企業の「6重苦」、解消道半ば!! 2021年度経済財政白書案
内閣府の2021年度の経済財政白書の概要がわかりました。
2011年の東日本大震災後に企業が訴えた「6重苦」の現状や課題を分析しました。
重い法人税など半数超の課題は解消したものの、電力コスト高などは残っているとしました。
新型コロナウイルス禍でのデジタル化の遅れも指摘し、課題解決は道半ばとしていると発表しているが、役所仕事でどこまで詰め切っているのか?が不安になるところがあります。
内閣府は9月中にも白書を公表するということです。
白書では「円高」や「重い法人税」、「経済連携協定(EPA)の遅れ」、「労働市場の硬直性」、「環境規制」、「電力不足・コスト高」の6つの視点で企業の成長課題を分析しているようです。
足元の景気について、堅調な設備投資や輸出などで持ち直しが続くが、国内やアジアでのコロナ感染拡大による供給網の停滞や企業債務の膨張などに懸念を示しています。
景気回復にプラスとマイナスの要素が混在するなかで企業が成長するには、特定の分野への投資をし、脱炭素に向けエネルギー効率を引き上げることなどが必要とみています。
「6重苦」のうち、EPAの遅れと法人税高は解消したとしているが、その制度に疑問を感じるばかりです。
EPAについては2018年に発効した日本やカナダ、オーストラリアなど11カ国が参加する環太平洋経済連携協定(TPP)や2019年発効の日EUEPAなどにより、2021年1月末時点でEPA締結国との貿易額が貿易総額に占める割合は約5割(2011年末は2割弱)に上昇しています。
企業が負担する法人実効税率も改正を重ね、2018年度以降は2012年度から約8ポイント低い29.74%まで下がっています。
企業の体制強化や政策の変化により、円高と環境規制は課題ではなくなっています。
通貨の総合的な実力を示す実質実効為替レートでみると、円は2021年6月末時点で70.59と2011年12月末(104.12)から低下し、円高は解消しています。
企業が相次いで海外に生産拠点を設け、為替レートの変動が経済に与える影響も低くなっており、環境規制では、政府は2021年に温暖化ガスを2030年度までに2013年度比で46%減らす目標を公表していて、脱炭素に向けた取り組みが企業の投資を呼び込むなど新たな成長の源泉になると盛り込んでいます。
一方、解決の途上にあるのが労働市場と電力の問題で、労働ではここ数年で女性や高齢者の雇用が増えたが、2020年の正規・非正規の雇用者数は2011年時点とさほど変わっておらず、雇用の流動性などは十分ではない状況です。
電力不足・コスト高も未解決だ。
産業向けの1キロワット時あたりの電力価格は2019年度で17.0円と、2010年度比で3.3円値上がりし企業の負担は重くなっています。
再生可能エネルギーの利用を増やす取り組みも求められています。
そしてコロナ禍で「第7の課題」としてデジタル化の遅れが浮き彫りとなり、白書はIT(情報技術)化の遅れが「より鮮明になっている」とし、企業に一層のデジタル化投資を促しています。