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IgG4関連疾患の胸水はADA高くて結核と間違えやすい
胸水中のADAは結核性胸膜炎の診断に有用であり、ADA≧40U/Lがカットオフ値として広く用いられています。
そんな中、ADA≧40U/Lを示すIgG4関連疾患による胸水の症例を経験しました。
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初診時は胸水ADA≧40U/Lにより結核を疑い抗結核治療を行いました。しかし改善を認めず胸膜生検を行う事でIgG4関連疾患による胸水と診断しました。
過去の報告でもIgG4関連疾患による胸水はADAが高いという症例報告が複数あり、当症例を含めた22例と、当院で診断した40例の結核性胸膜炎を比較しました。
その結果、IgG4関連疾患による胸水のADAは中央値55.7U/L (IQR 42.3-71.6)と高値でしたが結核性胸膜炎より低値でした(中央値83.9 U/L [IQR 60.4-107.4], p=0.002)。
さらにIgG4関連疾患による胸水では胸水中のTPが高く(中央値 5.75 mg/dL [IQR 4.89-6.23] vs 4.65 mg/dL [IQR 3.77-5.13], p<0.001)、LDH(中央値 176 IU/L [IQR 137-290] vs 514 IU/L [IQR 293-1180], p<0.001)、Glu(中央値 112 mg/dL [IQR 77-116] vs 65.5 mg/dL [IQR 51.3-94.3], p=0.012)が低い傾向がありました。
胸水ADA/TP比は IgG4関連疾患と結核性胸膜炎の鑑別に特に有用で、ROC曲線を作成したところ、AUC 0.909 (95%Cl 0.824-0.994)で、カットオフ値をADA/TP<15とすると感度 93.8% 特異度 72.5% Odds比 36.8 (95%Cl 4.67-1702.4)でした。
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ホントかよってくらい良いデータでしたが、ADA/TP<15を示す症例ではIgG4関連疾患による胸水を考慮しましょう!