「あなたの持つ最大の武器は?」
経済学部 4年 T
堀江さんの講義の中で、タイトルにある問いかけがされたとき、私は「自分自身の‟一番”の強みを尋ねられて、すぐに答えられる人はどの程度いるのか」と疑問を抱きました。‟明るい”、‟優しい”、“真面目”、‟謙虚”、‟行動力がある”などと、人柄を形容する言葉が多く浮かかんだとしても、その中から最善の言葉を選択することはかなり難しいはずです。それでも私たちは、即座の返答を求められた場合、ひとまず思い浮かんだ言葉をチョイスして、その場をしのぎます。そして、そのチョイスが本当に‟正解”だったのか、モヤモヤしながら思考を巡らしていると、相手は疑いもなく、すんなりと受け入れてくれるのです。
私は、この質疑応答に、二種類の「多様性の受容」の‟ズレ“を感じます。「主体的な多様さ」と「客体的な多様さ」に対する受容です。ここで述べる前者は「自分の内にある、多くの性格を受け入れようとすること」で、後者は「分散した多くの人を、グループ分けして、各グループの違いを許容しようとすること」だと定義します。すると、「多様さ」は回答者側(主体)と質問者側(客体)で、捉え方が異なり、ギャップが生まれます。そして、この二つの受容に差異があると感じるほど、回答者側は違和感を覚えます。そこで、回答者側は、この違和感を払拭するため、質問者側の想定するグループ分けに見合うように、自分自身を表す言葉をチョイスするようになります。
しかし、そのチョイスで周囲と馴染み、生きやすくしたはずなのに、生きにくくなっていることがあります。自分らしさを欠いてしまっているのです。とはいえ、客体的な視点を取り入れることは悪いことではありません。どちらも多様性を受容するのに必要です。
堀江さんの言葉をお借りすると、「自分らしく組織で振舞う(客体)」ことは「自分らしさを表現する(主体)」ことに繋がります。そして、この二つの関係性は、経験を積むことで、近づいていくとお話を伺って考えました。自分自身を理解するためにも、誰かの評価の対象として好印象を残すためにも、「行動」することが第一歩となります。堀江さんがおっしゃった、「没頭できるチャンスはありがたいモノ」という言葉の通り、出来ることは何でも行動に移し、感性を豊かにしていく必要があります。行動する上で、自分の内に眠る新たな性格を発見し、感性を豊かにしていくことで、自分のコミュニティを俯瞰して見られます。それを繰り返すことで、自分により良い武器が見つかるのではないでしょうか。