「現状のままでいい」という中小企業は生き残れない
中小企業では、「現状のままで良い」とか「ムリに成長を求めなくても良い」と考えている社長は一定程度はいるものです。
しかしその考え方は、今は全く通用しないだろう。
それは単純に考えてみると誰でもわかることです。
「現状のままでいい」という経営をしていたら、これから先会社は成長するどころか衰退することは、わかるだろう。
右肩下がりの経済で同じように考えてみましょう。
「現状のままで良い」と思っている会社の未来は、やはり現状維持もしくは衰退するだろう。
そして現状のままで右肩下がりの業績は得られず、逆に業績は着実に悪くなるはずです。
「なんだ、あたり前のことをいって……」と思うかもしれませんが、ここが重要なのです。
会社は「売上高から必要経費を差し引いて利益を出す」という損益の観点から考えると、業績が下がると赤字・損失になってしまうでしょう。
また、資金繰りの観点から考えると、資金が枯渇してマイナスになってしまうケースもあります。
人口は減少を続けているのですから、市場が少しずつ縮小しています。
長期的な視点で見ると、成長は鈍化し、むしろ経済は右肩下がりと考えて良いでしょう。
そして、まだまだ続きそうなコロナウイルスの影響を考えると怖いですね。
伸びる会社とそうでない会社の格差は、大きくなっているかもしれません。
現状維持の対応をしているとその先には衰退の道しかないのです。
右肩下がり気味の経済環境のなかで、「現状維持」を実現するには、相当の意気込みで事業に邁進していかないと実現できません。
川の流れのなかで「現状のままでいい」と思い、これまでと同じように浮かんでいたら流されるだけです。
上流に向かって必死になって泳がないと、現状維持はできません。
それと同じようなことです。
このことを理解できている社長は、新しい何か、つまり、新しい市場や事業領域への進出、社内の体制整備などに取り組んでいるものです。
売上高は変動費という費用と粗利益額に分けることができ、変動費とは仕入代金、外注費、材料費で、売上高の増減によって変動する費用のことです。
売上高から変動費を差し引いたものが粗利益額です。
そして、粗利益額は固定費と利益(経常利益)に分けることができます。
固定費とは変動費以外の毎月固定的にかかる費用で、多くの中小企業では人件費が該当します。
もちろん金利などの経費もあり、また、人件費にも変動費に該当するような費用があります。
また、利益(経常利益)の中には、収めるべき法人税などの税金が含まれ、この税金を納める前の段階(税引き前当期純利益)が赤字だと、法人税は納めなくてもよいことになるため、日本にある企業の7割ほどが赤字だといわれています。
では、このことを逆に考えてみてください。
赤字を出すということは利益が出ないということです。
赤字を出す対策は利益が出ない対策、すなわち儲けないようにする対策なのです。
その対策により会社が衰退していくのは明らかです。
一方、赤字であったとしても、基本は社長も社員もみな、一人あたり人件費を増やしたいと願っています。
単純にいうと、給料・報酬を上げたいと思っていますが、簡単に人件費を上げることはできません。
「経常利益」は事業を続けるための費用であり、借入金のある会社では返済の原資になる部分です。
借入金の少ない会社でも、翌期に活かすために残しておかないといけないお金です。
そのため、人件費を増やすには「粗利益額」を増やす必要があります。
売上高はそのままで粗利益額を増やすために、変動費を抑えるということになり、変動費は売上高の増減によって変動する費用ですから、単純に変動費を減らすという対応はできません。
そのため、人件費を増やすという目標は達成できなくなります。
結局のところ、同じ事業をやっていて、少しずつでも粗利益額を上げるためには、小手先の数字の移し替えでは対応できないと考えるようにすることです。
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