ベトナム生活|雨が降ったら遅刻するのはしかたがない土地
ベトナムは南北に長くて、有名な町だと北部にハノイ、中部にダナン南部にホーチミンシティがありますが、この3つの町でだいぶと気候が違います。
わたしが住むホーチミンシティは、ほとんど1年中、夏の気温で、雨季と乾季に分かれています。5月~11月頃が雨季です。
雨季にはスコールがあって、日本人が「ザ•東南アジアの天気」としてイメージしやすい気候です。
しかし、「東南アジアの国では、雨季に、突然の大雨が降る」と話に聞いていても、実際に体験するのとは、また違うんじゃないかと思います。
わたしは、ホーチミンに来て1年目で状況がよくわかってないときは、雨季に入ってから雨が降ると極端に日本語学校の学生が来なくなるので、「雨が降ったからと言って遅刻するとはだらしない!」と思っていました。会社員でさえ、雨を理由に平気で遅刻してきます。
ホーチミン生活が長くなった今は相手に雨で遅刻すると言われたら「ああ、雨ならどうしようもないよね」と考えるようになりました。
日本でも近年はゲリラ豪雨が来るようになりましたが、あれはホーチミンで遭うスコールにかなり似ています。ホーチミンのスコールは、あれの強度10倍(わたし感覚)と言ったところでしょうか。
突然、空が暗くなってきて、強い風が吹き出したら、5分後くらいにはすさまじい雷とどしゃ降りの大雨が来て、1時間くらい過ぎると、すっかり青空、という感じ。
スコールって、雨のことを指すと思っていたんですが、雨や雷を伴う強風なのだそうですね。
なので、大雨と強風がいつもセットなので、傘なんて役に立ちません。下手したら、風を受けて飛びそうになるので傘が邪魔になって危ないくらいです。
そして、ホーチミンの排水はけっこう残念な設備なので、雨が降りだすと、あっという間に道路が冠水します。しかもゴミが浮きまくって汚い水が溢れた道路。道が悪いので水で足元が見えないとだいぶ危ない。市民の足であるバイクもタイヤの半分くらいが水に浸かってます。
しかも、雨の範囲が限定的で、ホーチミンシティ全域が大雨というわけでなく、隣の区では降ってたけど、こちらではいい天気ということもたびたびあります。
道を挟んで雨の境目を越えるとか、部屋の左の窓と右の窓で見える天気が違うというのを体験すると、ほんとうに雨雲の真下でだけ降るんだというのがわかります。
なので、自分のところで雨が降っていなくても、相手がいる場所や来る道が大雨だということもあります。
真上で雷が鳴る、横殴りの大雨の中、それでも来いとは言えないし。
雨が上がったあとも道が通れないほど冠水してるかもしれないし。
そのせいで渋滞したり、タクシーがつかまらなかったりするわけで。
そんな土地で生活していると、雨が降ったら遅刻するというのはしかたないよね、となります。相手の遅刻をうるさく責めたらいずれ自分の首も締めることになりますし、自分が遅刻することにも罪悪感を捨てないとストレスが溜まります(笑)
今では「遅刻」という考え方じゃなくて、時間に幅を持たせるイメージで生活しています。雨が降る前に移動しておくとか、雨が降り始めたら上がるのを待つとか。
「雨が降る」と一括りに言っても、日本の雨とホーチミンシティの雨は種類が違うし、環境もぜんぜん違います。
反対に、ベトナム人からすれば、なぜ日本人がそんなに時間にうるさくて、しかも律義に守ろうとするのか理解できないだろうと思います。日本の雨は傘でしのげる程度で、移動にもさして影響がないから、雨が降ったとて台風でもない限り時間を守れちゃうわけですけど。そんなこと、日本の生活を体験しないと理解できません。
雨が降っても当たり前に時間に間に合う土地と、
雨が降ったらどうしようもない土地
雨が降っても時間を守れる環境をつくるのがいいか、
天気にあわせて時間を伸縮させるのがいいか、
どちらの考え方が良いとはないですけど
ある土地の生活はその土地で長く暮らさないと到底理解しきれないだろうなと思っています。