最強の中学受験塾SAPIXの弱み
現在、首都圏における中学受験であればSAPIXに通うことがベストと言えます。前回に何故SAPIXが中学受験に強いのかを説明致しました。
しかしそんな最強のSAPIXといえども弱い部分があります。今回はこの部分を説明致します。
SAPIXの目的
中学受験における最強のSAPIX、この塾の目的ははっきりしています。
それは開成・桜蔭に合格することです。
全ての仕組みがその目的を達成するために組まれていると言っても過言ではありません。現実にこの両校の合格人数はずば抜けています。他塾に比べ、頭一つどころか10以上飛び抜けていると言えることが現状です。
では、その仕組みを最大限享受出来る子供は通塾している全員かというとそんなことはありません。残念ながら、該当する子供はSAPIX偏差値55以上と言えます(ざっくりと言ってです)。
SAPIXの弱み
偏差値55以上というのは上位30%以上になります。
つまりSAPIXの仕組みを最大限享受出来るのは上位30%に限られるということです。
これがSAPIXの弱みと言えるでしょう。
ではそれ以外の子供はSAPIXに対してどういう関係になるかというと、ミスマッチです。
SAPIXに子供が通う、大半の保護者にとってこれは非常に悩ましい問題になります。
前回、SAPIXが勝つ理由をご説明いたしましたが、それがそのままミスマッチになる理由と言えます。
①テストの問題の質の良さ
SAPIXのテストのクオリティは他塾とは一線を画します。
ということは、逆に必要なレベルに達していない子供にとってこのクオリティは重荷にしかなりません。
②子供たちのレベルによる環境の良さ
SAPIXには意識の高い子供たちが集まることで好循環を生み出す環境の良さがあります。
これは塾全体に言えるのかどうかといえば、もちろんそんなことはありません。
意識が高ければ必要な事を行うことを行いやすくそのため結果に繋がります。
では逆に結果が伴わないということは、色々な理由はありますが大きな理由として意識が低いということが言えます。
つまり、成績下位になればなるほどその集団は意識の低い子供たちで溢れかえります。
そうなれば、前回の好循環とは反対に悪循環の流れに乗ってしまいます。
何故弱点のままなのか
SAPIXが選ばれる理由として合格実績が他塾よりも抜きん出ているからでした。そのためSAPIXでは必要な学校の合格実績が他塾に負けることの無いよう入念に準備をしています。
それならば、上記のミスマッチをそのままにせずSAPIXも対処をすれば良い、と考えられますがそういったことが行われることはないでしょう。
なぜこういったことへの対処は行われないのでしょうか?
下記が私の考える理由になります。
①期待が出来ない
SAPIXの目的は開成・桜蔭の合格をすることです。
では現実的にこれはどこまでのラインで可能なのかという問題があります。
日本における男女の私立中学の最高峰であるため、様々なレベル帯のご家庭が志望校として2/1に受験を望みます。
しかし、ほとんどの年においてSAPIX偏差50以下での合格者は0人です。
この数字を考えると、届く可能性がほぼ無い層にリソースを割くことがSAPIXの経営的に正しいのかという議論になるのでしょう。
②人的リソースの無さ
前回お伝えした通り、この10年間でSAPIXの6年生のコースは概算100コース増加しています。ではこのコースの増加数に講師の数は足りているのかどうかという問題があります。
もちろん、ただ人を集めたということだけで言えば可能でしょう。塾講師のアルバイト単価は高めのため、十分集められると思います。
しかし、私の言っている人的リソースというものは『指導力のある講師』ということです。はたして充足に集められるでしょうか。
③社会的風潮
昭和から平成を経て、現在は令和になりました。その何十年間の時間の中で社会では様々な変化が起きたと思います。
そして中学受験に関わる社会的変化はハラスメントという概念だと思います。
結果の伴わない事には様々な理由があると言えますが、その中でも大きな理由は子供(ひいては家庭とも言えます)の意識の低さだと私は考えています。
しかし、現在の社会の風潮としてはこういった個人のパーソナルな部分に対して否定や注意を行うことはハラスメントに引っかかりやすいということが言えます。
一つの企業体として考えたときに、ハラスメントに抵触しかねない内容を行うことが必要なこととして判断できるかという問題が生まれたとしても仕方ないかもしれません。
まとめ
今回はSAPIXの弱みに対して、様々な観点からご説明致しました。
色々とSAPIXへの文句を書いているため、じゃあお前はSAPIXを辞めて他塾に変えたほうが良いと言いたいのか、と思われそうですがそれは違います。
SAPIXの仕組みを最大限享受出来ない層の子供たちが、それを大きく変えることが出来る方法は
それでもSAPIXに通い続ける
ことです。
次回はこの理由についてご説明致します。
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