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経済再開本格化の時期から探る 年後半の有望株

 新型コロナウイルスの収束に伴う経済活動正常化の時期は、年後半に上昇する銘柄の顔ぶれに大きな影響を与えそうだ。

 市場関係者に、「感染収束が年内に見通せる場合」と「年明け以降に後ずれした場合」の2つのシナリオ別に有望業種を聞いたところ、狙い目はきれいに分かれた。

1.コロナ早期収束なら旅行や外食
 感染収束の見通しが立ち、年内に経済の正常化が本格化した場合に有望とされたのは、旅行や外食、小売り、ホテル、鉄道など。これらの業種の多くは、コロナ禍で需要が低迷し、苦境に陥っている。

 海外渡航制限や緊急事態宣言を受けて、旅客需要が落ち込むANAホールディングスは、目標に掲げる2022年3月期の黒字転換への視界はまだ開けていない。

 鉄道業種では、鉄道事業の比率が高いJR西日本やJR東海が22年3月期通期の業績予想を下方修正した。

 もっともこれらの業種の中には、保守的な業績予想を出したり、「合理的な数値の算出が困難」として、予想の開示を見合わせたりした企業が多い。 

 感染収束が見えず、株価が割安水準にとどまる分、経済活動が早期に正常化すれば、業績の上振れが相次ぎ、株価が持ち直すとの期待は大きい。

 証券ジャパンの大谷正之さんが注目するのは、ワクチン接種率の向上に伴う消費の回復だ。

 「外出自粛の長期化からリベンジ消費は予想を超えたものになる」とみており、中でも「旅行や高額品のリバウンドが大きい」と予想する。

 政府の需要喚起策である「Go To」キャンペーンの再実施やインバウンド(訪日外国人)需要の回復に期待する声もある。

 専門家Aさんは、「現在はインバウンドの消滅により、ディスカウントストア業態の免税品売り上げはほぼゼロだが、経済が正常化すればいずれ旅行客が戻るので、今が業績のボトムだろう」とみる。

2.自粛長期化なら巣ごもり需要再燃か
 一方、経済再開の本格化が年明け以降に後ずれした場合、年後半の狙い目業種は大きく変わってくる。

 プロが選んだ有望株を見ると、ゲームや化粧品、インターネット関連業種が並んだ。

 外出自粛が続くことで、巣ごもり需要が一段と高まるとの見方が多い。

 例えば、ゲーム業界では主力タイトルの売り上げが好調に推移する。カプコンは、「モンスターハンター」や「バイオハザード」シリーズの新作が、サイバーエージェントは子会社が展開する競馬をテーマにしたゲーム「ウマ娘 プリティーダービー」がヒットし、業績をけん引している。

3.コロナ禍の株式相場への影響は
 政府は19都道府県について緊急事態宣言を9月30日まで延長。

 全国の感染者数は減少傾向にあるものの、第5波の収束は依然見通せない。

 専門家Bさんは「この状況はもうしばらく続きそうだが、時間の経過とともに今回の第5波もピークアウトを迎えるだろう」と分析。

 ワクチン接種が進んでいることから、「第6波が来たとしても、特に重症者や致死率の点で、今回より影響が小さくなることが想定され、株式相場への影響も徐々に小さくなっていく」と予想する。

 一方、後ずれの確率の方が高いとみる市場関係者もいる。

 ワクチンの2回接種を終えた人は9月初旬時点で国民全体の5割近くまで上ったが、3回目の追加接種(ブースター接種)の必要性が取り沙汰されるようになったからだ。

 専門家Cさんは「首相が交代しても感染対策が大きく変わるとは考えにくく、ワクチンのみに依存した対策は危険だ」と指摘。

 「大型商業施設や飲食店などの営業自粛要請は繰り返されるとみられ、消費者が貯蓄を大きく取り崩すなどして消費性向が上向くとは考えにくい」と話す。

 専門家Dさんは「体験や経験に価値を見いだす『コト消費』の低迷は当面続きそうだ」とみている。

 私の考えとして、感染力の強いデルタ型の出現により、収束時期は読みづらくなっており、当面は感染動向を注視しながら、「早期収束した場合」と「後ずれした場合」の双方のシナリオを踏まえつつ、投資戦略を考える必要がありそうだと考えています。






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