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最近思ったこと|都合のいい情報だけ得ることは幸せかもしれない

わたしには80歳を越える祖母がいます。

祖母は、5年前にわたしがベトナムに渡航するとき、どうしてもと言って空港まで見送りに来て、今生の別れのように泣いていました。

祖母にとっては、ベトナムとはまだ戦争が終わったばかりの未発達で危険な場所でした。

もちろん、海外旅行をしたこともありません。以前から、わたしが東南アジアばかり旅行するので毎回心配しつつ、孫が無事に帰ってくるので少しずつ免疫がついてきたかなというところでした。

そんな祖母ですので、一時帰国しては会いに行って無事を知らせていました。(ちなみに、当時は祖母はガラケーしか持っておらず、携帯を使いこなせるわけもないのでほとんど連絡をとることができませんでした。)


ところが、去年のコロナパンデミックで、わたしは丸一年、帰国することができませんでした。(以前の帰国がおととしの秋なので、もうすぐ2年です)

そうなるとさぞかし祖母が心配するだろうと思っていたのですが。

ちょうど、日本でコロナ第一波が起きる直前に、父の薦めで祖母もスマホを手に入れました。そのおかげで、LINEで写真や動画を送れるようになりました。

幸いベトナムは日本よりも感染を抑え込んでいて安全でしたし、それがわかるように人が集まっている楽しげな写真を祖母にも送っていました。

さらにLINEのビデオ電話もできるようになったので、ときどき家族で予定をあわせてオンラインお茶会をするようになりました。

すると、心配ばかりの祖母が「最近は連絡できるし、顔みてしゃべれるから心配しやんねん」と言い始めました。

祖母はようやくベトナムはかなり発展してきていて安全だということがわかり、IT技術の恩恵を受けて物理的な距離を越えて話せることに安心したのでした。


しかし、この5月から、また状況が変わりました。わたしが住んでいるベトナム南部で感染拡大が深刻化し、ついにはロックダウンに入ってしまったのです。

日本のメディアでも報道されていたらしく、日本の友人からも安否確認の連絡をもらいました。

今はスマホがあれば世界のニュースがすぐにわかります。ちょっと調べものをしようとするだけで、トップニュースや広告でいろんな情報が入ってきます。

『ベトナム コロナ』で検索すれば、デルタ株の感染力や、ベトナムの医療現場が逼迫してきたことや、ロックダウン下の厳しい規制の状況がわんさか出てきます。

こうなると、また祖母が気を揉むかもしれない。と予想していたのですが。

それは取り越し苦労でした。

なぜなら、祖母はLINEは使えてもLINEニュースは見ないし、Google検索もしない(できない)からです。つまり、心配のネタになるネガティブな情報がほとんど届いてなかったのです。

スマホを持っても、祖母のニュースソースは未だにテレビだけです。そして祖母にとってのスマホは、ときどき写真や動画が届く郵便受けであり、相手の顔を見ながら話せる電話なのです。

そこに、わたしが「ロックダウンしてるけど、食糧は十分あるし、仕事は家でするから感染の心配はないし、むしろのびのびやってる」と言えば、それが祖母にとってのベトナムの現状です。

だから、祖母はときどきのオンラインお茶会を楽しみにしながら、安心していられるのです。


祖母の話によると、ずっと外出を控えているので、端切れを集めてマスクや小物を作ったり、家のものを片付けて『終活』するのに忙しいそうです。

話を聞く限り、家族の中でいちばんストレスなく現状を楽しんでいるのは祖母でした。


ネットで世界中の情報が手に入る世の中。うまく情報を扱うことが、収入や仕事を得ることにつながります。偏った情報だけで物事を判断してしまう人は、おろかだと考えられてしまいます。

でも、凪いだ心で穏やかにしあわせに生きていられる人とは、あえて真実を覗かずにいる鈍感な人なのかもしれません。

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今日の見出し写真は家から見える路地の様子です。道が赤と白のテープで封鎖されてます。

現在ホーチミン中こんな感じだそうで(わたしは2ヶ月ほど外出してないので人からの話)、市や区をまたいだ移動どころか、路地一本から外に出られなくなってるところもあります。



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