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EEATを意識したデジタルマーケティング

中部産業連盟コンサルタントの岡部です。
今日はデジタルマーケティングをテーマとして、記事を書きたいと思います。

最近は経営コンサルティングの現場で、経営ビジョンの策定や経営戦略の策定を支援した後にプロモーション戦略を練る段階になると、デジタルマーケティングを活用してプロモーションしたい、となることが多いです。

デジタルマーケティングと言うと、皆さんは何を想起しますか??
SNS活用やECサイト構築とリアル店舗を絡めた、いわゆるオムニチャネルの事例、MakuakeやCAMPFIREに代表されるクラウドファンディングを活用する事例、Line@などの顧客との対話ツールを活用した事例など、デジタルツールも多種多様な時代にもなっていますね。

私もコンサルティングを実施するとき、それぞれの特徴を示しつつ、経営戦略と親和性の高いツールを1つ選択していただいています。(大抵の場合は、自社Webサイトを充実させましょう、ということが多いですが。)
その1つから、色々なプラットフォームへ関連付けて業務負担を最小限にしつつ、最大の成果が得られるように助言します。

このnoteのプラットフォームも、facebookやTwitterなど他のプラットフォームと連携機能を有していますから、今の時代、複数のプラットフォームをそれぞれで管理するよりは、そのプラットフォーム機能を最大限に活かす、ということを考えて行動することは重要だと考えています。

そうやって担当者の負担が少なくなるように工夫を凝らしながらデジタルマーケティング活動を進めるわけですが、実際には失敗することがあります。どうなったら失敗か?という問題はありますが、多くの場合は「デジタルマーケティングを導入したのに、すぐに効果が出ない」ということで相談を受けることが多いです。

今回の記事は、どうしてデジタルマーケティングの効果は即効性が不足するのか考察していきたいと思います。

結論としては、デジタルマーケティング活動は中長期的な活動になり、即効性がないのは仕方のないことなのですよと理解いただけたらと思っています。その仕組みについて、GoogleのGeneralガイドラインを紐解きながら解説します。


1.EEATの定義

デジタルマーケティングの世界では、検索エンジン最適化(SEO)は重要な要素になっています。Googleの検索品質評価ガイドラインでは、EEATがウェブサイトの評価基準として注目されています。

EEATは、Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字を取った概念です。Googleはこれらの要素を基準に、Webサイトの品質を評価しています。なぜなら、インターネットを検索するユーザーは高品質な情報を提供するウェブサイトを求めており、それに応えるために信頼性専門性が必要だからです。

図引用:Google General ガイドライン

重視されるポイントとしては、左から順番に、経験→専門性→権威性→信頼性という形になっています。最近(2022年12月15日ガイドライン改訂)になって「Experience(経験)」が追加され、より人間にしか経験できない事例や事象をWebサイトに掲載していることが重要視されるようなってきています。

ChatGPTに代表されるような生成AIの台頭によって、評論家のようなWebサイトは淘汰されていくものと考えられています。インターネット利用者は、まずは生成AIに質問して情報を得るということに変化すると、評論家のようなWebサイトは検索されないでしょう、ということを意味していると考えます。長年にわたりポータルサイトを運営してきたGoogleの危機感の表れかもしれませんね。

2.EEATを活用してデジタルマーケティングを進めるには

EEATのガイドライン改訂に対して、どのようにデジタルマーケティングを進めていけば良いのでしょうか?それぞれの項目を高めていく、ということが具体的な活動になっていくわけですが、それぞれについて、どのように高めれば良いのかを考えていきます。

(1)Experience(経験)を高める

経験は新たに追加された項目であるにも関わらず、最も重要視される項目となりました。インターネットを使った情報探索は今や当たり前の時代になり、他のWebサイトや書物などでも拾える情報を掲載しているだけでは、評価されないようになっています。

具体的に評価される経験とは、実際に使ってみた・やってみた、その結果の情報を記載しているか?ということになります。

例えば、私がコンサルティングの事例をWebサイトに掲載したとします。私はコンサルタントであり、中小企業診断士でもあるため、私が書く記事には一定の権威性があり、かつ、記事とする内容が経営学に基づいたものであれば一定の専門性も認められることでしょう。

しかし、経営学に基づいた抽象的な内容ばかり掲載していた場合、この経験という項目での評価がされず、検索順位が下がるということになります。
検索順位を上げたければ、経営学に基づいてコンサルティングを実施した結果やプロセス、実施する上でどういう障害があり、どうやって乗り越えたのか、その生々しい経験を記す必要があるということになります。(実際には守秘義務があり難しいですが)

