AR/MRは世界の見え方を根本から変える装置である
【STYLY主催】XR Advent Calendar 2022 の企画として、「XRの関わり方」というテーマの中で、私の思うAR/MRとはついてお話します。
私は、AR/MRは世界の見え方を根本から変えることができると思っています。
VRとファッションを起点に世界の見え方を考える
私について自己紹介します。
リアルメタバースプラットフォーム STYLY を開発・運営するPsychic VR Lab(以下、Psychic)に所属しています。
2017年8月からPsychicに入社して、VRコンテンツを制作したり、STYLYのオウンドメディアを立ち上げて運営したり、VRイベントでアテンドスタッフをやったり、様々な形でXRと関わってきました。
マーケティング的な立ち位置で6年ぐらいXRに関してなんでもいろいろやってきた人です。
Psychicに入社したきっかけは、2016年、伊勢丹新宿本館2F TOKYO解放区で開催された「未来解放区万博」でHATRA、BALMUNG、chlomaの3ブランドの世界の中に入り込み、実際に服を購入できる体験をしたことでした。
好きなファッションブランドの情報量を一気に受け取れることに衝撃を受けましたし、ファッションブランドの世界感をより強く脳で味わったような気分になり、自分の見えてる世界は一部であったことに気づかされました。
元々ファッションが好きで、19歳ぐらいからなぜ自分はファッションが好きなのかを自問自答し続けることが趣味みたいな感じで生きてきました。
ファッションは、内面と外見に相互に影響を及ぼせる情報だと思います。自分の見せ方、見え方を自分自身に認知させて、同じように他人にも見せ方、見え方を認知させ、自分の情報をファッションを通じて相手に送ることができ、コミュニケーションを加速させることができます。
VRとファッションの世界に触れて気づいたら、SnapchatやInstagramなどのフェイスフィルター、Snowなどの画像加工アプリ、VRChatのアバター、Apexのスキンなどのデジタル要素を持つファッションは当たり前のように生活に溶け込んでいきました。
VRchatのアバター、Apexのスキン、Twitterのアイコンも現実世界から拡張された自己情報、デジタルレイヤー上でそれぞれのプラットフォームにアクセスするタイミングで自己情報を認識して、また他人に見え方を認知させています。
ファッションは現実世界で完結せず、自己情報はデジタルレイヤーを通すことによって拡張されることが当たり前になってきています。
スマホを通して見るARは世界の断片である
ARコンテンツは基本的にスマホ越しで見ます。言い換えると、閉じ込められた空間からスマホを通して外の世界を覗いてるのと同じであると言えます。
目が悪い人ならわかると思いますが、裸眼の時とメガネ(またコンタクト)を付けたとき世界の見え方は全然違います。
私は左目-10.0、右目-8.5の強度近視であり、朝起きてメガネが見つからない時、メガネを探すのに30分かかるぐらい目が悪いです。何回かスマホのカメラを起動してカメラ越しにメガネを探すこともありましたが、断片的にしか見えないため、結局手探りで見つけます。
スマホ越しで見る世界とメガネ越しで見る世界は全く別物です。
以前、弊社代表まさちゃん(https://twitter.com/from2001vr)が自作したフェイスフィルターMRグラス(Snapchatのフェイスフィルターを起動した状態のスマホを2台をスマホ用VRゴーグルにはめたもの)を被ったとき、裸眼でカメラ越しに見た世界とメガネをかけてみた世界と同じぐらい違う衝撃を受けました。
「メガネをかけた状態で見た世界で、人の顔に常時フェイスフィルターがかかってる」
InstagramやTiktokでかかるARフィルターがグラス越しで常時見えてるので、人を色眼鏡で見るようなことが意図的に視覚情報として脳にダイレクトに入ってくる感覚を味わいました。
スマホ越しのARとグラス越しのAR(MR)で見る世界(視覚情報)の体験は全く別ものでした。
スマホ越しで見るARは、世界のほんの一部を切り取って見てるのと同じなのです。
AR/MRグラスは世界の見え方を変える
Niantic Lightship ARDKからセマンティック セグメンテーションが提供されています。
セマンティック セグメンテーションは、空・地面・森・道路・川・人・ビルなどを認識します。
フェイスフィルターだけなく、空・地面・人・ビルのような目に見えるすべて、つまり世界にフィルターをかけられる準備が揃ってきています。
AR/MRグラス越しにInstagramやTiktokぐらいの精度で人の顔に常時フェイスフィルターをかけられるようになる、顔だけではなく人自身、そして街全体にフィルターがかけられるようになっていくと世界の見え方を変えてしまうのではないかと思うのです。
私がAR/MRに期待すること
私は世界が灰色に見えたり、水中にいるかと思うぐらい息がしづらいときがありました、今でもたまに世界から色が薄くなるときがあります。
現実世界を見るときにフィルターがかかっているから世界の見え方が変わるのです。
現実世界は変わらないため、自分を変えようと毎日見る自分の身にまとうファッションに注目して、ファッションに変化を加えて、その変化が自分の内側に波及して、少しずつ変化し、自分の見える世界に色付けされていく。
認知というARフィルターをファッションによって変化させて生きてきました。
ファッションは他人ではなく自分の内面にも多く影響を与えてくれます。
AR/MRグラスの普及により、多くのクリエイターやブランドのARフィルター越しの世界を一部から覗くではなく、メガネをかけるのと同じ認識で世界を捉えることができたなら、世界の見方が全く違うものになっていくと思います。
自分のファッションをAR/MRグラス越しに見るときに、今までにない認知の仕方が生まれ、面白い世界が訪れるのではないかと期待します。
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