胸水穿刺の針先はどのくらいズレる?
胸水穿刺は気胸などの合併症を起こしますが、もし針の位置が想像通りに刺せたなら合併症のリスクは限りなく低くなります。
しかしまぁそんな完璧な手技というのは現実的ではありません。
そこで安全マージンをどのくらい確保すれば良いのかを知るために、穿刺した際の針の位置が目的の場所からどのくらいズレるのかを研究しました!
計測には穿刺くん2号を使います。
あ、すいません、穿刺くん2号です。
論文中にも穿刺くん2号(Senshi kun 2 gou)と記載しましたのでオフィシャルな名前です笑
被験者には穿刺君2号の中心を垂直に刺すようにお願いし、針の角度が中心線からどのくらいズレているかを測定する事で、中心からの距離を測定しました。
その結果、針を5cm刺した時にズレる距離は中央値 0.47 cm (range 0.06–1.05)で、1回目と2回目の穿刺の差は中央値 0.22 cm (range 0.00–0.69)でした。
つまり、針がズレても1cm程度でしたので、2cm程マージンを取れればより安全だと考えます。
また経験豊富な呼吸器内科医と非呼吸器内科医では有意に呼吸器内科医の方が精度が良く、トレーニングにより合併症が少なる可能性が示唆されました。
ちなみに全ての医師は右利きで55.2%が右上にズレやすく、また人によってズレる方向に癖があるため、自分の癖を把握する事も重要です。
呼吸器科医にとって胸水穿刺は日常診療で必須の手技です。安全で精度の高い手技にしたいですね!