中国・深圳で聞いたモニカ
数年前、深圳を訪れたときのこと。
夜にコンサートホールや図書館付近を歩いていると、
そう遠くないどこかからセンスのいい音楽が聞こえてきた。
音の方向に目をやると
広場の中心で多くの人が輪になっているのが見えた。
近づいてみると、
輪の中心では路上ライブが開催されていた。
群集の中に入ると丁度新しい演奏が始まった。
-------
キーボードから始まるアップテンポな曲。
歌っている内容は何一つ分からないが、
これが名曲であることはすぐに感じ取れた。
周りで鑑賞している観客も
思い思いの踊り方でリズムに乗りながら
演奏を楽しんでいる。
この素晴らしい曲は何という名前だろう?
僕はその曲がどうしても知りたかった。
演奏が終わるとすぐに別の曲が始まった。
その曲もまた名曲だった。
歌詞が英語だったので、急いでスマホに歌詞をメモした。
"I love you more than I can say."
"I miss you every single day."
歌詞を忘れないように頭で発音しながら、急いでスマホに打ち込んだ。
-------
英語の曲が最後の演奏だった。
ライブが終わると観客は散り散りになる。
最初に聞いた曲の名前はここの人しか分からない。
近くにいた中国人に英語で話しかけた。
すると僕が話かけた相手は、流暢な英語を話した。
偶然にも彼はアメリカ帰りの中国人学生だった。
「最後から二番目の曲の名前を知りたいんだけど、知ってるかな?」
「あーあの曲ね。モニカって名前だよ。」
「誰が歌ってるか知ってる?」
彼は困惑し、名前は知っているが、英語の発音が分からないと言った。
スマホを渡し、歌手の名前を打ってもらった。
張國榮 Monica
メモにはそう打ってあった。
僕は彼にお礼を言い、彼の優しさとアメリカ帰りという幸運に感謝した。
-------
後日、調べてみると張國榮は香港の伝説的な歌手ということが分かった。
恥ずかしながら、当時はレスリーチャン(張國榮)を知らなかったのだ。
そして、レスリーチャンのMonicaは
吉川晃司のカバーだということも知った。
ファンの間では常識かもしれないが、
平成生まれの僕にとっては全てがゼロからの新しい発見だった。
80年代に香港へ渡った日本の名曲を、
30年以上経った後に中国・深圳の路上で耳にするとは
とても感慨深い経験だった。
-------
あとがき
最後まで読んで下さり、ありがとうございます。
因みに最後に聞いた英語の曲は、
"More than I can say"でした。
また、
吉川晃司のモニカも名曲なので是非聞いてみて下さい。
ではでは。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?