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台風の夜

5年ほど前だったか、その日は台風が接近する予報だった。

ところが朝は曇りという感じで、雨すら降っておらず、そのような気配は感じられなかった。

そのため、いつもの通りバイクで出勤した。

ところが午後になると空が荒れ始めた。

夕方になると、雨風ともに強くなり、バイクでの帰宅は困難と判断して、地下鉄で帰宅することにした。

ただ、駐輪場のすぐそばには大きい川があり、これまでに見たことないぐらいに水位があがり始めた。
僕はバイクが氾濫した川にさらわれるのではないかとずっとハラハラしていた。

自宅に着き、玄関のドアを開けると信じられない光景が広がっていた。

全ての窓が全開で、雨が入り放題。そして、床一面が池のように浸水していた。

なぜこのような惨状になったか、それは当時の僕は外出時は換気のために窓を全開で出かけ、家にいる時は窓を閉める習慣にしていたからだった。

ダンボールの上に置いているパソコンは、ダンボールが水に浸ることにより、パソコンが床に落ち、電源が入らなくなっていた。

とりあえずパソコンは乾かすことにし、床はティッシュを大量に使って吸い出した。

豪快に床掃除ができたと思えばそんなに落ち込まずに済んだ。

次の日、パソコンは無事乾いて使えるようになった。

バイクもさらわれることはなかった。

それから今日に至るまで、外出時は晴れていても窓を開けることはなくなった。

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