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【SAPIXのシステム】『家庭学習』という言葉から分かること
塾から帰り授業中に指示された課題をお家で行うこと、これを皆さんはどういう言葉で言うでしょうか?
SAPIXではこれを『家庭学習』と言います。どうでしょう、ん?という違和感を感じませんか。その違和感には意味があるのです。そこから分かることを踏まえてご家庭は対処をしていきましょう。
家庭学習?
塾で受けた授業の内容を理解するためには練習が必ず必要になります。基本的には授業内で何をやるべきかの指示は出るものです。
その練習をお家で行う、私はそのことを『宿題』という言葉で説明することが日本人の一般的な感覚だと今でも思っています。
これが冒頭にお伝えした、皆さんが感じたであろう違和感です。この『宿題』をSAPIXではわざわざ『家庭学習』という言い方をするということです。
わざわざ『家庭学習』と言う理由
ほとんどの塾ではこういったことを普通に『宿題』と言うか、強いて違う言い方をするなら『課題』などの言い方をすると思います。
それをわざわざ『家庭学習』とSAPIXでは言う理由、それは
家庭との責任の分断
だと私は考えています。
『宿題』・『課題』という言葉には、指示を出したというニュアンスが含まれていると私は考えております。
つまり、『宿題』という言い方をしてしまうと塾から帰ったお家での勉強に関してもSAPIXが関わっているという雰囲気が出てしまうのではないでしょうか。
しかし、SAPIXでは明確に家と塾で線引きをしたいのだろうと感じます。
塾内での授業などに関してはSAPIXが関わること、でもお家での勉強は家庭の管理下でのことなので責任は無い、という話しに持っていきたいのではないのかと思っています。
そのために『家庭学習』という言葉を使うことで直接的でなくとも暗にそれを意味しているのではないでしょうか。
現場での対応
保護者の中には、『いやいやそんなことはない、家庭学習のやり方に悩んで校舎に相談したら色々とアドバイスしてくれた』と思われる方もいると思います。
それはその通りです、実際に現場では普通に『宿題』としての感覚で子供たちには伝えています。授業だけ受けて出来るようになる子供なんて99.99%いません。出来るようになるには練習を積むことが最低条件ですから。
要は、組織としてSAPIXは家庭と塾との線引きを行い責任の分断をしたがっているのだと思えるということです。
SAPIXの方針
明言化は一切されていなくともSAPIXにはいくつかの方針を感じます。
その大きな一つに、
強制をしない
というものを在籍時には感じました。
これは上記の組織としての責任の分断という目的と共に、αゾーンの子供たちに対しての対応としてその方が伸ばしやすいという側面も感じます。
自分で考え試行錯誤をする子には『このように出来る、他にもこうやっても出来る』などの様々な選択肢を教えた方が伸びやすく、『こうやって解くんだ』という強制はしない方が良いということは私もαを教えていた際に良く分かりました。
そういった観点からも『宿題』ではなく『家庭学習』なのでしょう。
『家庭学習』から分かること
強制はしない、それはすなわち自己責任ということです。
残念ながら、中学受験という高いハードルの勝負に未熟な子供が望む際に全員が自ら勉強できるわけではありません。それは世に中学受験の悲劇としての話が山のようにあることを考えれば誰でもお分かり頂けるはずです。
しかし組織としてのSAPIXは強制はしない、つまり全ての子を何とかしようということではない、ということです。
現場レベルでは違うこともあるとは思います、それでも大きな組織の方針というものがありそれと反する流れが組織内で主流と成り得ると思われるかどうかだと言えます。経営的に間違っているとも思えないですしね。
伝えたいこと・分かって欲しいこと
いつも通りのお話しではありますが、じゃあそんなSAPIXは見切って他塾に転塾した方が良いのか、ということではありません。
SAPIXが優れた中学受験塾であるということは揺るがない事実です。だから、他に行っても好転しません。
大事なことは、そんな優れたSAPIXに通っていても何も考えていなければ上手く行かない、ということです。
SAPIXが何を考えているのか、どういったことがポイントとなるのか、このような観点で情報を集め検討することは保護者の役割だと言えます。子供が勉強を努力することと同じように、保護者は中学受験を調べ検討することを努力して下さい。
子供の一番身近な見本は、保護者の皆様です。
注:上記の内容は全て武田の個人的な私感です。SAPIXの公式な見解ということでは無いということをご承知おき下さい。
算数の家庭教師を行っております。無料相談も行っておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
武田の個人的な思い
ここから先は武田の非常に個人的な思いで書かせて頂いた内容になります。
かなりネガティブかつ個人的な内容になりますので、そういった方向性を好まれない方にはオススメ致しません。
経営的観点で言えば、SAPIXが考えていること・行っていることは間違っていないどころか正しいと言えると思います。
ただ一つ私が譲れないことは、人の育成、特に小学生という幼い段階での成長に関わることに商業的判断だけで行うことは悲しいなと思ってしまうことです。
綺麗事かもしれませんが、どの子でも成長できるように行うことが教育の意義なのではないでしょうか。たとえそれが過酷なことであったとしてもです。