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マスク外せない理由「人の目が気になる」3割 広島でも同調圧力やマスク依存の声

 マスク生活3年目。国は屋外の会話のない場面では「マスク不要」との見解を示しましたが、広島県内でも着用率は高いままです。「なぜ外さない、外せないの?」。中国新聞の読者に無料通信アプリLINEで尋ねたところ、209件の意見が届きました。「感染防止」と並んで目立つのは「みんな着けているから」「マスク警察が怖い」「顔を隠したい」の声。同調圧力とマスク依存は思いのほか強いようです。(栾暁雨)

 読者の声を分類したところ「人の目が気になるから」と答えたのは3割(64人)に上った。自転車通勤をする広島市南区のパート女性(49)は「外したいと思いながらも人目が気になって仕方ない」と寄せた。会話がなくても信号待ちでは人との距離が近く気を使う。「ノーマスクを嫌がる人もいる。国が外していい状況を具体的に説明し、お墨付きを出してくれれば堂々とできるのに…」

 中区の男性(38)は国の見解が出た翌日にノーマスクで外出したが、「非常識なやつ」のような視線を感じて途中で断念。「人と違う行動をして浮くくらいなら、結局着けっぱなしが楽」との結論に至った。

 日本の国民性を指摘するのは福山市の会社員(41)。「横並び社会で先陣を切る勇気はない。マスクを外そう!と国がCMなどで呼びかけないと無理では」。庄原市の男性(55)も「田舎は1人で歩いている人ばかりなのに、誰もがマスク姿。右に倣えで思考停止しているように見える」と嘆く。西区の60代派遣社員は「3割くらいの人が外してようやく『じゃあ自分も』となるのが日本人」とみる。

 トラブルへの懸念もある。東区の女性(50)は自転車に乗っていたら、年配の男性からすれ違いざまに「マスク着けろ!」と怒鳴られた。「マスク警察がいる限り外せない」という。東区の会社員男性(25)も「『何でマスクしとらんのや』と絡まれるのが面倒。コロナより人が怖い」という。

 若い世代や女性は逆にマスクがなくなることへの不安が大きいようだ。ラインでも「素顔を見せることに抵抗がある」と答えたのは14%(29人)。広島県安芸太田町の女子学生(19)は「『マスク詐欺』と思われたくない」。外した時の顔に幻滅されるのが怖くて、運動の際も着けっぱなしにしているという。
 
 佐伯区の女性(40)は「ノーマスクは下着を履かずに外出しているのと同じ」と、マスクは「顔パンツ派」の一人だ。21歳の女子学生も「顔にコンプレックスがあるので、マスク生活のままでいい」。南区の主婦(45)も「人の目、化粧崩れ、色んなものから守ってくれる鎧です」と手放せない様子。

 結局、脱マスクは進まないのか。西区の会社員男性(45)は国の基準が曖昧と指摘しつつ「お上に『外していい』と決めてもらわないと動けないのは情けない。状況に応じて個々が物事を判断する力が、日本人には足りていないのでは」と問い掛けた。