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tetsukurite
蛋白質
いただきます
僕らは毎日のように
沢山の命を食べている
ゆで卵がひとつ
一羽の鶏が産んだ
夢と希望が詰まっていた
少し運が悪くて
命になる事が出来なかった
鮭が一切れ
沢山の卵の中で
幸運にも大人になれた
自分の腹に詰まった
小さな沢山の命を
幸せにしてあげる為に
故郷に向かっていた
人間に捕まって
子供たちも許されなかった
ステーキが一枚
食べられる為に産まれた
牛の最期の姿
美味しくなる為の
量の多い食事
運動出来ない厩舎
珍しく遠出をしたら
仲間が目の前で殺されていた
自分もまた
機械に殺された
しらす丼が1杯
ご飯の上に乗っている
沢山の小さな小さな命
大きくなったらイワシになって
沢山の仲間と海を泳ぐ
そんな夢を見ていたら
みんなで一緒に捕らわれた
仲間たちが食べられていく中
ほんの数匹
丼に残ってしまった
夢を叶えられず
食べられもせず
ゴミとして命を終えた
ごちそうさまでした
沢山の生き方
沢山の命
申し訳ないという気持ち
小さい時には思っていた
今はもう忘れてしまった
ただの蛋白質の塊
今日もいただきます