#258【日記】言葉が通じない、そういうもん
今日もお読みくださってありがとうございます!
今日のタイトルAI画像は「戦場で、軍服の男と女が背中合わせに立っている」でした。
うーん、なんで3人になった?
↓ 背中を預けられる人は誰か吟味しよう、の気持ちをこめてこういうのがほしかった
『虎に翼』で見ないふりされたもの
トラつば、楽しく見ていて、今ちょうど戦後の民法改正のところです。
先日宇多丸さんのアトロクに脚本家の吉田恵里香さんが出ていて、
と言っていました。
生放送でのインタビューだったこともあり、「女性だからと言って頭が悪いように書きたくなかった」という意味かな、と受け取りました。
文字どおり受け取ってしまうと、けっこう過激な発言だなと思いました。
男女関係なく頭がいい人もいれば悪い人もいます。
胃腸が強い人も弱い人もいるのと同じです。
ふつうは物語の登場人物のほとんどが標準的なところに設定されていて、仲間内にすごく頭のいい人(出木杉くんとかしずかちゃんとか)も、悪い人(のび太とかまる子とか)もいて、あとは普通なのがスタンダードかと思います。
食い意地が張っているまる子と、胃腸が弱い山根がいて、ほかは普通なのと同じです。
一方、『虎に翼』では、はるさんや花江ちゃん、弟の直明など法曹界以外も含めてみんな頭がいい。
したり顔でトンチキなことをするオジサンたちだってある程度は話が通じる。
とにかく、登場人物ほとんど全員頭がいい。
悪い人じゃないんだけど、話が全く通じない人
くらたの元同僚の女性で、悪い人じゃないんだけどちょっと……という方がいます。
仕事の話なのに「昔はこうしていたから同じようにしなきゃダメだ」とか「それはなんとなくイヤだ」とかまあ、世にいう、論理的思考の苦手なかんじの方でした。
仮にムカシさん、とします。
もう使わなくなった机を廃棄しようという話になったときにムカシさんは「昔はこの机で会議をしていたんだよ!だから捨てちゃダメ」と怒っていました。
もうガタガタで十年以上使っていないのだから、昔この机で会議をしていたことは捨てない理由にはなりません。
どの廃棄品だってむかしは使ってたに決まっている。
「だから」の前後の因果関係をムカシさん本人以外の誰ひとり理解できなかったけれど、あまりの剣幕に結局机は捨てられませんでした。
ほんとうに何言ってるかわからないときには、サンドウィッチマン富澤さんのように「ちょっと何言ってるかわかりません」とは言えないものです。
ムカシさん以外全員同じ意見だったのも、それには気がつかず机が捨てられずにすんで満足げだったムカシさんも、なんか気の毒でした……。
「驚かなくてごめんなさい」?
ただ、ムカシさんは面倒見のいい方なので、お食事ご一緒させていただいたりしていました。
仕事を離れればすこぶる善良な方です。
ムカシさんにはこれまでも母の病気の話をしてきたのですが、先日、
と言われました。
ん?どういう意味??
何を謝られているのかよくわからんぞ?
くらたも大人ですから、内なる寅子も内なる富澤も召喚することはせずスンッで済ませましたが、モヤモヤ。
わたし、別にムカシさんに驚いてほしかったわけじゃないけど?
この人はどの立場から何を言ってるんだ?
いや、ムカシさんのことだから、悪気はないんですよ。
何かを申し訳なく思って、それを謝ったつもりでいることは間違いない。
家族の病気の話を「相手に驚いてほしい」という動機でする奴なんかいねえだろ
文章どおりに解釈すれば、
ムカシさんは、母の病気話をわたしから最初に聞いたときに、適切なリアクションをできていなかった、と感じているのか。
なるほど、それはわかった。
でも、驚いてほしかったわけじゃないから「驚かなくてごめん」はなんか変。ていうか家族の病気の話を、「相手に驚いてほしい」という動機で話す人なんかいないんだから「驚く」というワード選択がおかしい。
おそらく、ムカシさんは、世界を認識する解像度がファミコンのドット絵くらいガビガビなのでしょう。
インプットがそんなだから脳みそにある日本語や認識もガビガビか間違えているし、そんな状態で適切なアウトプットができるわけがないよな。
そもそも母の病気の話をムカシさんにした動機は予定変更の必要があって話しただけだから、ムカシさんのリアクションなんて争点じゃないのだ。
せっかく謝ってもらったけど、どんなリアクションだったか覚えていない。
逆に言えば、違和感のあるリアクションではなかったはず。トキコさんみたいな。
「だから」の前後の因果関係が意味不明界隈
さらに、「〇〇さんが同じ病気だったから」って理由がよくわからん。
ムカシさん本人が病気だったわけじゃないうえに、〇〇さんの家族だったわけでもない。
どの立場で何を言っているのか?
