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老人ホーム選び10のポイント
老人ホームを選ぶ理由は一人ひとり違います。
以下にホームを選ぶ際のチェックポイントをまとめましたので、これらを参考に、ご入居される方やご家族が大切にしたいことやその優先順位を整理してみましょう。
イメージが固まってきたらそれに当てはまるホームを探し、気になるところがあったら、見学や体験入居など、ステップを踏んでじっくりと選ぶようにしましょう。
なお、老人ホームを含む高齢者向け施設は種類が多く、費用面、提供するサービスなどがさまざまですので、まずはそれぞれの特徴をつかんだ上で候補を絞っていくことをおすすめします。
Point1:地域
どの地域を選ぶのかは介護を中心に暮らす(要介護者の場合)のか、自立した生活を楽しむ(自立者の場合)のかにより、大きく違ってきます。
介護を中心にした場合は、ご本人にとって精神的な支えである、ご家族の通いやすさが重要になります。
特に遠距離介護の場合はご家族の負担が大きいので、ご家族の近くへ移り住んだほうがよいことも。
ただし、大きく環境が変わることでご本人が戸惑うことが出てくるかもしれません。
ご本人の希望を優先して、できるだけ無理のない地域を選ぶようにしましょう。
一方、自立した生活を楽しむ場合は、将来、介護が必要になったときのことも頭に入れて、終のすみかにしたいのか、住み替えをするのかも考えるべきポイントです。
Point2:費用
まずは資金計画を立て、無理のない料金設定の施設を選ぶようにしましょう。
前払金(入居一時金)、月額費用とその内訳、実費負担(医療費、日用品、おむつ代など)、介護保険適用範囲と自己負担額、有料サービスなどもチェックしておきます。
入居年数は、「介護期間は平均4年7ケ月」という統計※や日本人の平均余命などを考慮して見通しを立ててみましょう。
ある程度見通しが立ったところで、似たような料金のホームをいくつか見学してみて、あなたにふさわしいホームを選びましょう。
※ 生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」
💛日本人の平均余命
Point3:入居条件
各ホームには入居条件(年齢、健康状態、要介護度など)と退去条件がありますので、住み替えせずに終のすみかとする場合は、要介護度が上がった場合、認知症が進んだ場合、医療行為が必要になった場合、長期入院した場合でも住み続けられるのか、しっかりと確認しておきましょう。
また、入居時には身元引受人(身元保証人)が必要になります。
いない場合は身元保証を請け負う社団法人や保証会社、NPOを利用するのもひとつです。
ホームによっては別途費用を支払うことで代替できるところもあります。
Point4:ケア体制
どれだけ手厚いケアが受けられるかは、スタッフの数によって違ってきます。
介護付有料老人ホームの場合は、入居者3人に対して介護スタッフ1名以上を配置する「3:1」が国の最低基準です。
これよりも多ければ多いほど手厚い介護が受けられることになります。
夜間はスタッフが少ないことも頭に入れておいてください。
看護職員の有無や勤務体制(昼間のみ、24時間配置など)、医療機関との連携、日常的な健康管理、機能訓練指導員(リハビリ専門員)の有無、緊急時の対応や体制、看取り体制などもチェックしておきたいポイントです。
なお、住宅型有料老人ホームの場合は、外部の事業者との契約で介護サービスを受けるシステムなので、介護スタッフは常駐していません。
生活支援サービスをしてくれる施設スタッフの人数(夜間体制含む)、看護職員の有無、医療機関との連携、緊急時の対応などをチェックするようにしましょう。
Point5:運営法人
最近は、介護を専門とする企業だけでなく、医療系、不動産・建設系などの参入が増えてきています。
それぞれ得意分野がありますので、自分の求めるサービスと合ったところを選ぶとよいでしょう。
また、民間企業が経営するホームは大手企業であっても、運営法人の交代や、中には倒産した例もあります。
経営母体の介護事業の実績、財務状況、事業理念、情報開示要求への対応などを確認しておきましょう。
安定した運営が維持・継続できているかどうかは、入居率や退去率で、ある程度推測できます。
退去率が高い場合は、退去理由を尋ねてみてもよいでしょう。
Point6:スタッフの質
ホームの住み心地を大きく左右するのが、そこで働くスタッフです。
スタッフの質がよくなければ、希望するサービスがそろっていても満足が得られにくいかもしれません。
スタッフ同士の会話や入居者に対する対応ぶり、みだしなみなど、見学のときにさりげなく見てみましょう。
また、介護サービスの質の向上のためには研修が欠かせません。
しっかりとした研修制度があり、それをスタッフ全体で共有し、日々の介護に生かす体制ができていれば、非常事態においても適切な対応がとられることでしょう。
Point7:ほかの入居者
ホームで楽しく暮らすためには、既に入居している人たちの雰囲気もポイントのひとつです。
入居者の男女比や年齢、要介護度がどれくらいの人が多いかなどもチェックしておきましょう。
ランチの時間帯の食堂は、多くの入居者が集まっており、ホームの雰囲気がよくわかります。
ランチの試食が可能なら、入居者と一緒に、同じものを食べてみるのがよいでしょう。
また、好感が持てるホームに、数日間体験入居してみるとホームの一日の生活や雰囲気がよくわかります。
ご入居者様の平均年齢は87歳、要介護度は下図のようになっています。
ご入居後は、ご入居者様のお人柄や、趣味・嗜好を細かくお伺いし、気の合いそうな他の入居者と自然と仲良くなれるよう、スタッフがお手伝いします。
【ご入居者の要介護度】
Point8:設備と住空間
介護が必要になってからも安心して暮らすためには、設備、住まいの場としての空間が重要になります。
廊下は車椅子ですれ違える広さがあるのか、居室も車椅子に対応しているか、ドアの形状や床材の材質はどうか、浴室設備はどんな身体状態まで対応しているのかなど。
また、外出がむずかしくなっても、庭やバルコニーなど、緑に触れる空間があることも望ましいでしょう。
居室に自分のお気に入りの家具や仏壇などを持ち込めるかも確認しておきたいポイントです。
Point9:食事
食事は、生活の満足度を高める重要な要素になります。
献立表などをチェックして、献立の傾向を見てみましょう。
管理栄養士がいるのか、ホーム内で作られているのか、療養食などの個別対応や、咀嚼や嚥下機能低下への対応は可能かなども確認しましょう。
楽しい演出のある行事食も生活に張りが出ます。
食べなかった場合の利用料金や、メニュー選択の幅(事前に申し込む、その場で選べるなど)についてもチェックしておきましょう。
Point10:家族とのかかわり
ご入居される方にとって、ご家族の面会は何よりうれしいものです。
ホーム側がそれをどの程度大事に思っているかによって対応も変わってきます。
訪問時間に制限はあるのか、訪問した家族の居場所や食事の用意はしてもらえるのか、宿泊できるゲストルームはあるのかなど。
同じ食事を摂ることで、入居者がどんな食事をしているかがわかるので安心です。
入居者の外出、外泊が可能かもチェックしておきましょう。