街を動くことは、未来のひとつを捨てること
次に桜が咲く頃も私はこの場所にいると、信じ切っていた。
引っ越したのは日本でも有数の桜の名所で、春になるとわざわざ電車に乗ってその場所にたくさんの人が募った。
私はわりと、眉毛も描かずに買い物に行ったりパジャマ同然で散歩に行ったりする生活を送っていたのだけれど、ある在宅勤務の日、気分転換がてら桜を見に外に出たらわんさか人がいて、その日以降、寝間着から着替えずに外出するのをやめた。家から歩いて1分のド近所に外から人がやってくる街は、なんだかソワソワしてあまり好きになれなかった