「1個」からの卒業、比/単位の「1」という概念
算数は才能依存となる割合が高いが、教え方で習得速度/深度を上げられ中学受験に直結する概念。
それが「1個からの卒業、比/単位の1」だ。
まず具体例、流水算。
船の速さを〇、流れの速さを△とする。
速さの比は時間の逆比。
上り〇ー△:下り〇+△=1/10:1/8="8":"10"
(〇ー△)+(〇+△)="18"となり〇="9"、△="1"となる。
40km÷(〇+△)=40km÷"10"=10時間なので、"10"=時速5km
"1"=時速0.5kmで船の速さ〇="9"=時速4.5km。
中学受験ではこういう比の使い方は必須だが、比/単位の概念がわかってないと、この説明でぽかんとしてしまう。
流水算だけではない。
中学受験において半分くらいは比の問題と言って良い。
実際の受験問題を見ながら説明する。
2023の大妻の算数を見て欲しい。
1の(3)(4)、2,5,6,9で比を使う。
計算問題を除いた12問中6問で比を使っている。
計算問題も比/単位の概念が重要なのは以下の記事の通り。
算数が苦手な子は「1」を「1個」と捉える概念から抜け出せていない。
「1個」と比/単位としての「1」とで区別がついていない。
今井むつみ先生は赤ちゃんの言語習得を研究されている方でもある。
幼児は実際に存在する物の数を「1コ2コ」と数える所からスタートする。
この習得過程は間違ってないし変えようもない。
算数を学び始めると、最初の内はリンゴを1個2個と数えていくが、いつの間にか比/単位としての「1」に変わっていく。
才能がある子は勝手にこの概念を身につけていくが、そうではない子は混乱し、ずっと混同したまま算数や数学が苦手になる。
逆に言うと低学年から教える側が意識して明確に分けて説明することで、この概念の習得の速度/深度を上げることができるはず。
早めに比/単位としての1を理解出来れば、分数のわり算、旅人算、面積比、濃度、損益算、仕事算等々、中学受験で頻出の分野を理解する下地になるだろう。
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