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熟年離婚、年金・退職金も折半 財産請求期限は2年
離婚では別れたあとの生活資金をどうするかよく考えたうえで判断したい
「夫が退職したら離婚したい」と考える方も少なくはないでしょう。
大阪府内に住む50代の専業主婦のAさんは専門家に下記のように相談しました。
数年後に夫は定年だが、夫婦仲は冷えており、住宅ローンは完済し、大学生の子どもは就職が決まっている状況。
心配なのは自分の老後資金で夫の年金や退職金を分けてもらえるかを知りたいという相談でした。
目立つ熟年離婚
同居期間が長い夫婦の熟年離婚が増えている状況です。
厚生労働省の人口動態統計によると、同居期間が20年以上の離婚件数は2019年に4万強と10年以来9年ぶりに4万件を超えたようです。
離婚件数全体が同じ期間に2割弱減っているのと対照的である。
「熟年離婚の協議では財産分与をどうするかが問題の中心になる」だろうと考えています。
若い世代の離婚では子どもの養育費や親権などを巡る話し合いになりやすい一方、50代以降の夫婦は子どもが独立しているケースが多いためです。
では財産はどう分けるのでしょう。
財産分与の対象は、夫婦が婚姻期間中に築いた「共有財産」が焦点になってきます。
預貯金、不動産のほか有価証券や生命保険、貴金属や自動車などになります。
住宅ローン、自動車ローンといった負債も含まれるのです。
一方、婚姻期間以外に入手したり、結婚している間でも配偶者の協力とは無関係に得たりしたものは原則「特有財産」として、分与対象から外れます。
例えば独身時代から持っていた預金、結婚後に贈与や相続で受け取った財産などが該当するようになります。
財産分与、2分の1が基本
共有財産は名義にかかわらず2人で協力して得たと考えるため、分与の割合は2分の1ずつが基本となります。
法律には明記されていないが、「判例に基づいて確立しているルール」と専門家は話しています。
財産分与を請求できるのは離婚後2年以内で、離婚するときに財産分与を取り決めていなかったり、決めていても離婚後に相手が財産を隠していたことが分かったりした場合は、2年以内であれば分与を請求できます。
熟年離婚では退職金や年金も一定の条件で財産分与の主な対象になることを知っておきたいものです。
いずれも婚姻期間中に2人で協力して得た財産として考えるためです。
まず退職金をすでに受け取っている場合は共有財産に含められます。
支給される前でも近い将来に受け取る可能性が高ければ、分与の対象となるのです。
専門家は「定年退職まで5年以内の場合や、10年以内でも大企業に勤務していたり公務員だったりするケースは認められる可能性が高い」と指摘しています
公的年金では、離婚の際に年金を分けられる年金分割という制度があります。
分割対象は厚生年金の報酬比例部分となります。
結婚している間の年金の保険料は夫婦が共同で負担したとの考え方から保険料の納付記録を分割し、分割した記録を基にそれぞれの年金額を計算することになります。
共働きで2人とも厚生年金に加入している場合は、それぞれの報酬比例部分を合算して分ける仕組みになります。