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民間介護保険、広がる選択肢!

はじめに

 「将来、自分の介護費を払えるかどうか不安です。公的介護保険だけで足りるでしょうか」。

 50代の人が親の介護を経験し、それをきっかけに自分の介護の準備を全く考えていなかったことに心配になるケースが多いと話す。

1.増える要介護者
 介護が必要になる人は高齢化の進展に伴って右肩上がりで増えている。

 公的介護保険の要介護認定で「要介護」または「要支援」とされた高齢者は今年6月末時点で約674万人と、2016年に比べ約1割増えた。65歳以上の5人に1人を占める計算だ。

 公的介護保険は介護が必要な状態にあると認められると、介護サービスを受けることができる。

 利用できるサービスの合計金額は月の上限があり、利用者は限度額の範囲内でどんな介護サービスをどれくらい受けるかを決める。

 実際にかかった費用の1~3割が所得に応じて自己負担となる。

 限度額は地域によって違うが、例えば在宅介護で最も重い「要介護5」の目安は月約36万円、最も軽い「要支援1」は月約5万円だ。

 自己負担1割の人が限度額まで利用すると、実際に毎月負担する金額はそれぞれ3万6217円と5032円になる。

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2.介護費膨らむケースも
 生命保険文化センターが介護経験者に実施した21年度調査によれば、毎月の介護費は在宅介護と施設介護を含めて平均8万3000円だった。

 ただしどの程度の介護サービスが必要かは人によって違うため、支出が膨らむケースがあることを知っておきたい。

 まず要介護度が重い場合だ。公的介護保険では自宅でヘルパーの介助を受ける訪問介護、施設に通うデイサービスといった介護サービスがある。

 「要介護3以上になると利用するサービスや回数が増え、限度額を超えることが多くなる」と専門家は話す。

 限度額を超えた利用は全額自己負担だ。

 身体の負担を減らすため家事代行や配食サービスを利用する場合は公的介護保険の対象外なので、全額自己負担になる。

 また要介護認定で軽度と判定されても、「例えば一人暮らしで認知症を患い、常に見守りが必要な場合は支出が大きく増える可能性がある」。

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 介護費の負担はまず貯蓄で賄うのが基本だが「貯蓄だけで不十分ならほかの手段で補う必要があり、民間介護保険が選択肢の一つになる」。

3.民間介護保険、保障対象広がる
 民間介護保険は公的介護保険で要介護認定を受けたら保険金を払う商品が主流。

 まとまった金額を一度に払う一時金型と毎年決まった額を払う年金型がある。

 契約者の年齢や保障内容などでケース・バイ・ケースだが、これまではおおむね「要介護2以上」が対象で月々の保険料は1万円を超えるものも少なくなかった。

 最近は保険料が低めで、保障対象を広げた商品が増えている。

 アフラック生命保険が9月に発売した商品は「50歳で加入すれば、月2500~3500円前後の保険料で公的制度の自己負担を賄えるよう設計した」。

 契約内容で保険料は異なり、一時金を10万円、年金を要介護度に応じて20万~30万円受け取る契約では50歳男性が月2480円、女性は月3510円だ。

 保険料を抑えるには共済も選択肢となる。日本コープ共済生活協同組合連合会が組合員向けに提供する商品は、公的介護保険の「要介護2」以上になると一時金を受け取れる。

 50歳の人が300万円を受け取る契約なら保険料は月290円だ。

 ただし契約は毎年更新し年齢とともに保険料が上がる。

 要介護度が低い段階から保障する例が朝日生命保険の商品。

 要介護のなかで軽度の「要介護1」から年金が出るプラン、さらに軽度の「要支援2」で一時金を受け取るプランがある。

 一方、東京海上日動あんしん生命保険は8月、同社が定めた基準を満たせば20歳から保障する商品を発売。

 公的介護保険は40歳未満が対象外で、40~64歳も保障するのは末期がんなど16種類の疾病が原因の場合に限る。

 新商品は対象年齢が広く、ケガが原因でも保障される可能性がある。

 一定の年齢まで要介護にならなければ、それまでに払った保険料を全額返金する仕組みを入れたのも特徴だ。

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 民間介護保険は幅広いリスクに備えるなら一案だが、公的介護保険の保険料だけでも65歳以上の全国平均で月6000円を超える。

 「民間保険の保険料が家計の重荷にならないか吟味することが大切」だ。



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