Chi La Sow(Bride to be)
今回紹介するのはインド南部のティランガナ州、アンドラプラデシュ州で話されているテルグ語の映画です。日本では勿論知られていない映画だと思いますが、インドの「お見合い結婚」に対する理解が深まるロマンス映画です。ヒロインを務めたルハニ・シャルマがこの作品で南インド映画の新人女優賞にノミネートされました。
あらすじ
アルジュンは彼女の居ない独身の若者。結婚適齢期を迎えて両親からの圧力に悩まされていた。アルジュン自身はまだ結婚に興味はなく、いつか一人でヨーロッパを旅することを夢見ていた。ある日、母親が無理やりお見合いをセッティングし自宅で女性と面会することになってしまう。そこに現れたのが伝統的な価値観を大切にする女性のアンジャリだった。追い返すわけにもいかず二人はお互いの結婚に対する考え方、自身の家庭、夢などを話していく中でアルジュンの心境に変化が生まれていくのだった。
インドにおけるお見合い結婚文化
日本の人々には信じられないかもしれないが、未だにインドではお見合い結婚が主流である。地域によって差はあるかもしれないが、データによってはインドの90%以上が両親の紹介によるお見合い結婚によるものである。これがデリーやムンバイといった大都市であったり、今の若者世代は恋愛結婚を好む傾向があるとも考えられるがこれらは例外である。お見合い結婚が選ばれる理由も山ほどあるので映画を紹介していく中で少しずつ紹介していきたい。本作品でもこの文化の流れで両親が一方的に子供のお見合いをセッティングしていて、アルジュンとアンジャリが二人きりで対面している。しかし、現実で多くの場合は親戚一同の面前で初対面の挨拶をすることになる。
家庭の問題が結婚に与える影響
お見合い結婚をするとしてどんなことをお互いに確認することになるのか。この作品ではどのようにしてお見合いがセッティングされたのか明らかになっていないが、大抵のお見合いはオンラインのウェブサイトから始まる。写真、学歴、職業、カースト、宗教など様々な情報を登録して息子や娘にぴったりなパートナーを探す。上記にあげた様々な結婚の条件が求められるので、全て情報が開示されているお見合い結婚というのは非常に合理的なのだ。それぞれの家庭がそれぞれの結婚の条件を持っており、それを満たしていないと判断された場合は破断となる。作中でもアンジャリが抱えるある家庭問題の影響で苦戦していたことが明らかにされている。
お互いが抱える過去の苦い思い出
アンジャリにはある家庭の問題が原因でなかなか男性の家族に受け入れてもらえない苦い経験があった。そのためとても慎重にアルジュンを見定めていく。アルジュンも自分のヨーロッパを旅する夢とは別に、結婚に後ろ向きな理由が明らかにされる。こうした二人のそれぞれの境遇からどのような道を選択することになるのかに注目していただきたい。