ちゅうざんnote.

記憶と記録。短歌と散文。なんくるならない。 沖縄で生まれ育った中山琉貴です。俳優です。

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    散文。日々のことをつらつらと。

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    八重山日報・沖縄本島版にて2018年4月〜2019年3月まで隔週土曜日連載担当していたコラムです。過去記事のいくつか掲載しています。

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九月自選短歌「夏の終わり」

    • ブラックホールのような寂しさ。深海のような哀しさ。太陽みたいな嘘っぱち。虹色みたいな甘ったれ。夜霧のように漂う空虚。阿保みたいな呪文を唱える。気まぐれ台風通過して夜更けと共に夏はゆく。探し続けてる宝島。旅の途中でくちずさむ歌。好きだと言ってくれた女たち。みんなどっかへ消えてった。

      • 八月短歌「光のカクテル」 善人じゃないと気付いた夏の暮れ 僕のまんまでどこまでゆける

        • 短歌「リバーサイド」

        • 九月自選短歌「夏の終わり」

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        記事

          最近中学時代の夢をよく見る。俺だけいない教室で皆仲良くしろと担任が笑う。消えたい感覚はこの頃からか。茶髪パーマも耳軟骨のピアスも中2の俺を守るシールド。のはずだったけど、味方は筆談会話してくれた保健室の先生だけだった。先生まだ生きてるだろうか。38歳のこの有り様を見てどう思うかな

          最近中学時代の夢をよく見る。俺だけいない教室で皆仲良くしろと担任が笑う。消えたい感覚はこの頃からか。茶髪パーマも耳軟骨のピアスも中2の俺を守るシールド。のはずだったけど、味方は筆談会話してくれた保健室の先生だけだった。先生まだ生きてるだろうか。38歳のこの有り様を見てどう思うかな

          七月短歌「あまりにも夏」

          新宿で渋谷で夢で朝焼けの海で あなたを探す七月 誰だって抱えたままの傷があり 真夏の通り雨は冷たい 七夕の海であなたを待っている 上書きされて消えた足跡 海開きみたいな出会いだったから 僕の世界は夏ではじまる 七月を燃やし尽くして八月を また手に入れる。あの夏は燃ゆ ユイユイと島のリズムでくちずさむ 君の名前が僕は好きだよ 悲しみを痛みをそれと知るまでに あと何度、夏。あまりにも夏 海は言う 「傷付いたから知ったこと、傷付けていた君がいたこと」 ありあまる愛。

          七月短歌「あまりにも夏」

          短歌連首「月桃」

          ちむぐくる 梅雨明け待たず散る花よ 紡ぐいのちにあの夏は燃ゆ 慰霊の日 六月二十三日が 今年も来たるふるさとの夏 極東のハブと呼ばれたこの島に 有刺鉄線、夏、ゲート前 見渡せばどこも誰かの土地だった どこも誰かの暮らしがあった 台風は毎年のように来るけれど あなたは二度と帰ってこない 辻褄を合わせるように雨が降る 誰にも見せない涙もあって 軽率ないのちの値踏み死にたさに 同調はせず 我れは島人(しまんちゅ) 頬撫でる風はあの夏から来たる 永遠に響けよ、ふるさとの

          短歌連首「月桃」

          短歌連首「上京」

          四畳半家賃四万五千円から始まった旅の途中だ 日払いの荷卸し後に貪った ビール、ラキスト、日替り女 歌舞伎町廃れたビルのママの酒 赦されながら生き延びてきた この街でなんでもやったとこぼしてた 酒場のオヤジ、まだ生きてるか 四畳半敷き詰めた夢のようなもの メーデーメーデーここから出して いつだって信じる者はすくわれる 神さまだとか足元だとか 遅咲きを恐れるなよと笑ってた アニキの言葉が張り付いている 都合よく変わるよ人も俺だって。 明日はどんな夢を描こう?

          短歌連首「上京」

          五月自選短歌「サラバ、新宿」

          五月雨に滲む新宿 酔いどれの 描く水面は夢を映して 出会うとは心の岸辺に橋を掛け 胸のビー玉渡し合うこと 私まだ忘れてないよ約束も 誓いもぜんぶ呪いに変えた 転調も休符もある我が人生だ ノイズのような日々を刻むな 言葉など覚えなければ頬寄せて 触れ合うだけで満たされたのに やさしさを見せつけあって触れ合って なだめすかせてまたさようなら タイミングずれてるようで同じとき、 同じ想いで傷付いてたり 俺は君のことなど詠まぬ 都合よく忘れもできぬ魂は燃ゆ 決別の色な

