自社を活かすために借入限度額の目安を把握しよう。
2021年上期(1月~6月)の企業倒産は、ともに3000件台で記録的低水準だったようだが、私の周りや私の会社に経営難で相談に来られる企業はかなり増加しているのに、「えっこんな件数?」というのが正直がところです。
コロナ禍が続くが政府や金融機関の資金繰り支援が多少の支えになったのだろうか?
帝国データバンクでは、前年同期比21.8%減の3083件、東京商工リサーチでは同23.9%減の3044件と発表されています。
帝国データバンクは7業種中5業種で、東京商工リサーチは全10産業中8産業で前年同期を下回ったというデータがあります。
今後は企業の過剰債務の影響が出るとみられ、東京商工リサーチは「倒産件数は夏以降増加に転じる」、帝国データバンクは「原材料価格高騰を販売価格に転嫁できない状況が今後に影響する」とみている。
この9月以降の経済の下落、原材料の高騰が製造業を中心とする日本の中小企業に大きな打撃を与えることは、間違いないだろう。
そして東京商工リサーチが予測する、夏以降の企業の倒産件数は増加することもまず間違いないだろうと思える。
対策として、製造業は如何に安値の間に原材料の確保または原料支給を取引先に依頼しつつ、取引先の与信管理を徹底するとともに如何に現金をプールできるかが、生命線になるものだと考えています。
赤字経営であっても資金が回るうちは、倒産せずに経営活動をすることができても、黒字経営であっても毎月の資金繰りが回らないと意図も簡単に倒産を招いてしまうからである。
そして黒字倒産の危機に晒されている中小企業は、恐ろしいほど多いことも事実であるのです。
金融機関に融資が得られている間は、まだ良いでしょう。
ですが、いつまでも融資をしてくれないのも事実です。
参考:借入限度額の目安 = 月平均売上高 × 借入金月商倍率
借入金月商倍率 経営状況
小売業・製造業・サービス業の場合: 1.5 健全
3.0 注意
6.0 危険
卸売業の場合: 0.8 健
1.5 注意
3.0 危険
上表を見ると、小売業・製造業・サービス業の借入金月商倍率は、月平均売上高の1.5か月が健全であるのと比べ、卸売業は0.8か月と低くなっています。
その理由は、融資返済の財源となるのは利益のため、粗利益が低い卸売業は借入金月商倍率の適用基準が低くなるからです。
自社の経営改善のため、または取引先からの倒産の被害に合わないための備えをするようにして大切な従業員、その家族、下請け企業や協力会社を守るすべをしっかり行ってください。