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投資用ワンルームマンションの売り時はいつ?物件価格や金利のデータから検証

 投資用ワンルームマンションの売却は投資の利益を確定する重要なポイントです。

 しかし、できるだけ利益を出すためにはいつ物件を売り出したらよいのか、気になる人も多いのではないでしょうか。

 ここでは、投資用マンション価格および銀行の貸出金利推移から、投資用ワンルームマンションの売り時について検証します。

1.投資用マンション価格の推移

 2020年に発生した新型コロナウイルスの感染拡大は不動産業界を含む各方面へ影響を与えていますが、物件価格はどのように推移しているのか気になる人もいるのではないでしょうか。

 投資用マンションの価格について、全国と首都圏に分けて検証します。

1-1.投資用マンションは1年前よりも価格が上昇
 不動産投資と収益物件の情報サイト健美家が発表したレポートによると、2020年8月以降における、区分マンション価格の推移は以下グラフのようになっています。

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 地方別の価格で見ると、首都圏の価格水準は全国の平均価格を上回っています。

 また、全国の平均価格及び首都圏の平均価格ともに、2021年8月は2020年8月よりも高くなっているのが特徴的です。

 2021年10月時点、新型コロナウイルスの感染拡大は完全に終息したとは言えない状況ですが、2020年8月からの1年間で、全国の平均価格は169万円、首都圏の平均価格は158万円それぞれ上昇しています。

2.10年国債金利と貸出約定平均金利の推移

 不動産投資家の大半は物件の購入にローンを利用するため、物件を売却するのであれば、金利の動向にも要注意です。

 長期金利の基準となる10年国債の金利及び、貸出約定平均金利の推移について検証します。

2-1.10年国債金利は2年間で上昇
 長期金利の指標となる10年国債の金利について、財務省のデータから推移を見ていきます。

 財務省の発表によると、2019年以降における各月末の10年国債金利推移は以下グラフの通りです。

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 2019年以降の推移では、10年国債の金利は0.02%に達しておらず、低金利の状態が続いています。

 最初の緊急事態宣言が発令された2020年4月はマイナスとなっているものの、それ以降はプラスで推移しているのが特徴的です。

 2019年の推移と比較すると、2020年以降の方が全体的な水準は高くなっています。

2-2.貸出約定平均金利の推移
 銀行は実際に何%の金利で融資しているのか把握するため、銀行の規模別に貸出約定平均金利の推移を検証します。

 日本銀行によると、銀行規模別の長期貸出約定平均金利は以下グラフの通りです。

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 この統計における都市銀行とは、メガバンクを含む以下5行のことを指しています。

 みずほ銀行
 三菱UFJ銀行
 三井住友銀行
 りそな銀行
 埼玉りそな銀行
 それぞれの推移を比較すると、銀行の規模別に金利の推移は異なるのが特徴的です。

 例えば、地方銀行は2020年4月以降でほぼ横ばいとなっており、あまり目立った変化がありません。

 都市銀行については、2020年の秋に金利が1%を超えましたが、それ以外の時期はほぼ横ばいとなっています。

 唯一目立った変化をしているのは信用金庫です。

 信用金庫の金利は2020年5月以降落ち込んでいましたが、秋以降に1.4%を超えており、2021年6月にも一段階上がっています。

 なお、信用金庫の金利は都市銀行や地方銀行よりも高くなっています。

 不動産投資と収益物件の情報サイト健美家が不動産投資家向けに実施した「第15回不動産投資に関する意識調査」によると、不動産投資に信用金庫の融資を活用している人は物件購入者のうち約23%です。

 信用金庫の利上げは少なからず不動産投資に影響を与えていると予測されます。

3.投資用ワンルームマンションの売り時は?

 物件価格と金利の推移から、投資用ワンルームマンションの売り時について考察します。

3-1.2021年のマンション価格の状況
 投資用マンション価格の推移を確認する限りでは、全国の方は横ばいの期間も目立つものの、2021年4月以降は水準が少し上がっている状況です。

 少なくとも2020年8月時点と比較すると、2021年秋は物件の売り時と考えることもできます。

 一方で、首都圏の方は、2021年3月以降に一時期値下がりしており、調整局面のような時期も出てきています。

 エリアによっては、不動産会社などと相談しながら慎重に値付けすることも必要です。

 しかし、金利の推移を検証する限りでは要注意です。

 投資用のワンルームマンションは実需向けの売却が難しいタイプであり、別の投資家に売却するケースが大半となっています。

 ほとんどの投資家は物件の購入にローンを利用するため、貸出金利の動向は物件の売却成否に影響します。

 投資家が利用する金融機関として多いのは、信用金庫と地方銀行です。

 地方銀行の貸出金利は横ばいですが、信用金庫の方は段階的に金利が上がっています。

 10年国債金利の水準が上がっていることを考慮すると、今後各銀行が利上げに動く可能性も否定できません。

 銀行が利上げすると、融資の条件が合わずに物件の購入を見送る投資家が増えることも考えられます。

 投資の計画次第ではありますが、売却期間を短縮したいのであれば、2021年中に売却活動を始めるのも1つの選択肢です。

3-2.市場の傾向だけでなく個別にマンション価格を確認する
 投資用ワンルームマンションは売却タイミングだけでなく、物件が持つエリア、築年数、マンションブランド、部屋が位置する階数などの個別事由によって価格が大きく異なってきます。

 市場の傾向から売却のタイミングを推し量ることも重要ですが、不動産そのものの価格推移についても確認しておくことが重要です。

 例えば、定期的に不動産査定を受けておき、マンション価格がどのように推移しているのか確認する方法があります。

 複数の不動産会社の査定を複数のタイミングに分けて受けることで、実際の価格がどのように推移しているのか定点観測することができます。

 複数の不動産会社へ査定を依頼する場合は、不動産一括査定サイトの利用を検討してみましょう。

 不動産を実際に売却するかどうかは査定後に決めることが可能で、無料で利用することができます。

まとめ

 投資用マンションの価格は2021年8月までの1年間で上昇基調にあります。

 価格面では、2021年秋は物件の売り時と考えることもできます。

 しかし、買手のローン利用可否に影響を与える銀行の貸出金利も、信用金庫では上昇基調にある点に要注意です。

 10年国債の金利推移と照合すると、今後も信用金庫が利上げに動く可能性があります。

 不動産投資ローンを利用する不動産投資家は多数派であり、金利の利上げは物件の売却可否に影響する可能性も否定できません。

 また、市場の傾向を確認するとともに、マンションの実際の価格についても定期的に査定を行い、価格がどのように変化しているか確認することも、売り時を推し量る際の有効な手段です。

 できるだけマンションを高く売却するためにも、まずは情報収集から始めてみると良いでしょう。





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