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おかえり、私の人生


突然だけど、

このnoteを書いた半年前の自分に教えたい。
私、諦めなかったよって。
ちゃんとやり遂げたよって。

この記事で私が掲げた目標は、社会保険労務士という資格の試験に合格すること
でもこの時の私は、その後の半年でどれだけ泣きべそをかくかなんてわかってなかったみたい

勉強を始めたきっかけは、母。
3年前父が死んでから少しして、母は社労士という資格の勉強を始めたいた
なんだそれ〜どっからみつけてきたんや〜って適当に応援してみてたけど、
半分は絶望を紛らわすためだったのかな
そんな母は2カ年計画で合格を達成した

母が合格した時、私は鬱で仕事を辞めた
社会人としての自信を無くした私に、母はこう言った
「私はあなたのような人間と仕事がしたい。いつか私と一緒に仕事をしよう。」って。
なんか、その誘い、魅力的すぎた。
ていうか、私もちょうど思ってた。
次は、思いやりを持ち寄って、信頼のおける人とだけ仕事をしたいって
そんな相手、母じゃんって

ということで、先に合格し背中を見せてくれた母を追っかけて、「いつか母と楽しく仕事すんだ」ってちっちゃな気持ちから、私はぬるっと資格勉強を始めた。

それから約1ヶ月後。
入門書なんかを読み終えて、本格的に勉強に足を突っ込み始めた私は思った
「なんてものに手を出してしまったんだ」と。

仕事をしながら1人で黙々と勉強をし、追い込み時期に鬱になった私もしっかり気にかけながら、これに受かった母は、バケモンかよと思った、変態だとも思った。(言い過ぎ。)

そんくらい、訳がわからない内容だった
なんかおかしいと思って調べたら、合格率6%の資格だって、その時知った。
相場1000時間の勉強が必要だって、その時知った。
私は保守的な脳みその持ち主なので、あまり大きすぎる夢を掲げたり、無理そうな挑戦はしない派だ
しかし無知が故に、いつのまにやら無謀な挑戦を始めてしまっていたようだ

普通に合格なんて無理そうすぎて、バックれようかなと思った
実際いつでも逃げられるように、勉強を始めたことは誰にも言ってなかった
周りに話して成し遂げなきゃいけない状況を作るのが嫌だったから。

そんな頃、ふとしたことがきっかけで、幼馴染と毎日コミュニケーションをとるようになっていた
彼は、なんでも前向きに全力で打ち込む人だ(こんな平たく言い表したくないけど彼がどんな人間かについて語るならば悠に5万文字は必要だから割愛。)

彼はある日唐突に、
「過去と未来、どっちに行ってみたいか」という話を持ち出してきた
私は「過去」と即答した。父の死んだ過去を変えたかったから。
だけど彼は「未来」と即答した。

「過去に後悔してずっと立ち止まってるのか、その先で頑張ろうとしてるのかで、その人の感性がわかると思う」
て感じのことも言ってきた。

正直石で頭殴られた感じがして傷ついた。
父がいなくなった過去からずっと動けていなかった私は、前向きに未来だけをみつめる人間に心がモヤついた。
同じ経験をしたら、同じことが言えるのかと、悔しいような悲しいような気持ちにもなった。

だけど不思議と、その考えを素直に受け止める自分もいた。
彼の生き様が、その言葉に説得力を持たせたんだと思う。
彼の言葉じゃなきゃ、多分余裕でつっぱねてた。
そんな考え方ができるのが、その時の私にはとてつもなく眩しくて、羨ましくも思えた。
そして根っからの負けず嫌いらしい私は、羨ましいままじゃ終わりたくないと思った
その時、闘争心に近い何かがジリッと燃えた気がした

この人みたいに、前を向きたい、人に胸を張れる生き方をしたい、私も未来を見つめてみたい。
半年前の私にとって、止まった過去から一歩進むための手段は、この勉強から逃げずにやり切ることだった
私は、仕事に熱く一生懸命な彼の生き方に自分の姿を重ねるべく、絶対に完走することを決意した。
彼から見た私が、「過去に後悔があってずっと立ち止まってる人間」って見えてんなら、その人間像を絶対変えてやるって思った。

その日から、現実から逃げるために溺れるほど飲んでいたお酒をやめた
時間の浪費もやめた、遊びに行くのもやめた、いっときの感情で楽な方楽しい方を選ぶのをやめた。
決めたことを頑張れないようなダサい生き方してるって思われないように、徹底した

そして、どうやっても過去から進めなかった私に、こんなにもエネルギーを与えてくれる彼を、まっすぐに好きになった、ずっと隣にいてほしいって思うようになった
勉強を始めて3ヶ月、彼は私の頑張りをよく見てくれて、1番そばで支えてくれる大切な存在へと変わった。
頑張る理由がより大きくなった。

試験が近づくにつれて、もしかしたら受かるかもしれないという希望と、落ちるかもしれないという不安が激しくせめぎ合うようになった
眠れない夜も続いたし、泣きながら勉強した日もあった
何度も何度も「辛すぎるから諦めたい」と彼に打ち明けようか迷った
迷っては、当初の決意を思い出した
私が前を向くタイミングはここしかない気がしたから
やりきって、やっと1歩を踏み出せた自分を想像しては、負の感情を押し込んだ

そんな毎日を繰り返し、1ヶ月後に試験という頃。
母がいきなり「大学院に行ってみたい」とか言い出した。
母は大体唐突だけど、またもや唐突すぎる。
そして「まだ勉強する気か、変態か」と、心で思ったはずが普通に口に出してしまった

話を聞けば、なんだかもっと学びたいことがあるらしく、やってもやらなくてもいいやりたいことに自由に挑戦したいらしかった
そして「今のあなたを見てたら、挑戦したい、学びたい、自由に生きていい、そういう感情が自分の中に広がるの」というようなことを言われた

私はこの言葉が、心底嬉しかった
柔らかい笑顔で、生きたい道について話す母の顔を見て、これがずっと私が見たかった母なんだと思った
父が死に、立ち止まり、鬱になり、酒に狂い、母を泣かせてばかりいた私が、いつのまにか母にエネルギーを与えていた
私自身が前を向き、真っ当に頑張るだけで、私が本当に大切にしたいと思える人を、幸せにできるのだと知った
これが私の生きる意味だとさえ思った

私はずっと、大切な人の心を照らすために生きたかったんだ。

それから拍車をかけて、必死こいて勉強し続けた
多分、大学受験より真剣に勉強した
毎年欠かさず見に行く、私が愛してやまない地元の祭りすらも我慢した
自分の決意の固さに驚かされるラストスパートだった

そして先日、母と彼とエールを送ってくれた周りの支えのおかげで、無事試験を終えた
結果はどうだろう、恐らくだめだったかもしれない。
けど私は、この半年を駆け抜けた爽快感で胸がいっぱいだ

他の受験者は、合格が目標だと思う
勿論私も、合格も目標ではある
だけど、なんだかそれ以上のものを手にした半年だった
そんなふうに思えるのは、簡単にすぐ受かるような試験ではないからかもしれない
甲斐がある、とんでもない勉強の世界に巻き込んでくれた母よ、ありがとう

もう一生、何かを本気で頑張ったり、前を向くエネルギーを取り戻すことは無いと思っていた
ただ生きることで精一杯だった
目標なんてなかった
熱意なんてなかった
未来に向かって頑張る人は違う世界に住んでいると思っていた
そんな自分が、やり遂げた
自らしんどい道を選んで努力をすることができた
心の底から、生きているって感じがした

パパ、やっと前向けたよ。
人生の序章、長かった。

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