お客様企業のWebサイトも修正を求められるものも少なくありません。ただ単に、部品紹介、生産工法、保有装置などを掲載しているだけでは評価されなくなり、実際に働いている人の声やお客様の声など、経験に基づいたWebサイトを一部作るなど、工夫が必要になってきています。

(2)Expertise(専門性)を示す

専門性を高めるためには、正確かつ信頼性のある情報を提供することが不可欠です。ユーザーは信頼できる情報源からの情報を求めており、それに応えることが重要です。その方法としては、専門家の意見や専門的な知識を掲載したり、専門的な資格や実績を示すことが挙げられます。

例えば、先にも記載した通り、コンサルティングのWebサイトであれば、コンサルタントが企画監修していることや中小企業診断士の資格保有者が書いていることを明示することが専門性を示すことにつながります。

お客様企業の場合には、企業実績や事例などを示して専門性を示すことが多いです。また、実際に業務を担っている方をWebサイトなどに掲載し、専門性を示している企業様も見られます。企業によって、何がセールスポイントなのかによって専門性の示し方も違っていると考えられます。

(3)Authoritativeness(権威性)を高める

権威性を高めるためには、信頼できる情報源への参照やバックリンク(Webサイトをリンクしてもらう)の獲得が重要です。他の専門家や公的機関・企業様との協力や提携を通じて、ウェブサイトの権威性を向上させることができます。また、ユーザーからの肯定的な評価や口コミも権威性を裏付ける要素となります。

権威性を高めるためには、どうしてもコンテンツ量が必要になってきます。この部分がデジタルマーケティングを中長期的な活動にする要因でもあると考えています。

例えば、企業同士で協力関係を結んでお互いのWebサイトに相互にリンクを掲載したり、業界団体に所属してWebサイトのURLを掲載してもらうなども権威性を高める取り組みの一部となります。

いずれにしても、コンテンツ量を増やして引用してもらったり、参照される回数を増やしたりする必要があるため、中長期的な取り組みが必要になってくるのです。

(4)Trustworthiness(信頼性)を築く

信頼性はデジタルマーケティングにおいて欠かせない要素ですが、経験・専門性・権威性を備えた先に信頼性が高まるとも考えられています。

最終的に信頼を勝ち得るために、経験・専門性・権威性をどのようにして高めて示していくか、Webサイトなどのデジタルマーケティングツールを設計した上で活動していくことが重要です。

3.EEATを意識したコンテンツの展開

EEATを意識したデジタルマーケティング戦略を展開するためには、以下のポイントに注目することが重要です。

まず、Webサイトなどを見てほしいお客様がどういう方々で、その方たちの知りたい情報を理解し、それに応えるコンテンツを提供することが重要です。お客様が求める情報や解決策を提供することで、経験や専門性を示すことで、Webサイトの信頼を得ることができるようになります。

次に、コンテンツの質と一貫性を重視します。正確で信頼性のある情報を提供するだけでなく、コンテンツのスタイルやトーンも一貫させることでブランドの統一性を確保し、権威性を高めることを意識します。

最後に、デジタルマーケティングを促進するために他のプラットフォームを活用して情報を発信・拡散していくことも重要です。facebookやTwitterなどとの連携やメールマガジンの運用などを通して、多くの方にWebサイトを見てくれるような仕組みを構築します。

4.まとめ

EEATの仕組みを紐解きながら、デジタルマーケティングが効果を生むまでには中長期的な時間を要することを理解いただけたと思います。

中長期的な時間を要するのは、何もデジタルマーケティングツールに限ったことではなくて、人材育成と同じように時間がかかるのです。例えば、営業担当に商品知識・業界情報・営業経験などがないにも関わらず、新人営業担当を3ヶ月や6ヶ月での短期的に効果測定しないですよね。まして、一人前に営業成績が伴うまでには、お客様から信頼され、その経験を基礎にして、さらに新規のお客様を獲得できるという成功体験が不可欠だと思います。

営業担当と同じで、デジタルマーケティングツールにも色々な情報が必要で、効果が出るまで根気よく育てるという考えが必要です。長い目で育てた先には、デジタルマーケティングツールとして、デジタル領域を主戦場として活躍してくれる頼もしい営業戦力になりますよ。

この記事を参考に、短期的な成果よりも中長期的な成果を求めて、戦略的にデジタルマーケティングを促進していただけたら幸いです。

(執筆者:中産連コンサルタント 岡部)
中小企業診断士・経営学修士(MBA) 伴走型支援が得意で、クライアント企業様と一緒に課題を見つけ・悩み・解決することをお仕事にしています。


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