リーダーなんだからがまんしないといけない。わけがないだろう①
はじめに
背景としてわたしの経歴をかんたんに紹介します。
わたしは、日本で会社員として6年ほど勤めたあと、中途採用でベトナムの日本語学校に入り、日本語教師として働きはじめて3年目以降は教師チームのリーダーを担っています。
日本の会社員時代には、リーダー経験がありませんでしたし、日本語教師になったときも自分が将来リーダーをすることなんて想像もしていませんでした。リーダーになったのは、状況的にどうしようもなかったからであり、会社からの期待も、自分の野心もありませんでした。
しかし、日本語学校を辞めて転職した先のIT企業でも、リーダーポジションでのオファーを承諾しました。そして今に至ります。およそ、6年ほどリーダーを務めてきました。
このような経歴から、リーダーになりたかったわけじゃないけど目の前の状況をよくするために努力してきた結果として気づいたことがいくつかあります。
補足
わたしの立場については、リーダーとも言えるし、マネージャーとも言えます。この2つの言葉には明確な違いがありますが、改めて考えるとわたしはどちらの役割も担っていました。教師なので、主任がわかりすいかもしれません。でも、その役職名かついたことはなかったので、この文の中では、便宜上、リーダーを使います。
なお、規模としては10人程の教師チームをとりまとめる役割です。自分の上には、部のリーダーがいますし、さらに上に経営者がいるという組織形態です。
授業関係の運営が主な仕事ですが、チームに与えられた数字の目標を達成するために必要なことを考えチームメンバーを動かします。会社としてのメンバーの評価や仕事の管理、メンバーの採用や育成なども業務に含まれます。
本題
先日、チームメンバーの一人から、以下のような相談(?)を受けました。社会人3年目くらいのベトナム人の日本語教師からです。
「このチームの中でChuncoさんだけコミュニケーションがとりにくい」
「ほかの人には何も言われないのにChuncoさんにだけ注意される」
「自分はすごくがんばっているのに、仕事のやり方をダメと言われるばかりで、いじめられてると感じる」
「自分もChuncoさんも同じ目標を持ってるのになぜ仲良くできないのかわらない」
それを受けて、自分がリーダーをやる中でいちばん苦手なことが来た、と気が遠くなりました。
実は、似たようなことが以前別の職場でもあったからです。そのときは、相手は新卒から入社して3年目の日本人の日本語教師でした。
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この二人、共通点があります。
どちらも「目立ちたがり屋の褒められたがり」
ぶっちゃけていうと、承認欲求モンスターです。
わたしだけじゃなくて、実はちょっと上のレイヤーから見ると、たいていの人はそう感じてるようです。
そして、わたしはそんなタイプの人間がチームにいることを良しとしません。
おだてられて、自分が一番の扱いをされないと動かないからです。そして、自分の考えが正しいと考えていて、チームの方向性と違うことを勝手に推し進めようとするからです。ときには、ほかのチームメンバーのほうが良いアクションをしようとしているときに、その人からの圧力でつぶしてしまう場合もあります。
たまたま、その人がやりたいことが、チームの役に立つ場合は良い結果につながりますが、そうでない場合は自分勝手なことをしたりわがままを言ってチームの足をひっぱります。
そして、こういう人を、おだててあげてうまく転がすマネジメントスタイルも、わたしはしたくありません。
チームのことを考えて、その人が満足する仕事を与えなければならず、(ときには仕事をつくってあげねばなはず)マネジメントのコストがかかります。
しかも、いつでもその人の都合のいいようにして機嫌をとってあげることで、自分はいつでも正しい。リーダーは自分の言うことを聞いてくれるものだ。という認識が強化され続けると、将来、いい歳なのに使えないわがまま社員になるからです。
万が一、そんな人がチームを率いることになったら、チームメンバーはいつでもその人の機嫌を取らなくてはならず、余計な心的コストがかかるからです。
つまり。今、自分がその人とぶつかるコストを避けることで、将来その人と関わる人間がその結果をかぶるのが嫌なのです。自分の借金を、他の人に払わせるような気がするのです。
だから、わたしは徹底して、チームのために正しいことをしたときしか褒めない。チームの方向に沿わないことには理由をつけてNoと言う。ほかのチームメンバーに対して害を及ぼすことは指摘する。ということをしてきました。
その結果、当然ですけど、そういう相手とぶつかってきまして。面と向かって意見されることもたびたびあります。ちなみに、今回のメンバーがこういったことを言ってくるのも何回目だか…。
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個人の欲求と、会社の利益がぶつかるとき、会社を優先させるのが会社員です。
ときには、納得がいかないことでも、興味がないことでも、自分の気持ちをコントロールして、前向きに取り組むしかないときだってあります。
いくら自分は頑張ったと思っていたって、会社が必要とすることじゃないなら、良い評価を受けないのは当然です。会社の状況によっては、評価に値する結果を出したとしても、別のことが優先されることもあるでしょう。
周りの人がそれを飲み込んで、何とか自分なりにがんばっているのに。
横で大騒ぎして、不平不満を撒き散らす。
あまつさえ、いつでもチームや会社のために最前線で戦っているリーダーにそれをぶつける。
とっても恥ずかしいことをしているのだけど、残念ながらそれに気がついていない…
まだ社会人として経験の浅い彼らの将来が心配…
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なんて。
きれいな言葉でまっとうそうなことを書きましたけれど、
本音ぶっちゃければ
甘ったれんなよ。
社会なめてんじゃねぇよ。
です。
さて、これはそっくりそのまま自分に返ってくる気がしますね。
リーダーという、目の前の数字目標の達成が責任としてのっている立場なんだから、メンバーに気持ちよく仕事してもらって結果を出すのが仕事だろう、と。
なめてんなよ。という感情も、
将来の誰かに迷惑をかける可能性も、
目の前のわたしの責任には含まれない。
リーダーなんだから、うまくやれよ、と。
ですね。
だけど。
わたしは聖人君子ではないので、ムカつくこともあるし、嫌いなヤツもいるのです。
その感情自体は、なくせないし、そんな感情が湧くことをがまんする必要はないと思う。
だから。
大事なのは、その上でどうするかということかな、と。