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【青森への旅②】__奈良 美智 Miss Forest《森の子》との出逢い__

もうすぐ6月になる。 夏が近づくと、思い出す。あの照りつける太陽の下で出逢ったあの子どものことを、、。 思い出す度に胸をぎゅうと締め付ける、そして、なんだかたまらない気分になる。今この文章をしたためながらも私は自分の心が痛むのを感じている。 そんな、決して忘れられない体験___ それが奈良美智作・「森の子」との出逢いである。 ・ ー”導かれる”ということー 平成28年度開隆堂出版美術1の表紙※1を堂々と飾る「あおもり犬」。 今回の青森の旅では、青森県立美術館に

【青森への旅③】青森県立美術館来訪記

朝9時。青森市内からバスで30分ほど揺られる。 バス停を降り、まだ朝の静けさの漂う公園の森の中をしばらく歩くと、見えてくる。 青森県立美術館__。 ひらけた草原の中にぽつんと佇む白亜の建築。 遠くから一見するとシンプルなその外観の中は、果たして___。 ー美の“エンターテイメント”空間ー 本美術館の常設展示の中で、ひときわ存在感を放つマルク・シャガールの傑作 舞台背景画《アレコ》 シャガールは、「色彩の魔術師」として称されているが、パリのオペラ座の大天井画を

没後170年記念 北斎 ー富士への道 展覧会感想

ー北斎との出逢いー 富嶽三十六景 「神奈川県沖波裏」※1 葛飾北斎は、国内外問わずその名を轟かせ、人気を博している画家である。日本で人気の高いフランスの印象派の画家たちのように、国内で開催される数多くの展覧会に顔を出しているようにも思う。 2024年度に刷新される、日本千円札の絵柄のモチーフにも富嶽三十六景「神奈川県沖波裏」が起用されるという。 北斎は日本を代表する革命的画家として、今なお、いや、これから益々その人気は確固たるものになっていくのだろう。 ここま

ムンク展 感想 ―憂鬱と失落、そして飛翔―

12月も半ば、上野の空は快晴だった。 いかにも真冬らしい乾燥した空気と黄金色に染まる銀杏の葉が舞うのを眺めながら公園内を歩く。 目当ては、ここだ。 建物と影とのコントラストが際立って実に美しく見える。良い日に来たものだと、少し浮き足立つ思いで、私は会場へ足を踏み入れた_。 ー 叫び ームンクといえば血のような赤。どろどろとしたモチフ。黒い塊、、 そのようなイメージが強い。 今回の展覧会で一番注目されている作品は、《叫び》であろう。 《叫び》については、子どもの