でも、そうね、「昔これで会議をしていたんだよ!だから(今使っていない邪魔な机を)捨てちゃダメ」って全力120%でブチギレて言える人ですからね……。
「だから」の前後の因果関係が意味不明界隈ではぶっちぎりナンバーワンの人でした(これも解像度激低から来ていると思うが)。
ムカシさんの言うことに論理的整合性を求めても無駄だった。
もっと悪意を持って解釈すれば、
という意味にもなりえます。
彼女の面倒見のよさや論理性欠如から言ったらこんなつもりはないのでしょう。
けど、「大して珍しい事案ではないから自分は驚かない。それは大ごとではない」というニュアンスは(言語化して認識はしていないだろうけど)ちょっとあるよな、と思う。
それも、解像度低い根っこから来てるのだろうなぁ。
同僚という名の赤の他人の病気を手柄顔していることに気がついてくれ。
言うてわたしも自分が病気なわけではないけど、家族として看病はしてきたんだよ。
解像度が低すぎる人とは言葉が通じない、そういうもん
こんなつもりなくてもこういう意味になることを言っちゃうのがなー。
何をどうしてこうなるのか、ちょっと想像を絶するんですよね。
Tちゃんもそうなんだけど、そういうとこなんだよなー。
どれだけ慣れ親しんでも、人として嫌いではなくても、ぜったいに背中を預けられない。
こういうミサイルを被弾するのを防ぎようがない。
自分の安全を守るためには、彼らと距離を取るしかない。
実はこの一件の前にもわたしは何となくムカシさんの信用ならなさ、背中の預けられなさを感じて行動していたことがありました。
この、わたしにとって大事な「お引き受けいたします」の話を、サザエ先輩にはしたのにムカシさんにはしていなかった。
サザエ先輩よりもムカシさんのほうが会う頻度が高いのに、わたしははっきりと相手を選んで、サザエ先輩だけに話した。
その違いは、わたしは、サザエ先輩の知性の高さや、扱える抽象度の高さに絶大な信頼と尊敬を感じているから。
果たして、サザエ先輩はただ聞いてくれて、しんみりと、「いい先生だね」と言ってくれました。
ムカシさんから「驚かなくてごめん」と言われて、この人に話さなかったわたしの感覚の正しさを改めて認識しました。
でも、そういうもんだと思うのです。
ムカシさんやTちゃんに理解を求めて説明することなんて、しなくていい。
ほんの一握りの優秀な数学者以外の人間が、「ポアンカレ予想」の証明を説明されても理解できないのと、程度は違えど原理は同じ。
数学者は「ポアンカレ予想」の証明を、門外漢の凡夫に理解させる試みは困難でしょう。
また、わたしを含む多くの凡夫もその試みを必要としないでしょう。
ポアンカレ予想を自分にわかるように説明しないからといって、数学者に「上から目線だ」とか「バカにして」とか言わないでしょう。
それと同じ。
だから、ムカシさんやTちゃんには話さないし、話さなくても彼らはそれを感知しない。
ただ、それではこちらは彼らに背中を預けられないからその分よそにカウンターパートを探すって話にはなってしまうんですが……。
こちらも、身の安全がかかってるので。
言葉なんか通じない、そういう人たちで構成されているのが世界
ただ逆に、ムカシさんに対して言葉を投げかけるときには、あまり言葉を重ね過ぎずにラフな状態で投げても失礼と受け取られることはないので、気を遣い過ぎずにやり取りできるのは助かってもいます。
(Tちゃんはうっかりした言葉を投げかけると謎の解釈をして違う風に突っ走ってしまったりする。言葉が通じない界隈にもいろいろある。)
事程左様に、一見同じ言葉を話しているようでも、言葉なんか通じない、そういう人たちで世界は構成されています。
もちろん、わたしだってほうぼうから「言葉が通じない」と思われているであろう。
芯から言葉が通じない隔絶した人たちとどう共生していくかについては、エリートばかりの『虎に翼』は教えてくれなかったな……と、最近思うのでした。
あ、新潟のミサエの父は隔絶したまま放り投げて終わってたな。
やっぱり全て対話にはならない。
棲み分けだいじ。
(余談だけど、ミサエの娘が個室でナイフ出したときは、さすがに、あれはちゃんと事件化しないとダメだと思った。あれが正解なわけがない)。
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