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あれだけ賑わせた唐揚げ店の閉店ラッシュ

唐揚げ店が急激に増えた二つの理由
数年前から「唐揚げブーム」というものが続いていましたが、これはもう終息したと言っていいでしょう。「唐揚げ店閉店ラッシュ」「唐揚げブームに陰り」などといった報道もよく見かけましたが、いずれ「ブームはいつか終わるもの」「ほかのブームに取って代わられる」といったような、ものではなく、長続きし得ない理由があります。

そもそも、なぜ唐揚げブームが起きて店舗数が急激に増えたのか。
その理由は、
①出店コストが安い
②商品的に参入障壁が低い
そのため個人事業主や中小事業者などが参入しやすかったから、ということが挙げられます。
さらに大手飲食チェーンの参入がより拍車をかけました。

そもそも大手が手を出す業態ではない

苦しんでいるのは、個人経営や中小事業者の店舗ばかりではありません。
大手飲食チェーンが展開していた唐揚げ専門店も苦境に陥っているのです。
一見、資本力のある大手の方が有利に思えるのだが、実は大手は多店舗展開も早く、大きな話題にもなるものの、唐揚げ専門店という業態は、そもそも大手が参入すべきものではなかったのです。

個人事業主の場合、小さな店舗でオーナーのみのワンオペ経営や家族による経営が可能です。
一方、大手の場合、一店舗でも社員やパートなどを配置すると人件費が上振れしてしまいます。
間接コストも高いため、損益分岐点も必然的に高くなります。
実際、大手が展開している店舗は閉店が目立っています。
ロードサイド型店舗などは唐揚げ以外の商品ラインナップが増えてレストラン化してしまい、もはや唐揚げ専門店ではなくなってしまいました。

個人事業主が参入しやすい業態に大手が手を出すべきではないのです。
唐揚げブームにおいてもレッドオーシャンに飛び込んでいくようなもので、大手が太刀打ちできるものではなかったのです。

家庭でも作れる「実用食」は外食・中食に不向き
食のジャンルを「実用食」「嗜好食」の2種類に分けて考えるものです。
実用食とは日本人が日常的に食べたくなるもの、多くの国民が手を出しやすく食べ慣れているものです。
うどんやカレー、ラーメン、スパゲッティ、回転寿司などが含まれるでしょう。
一方の嗜好食は日本の文化に馴染みのないもの、高額なものなどです。タイ料理や高級フレンチ、割烹料理などが含まれます。

一般的に外食や中食では、家庭で調理しにくい、もしくは調理できないものが期待される傾向にあります。
嗜好食はこれに当てはまるものが多く、外食や中食に向いているのです。

そういった意味では唐揚げは実用食だが、家庭で作るのが面倒だという人も多く、外食・中食向きとも思えますが、それでも家庭で作ろうと思えば作れてしまうのが唐揚げです。

またスーパーやコンビニエンスストアでもおいしい唐揚げを購入でき、冷凍食品の唐揚げを家庭で「レンチン」すればおいしく食べることもできるのです。
つまり、外食・中食に期待するモチベーションが低いのが唐揚げなのです。

「残っている店舗」の特徴は?
個人事業主や中小事業者の店舗も閉店が相次いでいますが、閉店せずに残っている店舗も沢山あります。

ひとつはブーム前から続いている老舗の唐揚げ専門店。
高利益が見込めなくても唐揚げを作って売ることがライフワークのようになっている個人店などです。
損益分岐点も低く、継続性があります。
「ブームだから儲かりそうだ」「出店コストが安いから」と、便乗的に参入した店舗はほぼ撤退の兆しをみせています。

もうひとつは好立地の店舗。
目的来店ではなく衝動来店が見込める店舗です。
にぎやかな商店街などの店舗は「ちょっと小腹が空いたから」「いい匂いに誘われて」と偶然立ち寄るお客さんが多くなります。

そして、商品のラインナップや味のバリエーションが豊富な店舗。
コロッケやメンチカツ、焼き鳥などが並んでいる、唐揚げ以外のものも買える利便性の高い店舗です。
また醤油唐揚げや塩唐揚げ、手羽先やチキン南蛮など味のバリエーションが豊富な店舗も継続性があります。
店舗に行っても買えるのはモモ肉の醤油唐揚げだけとなると、よほどそれが好きな人でなければ来店しなくなる恐れがあります。

ブームに便乗するだけでは生き残れない
唐揚げは「専門店」を名乗ることで消費者にもわかりやすく、実用食でもあるためスタート当初は好意的に受け止められるでしょう。
しかし参入障壁が低いことがネックで、あっという間にレッドオーシャン化をするので酢。
「ブームだから」という動機だけで参入し、付加価値もなく唐揚げ一本で勝負しようとした店舗は飽きられ、淘汰されてしまうのです。
これは唐揚げに限ったことではないで、良く覚えていてください。

何かのブームが到来し、「自分もやってみよう」と思う人もいるかもしれません。
その場合、まずはそれが実用食なのか嗜好食なのか、家庭で作れるものかそうでないか、スーパーやコンビニエンスストアと競合しないかなどを徹底的に分析することです。
ブームに便乗するだけで継続性と高利益を見込めるほど、外食・中食の世界は甘くはないのです。

因みに唐揚げに頼り切ったいない店、唐揚げの味のバリエーションが豊かない店は、生き残っていけると思います。

生き残りまたは、新事業展開、廃業をお考えの方は、お問合せ下さい。

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