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製造業のサービス化 成長にらみ付加価値創造
日本の製造業で、モノを作って売り切るのではなく、付随サービスを提供して事業展開する動きが広がっています。
産業技術総合研究所や明治大学、13の企業などが参加する「製造業のサービス化コンソーシアム」は経営工学的な視点を取り入れながら、ビジネスの革新に取り組んでいます。
サービス化を進めるための手法や技術の確立、人材育成に注力しています。
「ユーザーがサービスにお金を出してくれないはメーカーの言い訳でしかなく、何が阻害しているのかは共通する要因が多い」とコンソーシアムを主導する専門家はこう話す。
従来、製造業でのサービスは保守点検など販売後のフォローという付帯的な位置づけでした。
今では、サービスとの統合による新たな付加価値の提供や顧客価値の向上に取り組まなければ、製造業の成長が難しくなっています。
コンソーシアムは参加する研究者の成果から高付加価値サービスの実現に向けた技術やビジネス手法、人材育成カリキュラムの標準化に取り組んでいます。
ケーススタディーや技術などの情報も交換し、知識の共有も進めています。
参加企業はサービスと製品の販売を組み合わせた商品の開発に取り組んでおり、例えば、ヤンマーはセンサーなどLOT(モノのインターネット)を駆使して農機の状態を把握し、収穫量の管理などを組み合わせた支援サービスを展開。
キリンホールディングスは会員制の家庭用ビールサーバーのサービスを提供し、コロナ禍で伸びる家飲み需要の取り込みを狙う。
わかっていても、組織の転換は簡単には進まないものです。
明大は製造業1000社を対象にした定点調査を実施し、サービス化の阻害要因を分析して標準的な対策につなげています。
サービス化の進展状況を5段階に分類し、それぞれの段階でうまくいく手法や課題を洗い出し、「サービス化は組織や製品設計、製造、販売、値付けを変革しなければ実現しない」と専門家は話しています。
資源循環型社会や脱炭素化、SDGs(持続可能な開発目標)への取り組みでもサービスの重要性が増すとみています。