PK
この作品は日本で公開されたため、日本の皆さんも知っている人がいるかもしれません。今回はボリウッド界のスーパースター、アーミル・カーン主演のヒンディー語映画であるPKをご紹介します。
あらすじ
ある日、人間の姿をした宇宙人が地球に降り立った。彼は調査ミッションのためにやってきたのだが、突然ある男に宇宙船をコントロールするリモコンを盗まれてしまう。自分の星に帰るためにはリモコンが必要。地球には「神様」という願いを叶えてくれる存在があることを知り寺院、モスクなどあらゆる宗教施設を訪れて神様の助けを得ようとする。宇宙人ならではの視点で様々な宗教のあり方に切り込んでいく。果たして彼は無事に自分の星に帰れるのだろうか。
宇宙人の視点から見た宗教
この作品の最大の見所は宇宙人であるPKが現在の宗教の問題点に切り込んでいく点である。インドには様々な宗教を信仰している人たちが共生している。大多数はヒンドゥー教徒であるが、他にもイスラム教徒、シーク教徒、ジャイナ教徒、キリスト教徒など他にも沢山の宗教が存在している。しかし、中には教義の本質に反するのではないかというような無意味な信仰が広がっているのもまた事実だ。人々は神の恵みを求めて宗教を信仰するが、そういった信仰者の思いにつけこんでお金儲けをするために教義を拡大解釈するような人たちがいる。PKの視点から見て何がおかしいのかを指摘していく痛快感がこの映画の醍醐味である。
インド-パキスタンの対立
作中でリモコンを探して不思議な行動をしているPKを見かけて手助けをするTVレポーターのジャッグという女性が現れるのだが、かつて彼女にはサルファラズというパキスタン人の恋人がいた。宗教的な違いから両国間で長い間対立関係が続いているためジャッグの両親が交際に大反対するという場面がある。この対立関係の発端はイギリス植民地時代に遡り現在に至るまで続く。そのため両国間の関係については多くの映画にも取り上げられ、そしてインド対パキスタンのクリケットの国際試合においても両国の人々は大変熱狂的になる。このインドとパキスタンを舞台にしているボリウッド映画には良作も多いので後々紹介していきたい。
インドの人々のお気に入りのシーン
この映画はヒンディー語の映画だが、ヒンディー語を話すインド人がお気に入りの場面があるので紹介したい。PKはこの地球の言葉(ヒンディー語)の問題点として「言葉による誤解が多い」ということを挙げる。どうやら彼の星ではテレパシーのようにコミュニケーションをするので言葉が必要ないらしい。ヒンディー語には「アッチャー」という便利な言葉があるのだが、良いことが起こった時、悲しいことが起こった時、怒っている時、考えている時などに使える。これを説明するPKの場面はみんなが好きなのでこの話をすれば間違いなく盛り上がるだろう。
インド人とPKについて話す際の注意点
一方、この映画の話をインド人にする時に注意することがある。宗教という繊細な点を話題にしているため、人によって受け取り方は様々であるためだ。私の経験をお話したい。ある時にインド人から見たことがある映画を聞かれた時この作品を挙げた。その時に突然彼はカーストの話、そしてヒンドゥー教に対する自分の考えをその場に居合わせた他のインド人に伝え始めた。そうすると考えの相違から突然言い争いが始まってしまったのである。宗教の話はとてもデリケートな話題なので話題として取扱う際には十分に注意されたい。