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「年金手取り額が少ない」都道府県庁所在地ランキング2024【年金年収300万円編】

住む場所によって年金の手取り額が異なることをご存知でしたか?

この衝撃の事実をみなさんに知ってもらうため、『「年金手取り額が少ない」都道府県庁所在地ランキング』を作成した。

前回の「年金年収200万円編」に続き、今回は「300万円編」をお届けします。

同じ額面収入300万円でも、自治体によって手取り額に大きな差があることが分かりました。

住む場所で年金の「手取り額」は異なる!のです。

その理由とは?
『「年金手取り額が少ない」都道府県庁所在地ランキング2024【年金年収200万円編】』と題して、50自治体のランキングを公表しました。

今回は「年金年収300万円編」のランキングをお届けします。

年金の手取り額は、次のように算出します。

年金の手取り額=額面年金収入-税金(所得税・住民税)-社会保険料(国民健康保険料・介護保険料)

そもそも年金の手取り額をランキングするとはどういうことなんでしょうか。
実は、同じ年金収入、扶養家族人数だとしても、年金の手取り額は住む場所によって異なるんです。
これって意外と知られていない驚愕の事実なんです。

「住むところによって住民税が違うからでしょ」と思うかもしれないが、そうではないんです。

住民税は、全国どこに住んでいても原則として同じ(均等割の非課税要件など細かい部分で違いはあるが、所得にかかる税率は変わらない)です。

所得税も同様に、どこに住んでいても計算方法は同じです。

実は、国民健康保険と介護保険は自治体によって保険料の計算式や料率が異なるため、手取り額に差が発生するんです。
国民健康保険と介護保険は自治体によって保険料の計算式や料率も全国共通にしとけよと言いたくなりますね。

「年金年収200万円」は、長年会社員を勤めた人が65歳から受け取る公的年金の収入を想定したものですよね。
「年金年収300万円」は、公的年金に加えて企業年金や確定拠出年金(DC)、iDeCo(個人型確定拠出年金)、退職金などの年金受け取りがあり、合計で300万円になるケースを想定しているということです。

65歳から受け取れる公的年金を繰り下げ受給したいと考えている人にも参考になるでしょう。

例えば、65歳時の年金収入が210万円の人が5年間繰り下げすると42%増額され、298万円、約300万円になります。
約300万円の年金の手取り額を知るのはドキドキするかもしれない。

国民健康保険料は毎年見直されるが、介護保険料の改訂は3年に1回です。
介護保険料の3年に1回が、今年、その年に当たるんです。
最新の保険料が公表されたタイミングで手取り額を試算したので、ランキング形式で紹介します。

全国の46県庁所在地と東京都内の4区50自治体の手取り額を徹底調査!
ランキング対象は、合計50の自治体で、46道府県の県庁所在地と東京都内の4区です。
東京都は23区がそれぞれ独立した自治体なので、東西のビジネス街と住宅街の代表として、千代田区、墨田区、新宿区、杉並区を調査しました。

国民健康保険料と介護保険料は、各自治体にアンケート調査を依頼し、その保険料データを基に税額を計算して手取り額を算出しました。

なお、期日までに未回答だった自治体については市区のウェブサイトを参照の上、それぞれのケースの保険料を算出しています。

試算条件は、60代後半の年金生活者で、妻は基礎年金のみで、夫の手取り額を試算し、「少ない順番」でランキングしています。

さて、ワースト1位はどこの自治体だと思われますか?

ワースト1位はやっぱり、大阪府大阪市でした。
25位の北海道札幌市とは9万円超の差にビックリしました。
因みにあなたのお住まいの市区町村はありましたか?

「年金年収300万円編」の手取り額の少ないワースト1は、大阪市。
以下、墨田区、神戸市と続きます。

「年金年収200万円編」では、「大阪市、墨田区、佐賀市」という順番だったので、微妙に入れ替わりがあった程度ですね。

大阪市は「年金年収200万円編」でもワースト1位です。
国民健康保険料と介護保険料をそれぞれ見ても、どちらも調査対象の自治体の中で最も高かったことになります。
大阪市の財政状況が良くないことが保険料に影響を与えているのだろうかと思われます。

誤解がないように申し上げておくと、この調査は国民健康保険料と介護保険料の高い自治体が悪いという訳ではないので、誤解のないように。

「住む場所により、年金の手取り額が異なる」ことを知って欲しいということですので、誤解しないでください。

額面年金収入300万円に対する「手取り額」、「社会保険料の合計額」、「税金」、「手取り率(収入に対しての手取りの割合)」を掲載しています。

社会保険料が多いほど手取り額は少なくなり、ワーストランキング上位にきます。
しかし税金は、ランキング上位ほど少ないことが表から見てわかります。

所得税と住民税はどこに住んでいても原則として同じです。
税額を計算する際には、所得から社会保険料を控除するため、社会保険料が多いほど、税金が少なく仕組みなります。

それにしても、社会保険料の差は思いのほか大きいのです。
ワースト1位の大阪市と25位の札幌市を比較すると約9万7000円の差があります。
住む場所を選びたくなるほどの格差があります。

続いて、26位から50位も見てみましょう。

手取り額が多いのはどの自治体?
「手取り率」にも要注目

ワーストランキング下位、つまり「手取り額」の多い自治体は、1位福島市、2位宇都宮市、3位鳥取市という結果になります。

ワースト1位の大阪市の手取り額は、243万9661円。
手取り額が最も多い50位の福島市は、256万6300円で、その差は約12万7000円になります。
同じ300万円の年金額で12万円超の差とはなんでしょう?

表の右端の「手取り率」にも注目して欲しい。
手取り率は、ワースト1位の大阪市は81.3%、50位の福島市は85.5%。4.2ポイントの差がついています。

「年金年収200万円」のランキングの手取り率は、ワースト1位が89.8%、50位が93.3%です。
年金収入200万円前後なら、手取り率は90%くらいを目安とすると良いでしょう。

さて、年金収入が多くなるほど、社会保険料の負担が重くなるので手取り率は減る傾向にあることも知って欲しい。
「年金収入300万円」の手取り率の目安は84%前後です。

年金収入に対する手取り率の目安は、退職金や企業年金の受け取り方で迷っている人、公的年金の繰り下げ受給を検討している人にとって参考になるでしょう。

国民健康保険料の差は約11万円あります。
手取りを左右する「格差」は大きいのです。
国民健康保険料と介護保険料のワースト3とベスト3の自治体をそれぞれ見てみると下記のようになります。

国民健康保険料が最も高い大阪市と最も少ない福島市の差額は、約11万円あります。
これだけでも驚愕の事実です。

介護保険料が最も高い大阪市と最も少ない杉並区との差額は、約5万7000円という結果になっています。

今年は3年に1回の介護保険の保険料改訂の年なので、どうなるのかが気になります。

年金の手取り額の多寡だけでリタイア後の住まいを決めることはできないが、自治体によって国民健康保険料と介護保険料が異なること、そして将来的にはさらに保険料が上がり、手取り額が減少する可能性が高いことは知っておきたいですね。

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