場合は、M&A実施も検討手段の1つです。










この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?