          五月自選短歌「サラバ、新宿」

          あなたのいない海だから

          記憶の記録。数年前に亡くなった友人が残したNikonのフィルムカメラを現像したら出てきた写真たちがある。私が短歌や散文を書く際に使用する背景画の多くもこのカメラで撮影した写真たちだ。カメラはすでに壊れていて、現在は私の書棚で眠っている。 30年近く前になるが、友人は鎌倉に居を構えながらも、父と同じ病院(沖縄)で長らく入院生活を送っていた。同じ病、闘病を経た者同士気が合ったのか、退院後鎌倉に戻った後も数年に一度は沖縄に足を運び、父に会うついでに我々家族と会うことが10年ほど続

          あなたのいない海だから

          短歌連作「夏、待望論」

          夏、それは俺が生まれて祖母が死に 愛が生まれて消えた季節だ ヘインズの白ティ買った ボックスの 赤supreme すぐに剥がした また春が過ぎてすぐまた夏がくる 去年のほてりも冷めてないのに ペイデイにハメを外した米兵と 腕相撲して折れた中指 ベトナムに行ってしまった米兵が サインしたまま褪せたドル札 アメスピの火はもう消えた アメリカの火はまだ灯るフェンス越し夏 島唄をくちずさむとき 三線の泣く音がする梅雨が明けるよ

          短歌連作「夏、待望論」

          三月自選短歌「春はここです」

          くちびるに紅 まぶたには青 爪に花を咲かせて春はここです 洋服を脱ぎ捨てるように名言を 脱ぎ捨てていく着飾っていく ニセモノは大抵キラキラまぶしくて 君の狡さも愛してくれる 手放したから手に入れる手のひらに おさまるものは限られている 結末を選んだ順に春がくる。 別々に咲く花なのでしょう 振り切って駆け抜けて春とめないで、 もっと遠くの違う私へ こんなはずじゃなかったはずのその先に 想像以上の未来もあった

          三月自選短歌「春はここです」

          13年前の3.11

          13年前の3/11震災発生時、まだ駆け出しのコピーライターだった私は先輩のお使いで西五反田のTSUTAYAに居た。 突然ザワつく店内と地鳴りの様なこれまでにない違和感。次の瞬間、店内の数人は咄嗟に入口に走った。呆気に取られてる間に前後のCD棚が激しく揺れた。棚の間には私と中学生くらいの女の子。互いに目が合った次の瞬間、夢中で手を引き(繋ぎ)入口に走った。必死に走れと叫んでくれた男性もいた。 気付いたら店の外にいて人が溢れていた。私たちがさっきまで居た棚はドミノ倒しだった。

          短歌連作七首「卒業のうた」

          もう少しあともう少し夢の中。 僕ら春待つ息吹のように 卒業の歌はいくつもあるけれど。 校歌はひとつしかないんだね マーチングバンドのように肩並べ 踏み出したらもう、それぞれの春 君が君のやさしさで苦しまぬように、 君の味方でいたい春です 島を出ていく君たちがこの島の 宝なんだよ「行ってらっしゃい」 この曲を教えてくれた君の声 ばかりで再生されてる曲だ 大丈夫、それでも日々は続くから。 「さよなら、いつか、また会ましょう」

          短歌連作七首「卒業のうた」

          短歌連作七首「サマー・ソルジャー」

          カーラジオから響くサニーデイ・サービス 雨を弾いて窓に七色 焦げついた気持ち火照(ほて)った魂に 生温い風、君に会いたい そっちはどう?って聞かずとも 知ってる君は君のまんまだ 炭酸のペットボトルを開けるとき 弾け飛ぶ泡くらいの青春 僕たちはサマー・ソルジャー あの夏の心はいまも火照ったままさ 空はどこからどこまでが空色で 僕らいつまで若者なんだ 夏がくる。にはまだ早く春雨の ペトリコールにブルーは香る

          短歌連作七首「サマー・ソルジャー」

          最近、憑き物が取れたかのように日々が充実してる。悩みが無いわけじゃない。晴れないままの憤りもある。それでも私は好きな仕事をし、やりたいことへの準備を虎視眈々と進めている。とても健康的だと思う。囚われのない心。何でもやれるという潜在的な自信。ままならない日常を楽しむ意思と日々の選択

          最近、憑き物が取れたかのように日々が充実してる。悩みが無いわけじゃない。晴れないままの憤りもある。それでも私は好きな仕事をし、やりたいことへの準備を虎視眈々と進めている。とても健康的だと思う。囚われのない心。何でもやれるという潜在的な自信。ままならない日常を楽しむ意思と日々の選択