こんな生命保険に入ると損をする!
生命保険文化センターの調べによると、何らかの生命保険に入っている人は82.1%(「生活保障に関する調査(速報板)」令和元年度)。
世帯あたりの保険料の平均は年間38.2万円(月額約3万2000円)です(「生命保険に関する全国実態調査」平成30年度)。
生命保険の契約は、超長期に及ぶことが多いものです。
場合によっては30年、40年と支払うこともあります。
年間の保険料38.2万円を30年支払うと1146万円、40年ですと1528万円になります。
かなりの高額になり、保険は、1000万円以上もする大きな買い物なのです。
ですからもし、あなたが必要のない保険に入っているとしたら、とても大きな損を抱えることになります。
そこで今回は、超辛口の保険評論家として、必要のない保険をバッサバッサと切っていきたいと思います。
1.保険の本来の役割を考えれば必要でない保険がわかる
保険のそもそもの役割を考えてみると、「必要な保険」と「必要でない保険」がわかります。
私が考える保険の本来の役割とは「滅多に起こらないけれど、もしそれが起こったときに経済的損失の大きなこと」に対して備えることです。
生命保険の保険金・給付金は、現金支給です。
つまり、困ったことをお金で解決するのが保険の目的なのです。
たとえば、20代の独身で、子どももなく扶養家族もないという方がもし死亡した場合、悲しむ人はたくさんいてくれたとしても、経済的に困る人がいなければ、死亡保障は必要ありません。
ところが、結婚をして子どもや家族がいる場合は、残された家族は経済的に困ってしまいます。この場合には死亡保障は必須になります。
また、経済的損失が小さいときは、わざわざ保険で備える必要はなく、貯蓄で備えればよいのです。
この原則を踏まえながら、「必要のない保険」を考えていきましょう。
(1)こんな生命保険に入ると損をする!1:医療保険はいらない
医療保険について、先ほどの原則に当てはめてみましょう。
「入院は滅多に起こらないけれど、たまに起こることがある。
しかしもしそれが起こったとしても、経済的損失は小さいので、保険ではなく貯蓄で備えよう」といえるでしょう。
なぜならば、治療費は健康保険があるため、3割負担で済みます。
また、高額になっても高額療養費制度があるので、自己負担額は少ないのです。
多くの人は入院が心配と言っていますが、経済的な負担はじつは少なく、おおむね30万円ぐらい貯蓄があれば対応できます。
医療保険で備えるよりも、貯蓄で備えましょう。
(2)こんな生命保険に入ると損をする!2:終身保険はいらない
いまは低金利時代です。
当然、保険の予定利率(予想される運用利回り)も低く、貯蓄としての終身保険の魅力はありません。
死亡保障を考えるのでしたら、掛け捨て型の定期保険などで備えるのが合理的です。
ただし、相続税対策としては、死亡保険金には非課税枠があるので、とても有効です。
また1999年4月1日以前)に契約した終身保険は予定利率が良いので、解約をしないで大事に取っておいてください。
(3)こんな生命保険に入ると損をする!3:外貨建て保険はいらない
貯蓄型で円建ての保険は、予定利率がよくないので魅力がありません。
ですから保険会社は、外貨建ての保険の販売に力を入れています。
しかし、この外貨建て保険というのは、決してお得な商品ではありません。
元本保証があるといっても、それは外貨での保証。
為替の変動によって損をすることがあるので注意してください。
また手数料も高い商品です。
保険商品を考える場合、保障と運用はわけて考えた方が効率的です。
(4)こんな生命保険に入ると損をする!4:個人年金保険はいらない
老後資金が心配ということで、個人年金保険に入る人も多いのですが、こちらも予定利率はよくありません。
老後資金を準備するのでしたら、個人年金保険よりもiDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)、つみたてNISA(ニーサ・少額投資非課税制度)などを利用した方が効率的です。
とくにiDeCoは税制優遇が大きいので、老後資金を準備するには最適です。
個人年金保険は、iDeCo、つみたてNISAの次、三番目に検討すればよい商品です。
(5)こんな生命保険に入ると損をする!5:学資保険はいらない
子どもの学費は大きな出費になります。
しかし学資保険には、元本割れする商品が多くあります。
確かに、保険としての役割はありますが、学資を貯める役割には不十分です。
もちろん払い込んだ保険料総額より増える商品もありますが、大きく増えるということはありません。
学資を貯めるという目的ならば、つみたてNISAを利用することをお勧めします。
(6)こんな生命保険に入ると損をする!6:三大疾病保険はいらない
大疾病保険とは、がん・急性心筋梗塞・脳卒中と診断されると保険金を受け取ることのできる保険です(支払い要件は、がん・心疾患・脳血管疾患の商品もあります)。
がんの場合は、診断されると保険金を受け取ることができますが、急性心筋梗塞と脳卒中は、所定の要件を満たさないと保険金を受け取ることができません。
それに、死亡保険と比べて保険料は高めになっています。
そのうえ、もちろん三大疾病以外の病気になったとしても、保険金は受け取れません。
ですからこの場合は、就業不能保険で備えた方がいいかもしれません。
2.本当に必要な保険とは
上記で、必要ではない保険をあげてきましたが、「だったら、本当に必要な保険とは何なんだ?」と思われたことでしょう・・・
それは、上記でもご紹介をしたように「経済的損失が大きなことに備える保険」です。
経済的損失が大きいリスクには、2種類あり・・・
ひとつは、もしものことがあって亡くなるリスクです。
死んでしまうと残された家族が困ります。
もうひとつは、病気やケガによって働けなくなり、収入が減ってしまうリスクで生活に直接影響があり、困ってしまいます。
亡くなるリスクに対応できる保険には、定期保険や収入保障保険があります。
収入が減ってしまうリスクに対応できる保険には、就業不能保険やがん保険があります。
また、これらより優先度は低いものの、介護費用のねん出が厳しいようであれば、介護保険を使うのもいいでしょう。