イーロン・マスクが世界の人口減少を嘆いているワケ
みなさんこんにちわ。
チャッコバと申します。普段Twitterでは自分が所有しているテスラのモデルXやテスラという企業を中心に株の失敗談や下ネタ・クソコラなど雑多につぶやいていますが、今回は新しいことに挑戦してみようと初めてnoteを書いてみました。まずは気楽に楽しもうということで内容としては最近読んだ本の読書感想文です。(小学生か笑)
そしてタイトルのとおり、完全にイーロンに乗っからせてもらいましたw
日頃の情報収集含め読書は好きなので今後も不定期で書こうかな、と思います。それでは前置きはこのくらいにして始めます。
唐突ですがクイズです。
現在の世界の人口は2021年現在で約7,846,000,000(78億5千万)人と言われていますが、2100年には一体何人になっているでしょうか?
A.160億人 B.110億人 C.70億人
答えに行く前にまずはこちらの作品を紹介します。
ダン・ブラウンの「インフェルノ」です。
ダヴィンチコードシリーズのひとつですがダンテの「神曲」に登場するインフェルノ(煉獄)をテーマにラングドン教授がフィレンツェの街を舞台に謎を解いていくサスペンスです。今回も宗教・芸術・最新科学が巧みに織り交ぜられ語られますが現代の問題として人類の人口が増えすぎていることが議題として登場し、それが壮大な物語が動くきっかけになっています。
なかなか面白いので映画も小説もオススメです。
世界の人口は増大していく一方なのでエネルギー問題や食糧問題が喫緊の課題。人類どうするの?という懸念が頭をよぎります。
次にこちらをご一読。2017年のイーロン・マスクのツイートから:
「世界の人口は崩壊に向かって突き進んでいるけど、ほんの少しの人しか心配していないか、もしくは気づいていない。」
と。
さらに今年に入って:
「人口崩壊(減少)についてもっと我々は心配すべきだ」
と大将が申しています。
とにかく人類の人口減少が心配な様子。
私はこの発言の内容にピンときませんでした。私の認識もラングドン教授と同様に、「世界の人口は発展途上国を中心に急速に増大していて、エネルギー問題や食糧問題が21世紀の課題であって、みんなSDGsに取り組んでいるのだよね?」でした。イーロンの発言には疑問符が湧きます。
そんな時にふと目に止まったのが今回読んだ「2050年世界人口大減少」です。
大減少とはなんぞや?というのが率直な思いでしたが読んでみました。
読んだ結果、今までの考えが変わりました。そして改めてイーロンすげえな。さすがちゃと勉強しているな〜と思いました。謎の上から目線
今回はこの本の内容についてサラっと解説します。
冒頭の質問
A.160億人 B.110億人 C.70億人
の答えは未だ不透明ですが、それぞれ国連の予測を示していて、それぞれ高位・中位・低位モデルと言われています。多め・中くらい・少なめの3つの予測ですね。
そしてこの本の著者はC.70億人の説を唱えています。
2050年、人類史上初めて、世界人口が減少する。
いったん減少に転じると、二度と増えることはない。
と言い切っています。
え?減るわけないでしょ?だって中国とかインドとかどんどん人口増えているんでしょ?アフリカや中東諸国も子だくさんだし。と言いたくなります。
しかし著者らはいくつかの国をまわりフィールドワーク、つまり若い男女の実際の意見や現地での生活を垣間見ることであらゆる地域で教育の機会と情報に接する手段を手に入れた女性は子供の数を減らしていく、と確信します。
原因と対策は?
キーワードは3つです。
都市化
女性の社会進出
移民
それぞれ解説します。
都市化
世界は急速に都市化していて、1950年には、都市に住む人口は世界の30%しかいなかったが、2007年、人類の歴史上初めて、世界全体で都市人口の比率が地方人口を上回ったそうです。(出典:https://population.un.org/wup/)
2050年までには全人類の2/3が都市に住むようになり、100年前の逆になるとの予測がなされています。
これは産業が第一次(農林水産業)から第二次(工業)そして第三次(商業)へ進む流れが加速することを意味し、人々は都市へ集まり、子供を産むことが資産から負債へ変わることを意味します。人の手が必要な時は子供は資産ですが、都市に集まり学歴が必要になり、教育にかける資金が必要となれば負債となる、という見方です。
現在の世界のメガシティ(都市圏の総人口が1000万人を超える都市)のランキングは以下です。(単位は100万人)
1位…東京(38.1)
2位…デリー(26.5)
3位…上海(24.5)
4位…ムンバイ(21.4)
5位…サンパウロ(21.3)
6位…北京(21.2)
7位…メキシコシティ(21.2)
8位…大阪(20.3)
9位…カイロ(19.1)
10位…ニューヨーク〜ニューアーク(18.6)
先進国の都市は3つしかなく、うち2つは日本。そして日本は2016年以降人口が減り始めています。日本は世界トップクラスに都市化が進んでいる国であるのも偶然ではありません。都市化は人口減少を引き起こすのです。
女性の社会進出
これはもはや自明ですが過去の世代より大学などへの進学率が上がり、さらに就職を経てから結婚すれば男女共におのずと過去の世代より結婚する年齢は遅くなります。結果として出産する年齢は過去に比べ遅くなります。女性には妊娠・出産の適齢があるため(最近のリプロダクション医療の進歩により高齢出産の危険性は下がりましたが)結婚する年齢が上がれば出産できる子供の数は減る傾向にあります。
ここで個人的な話を挟みますが私チャッコバも結婚したのは31歳でした。妻は同い年。結婚後、子宝になかなか恵まれず、リプロダクション治療(いわゆる不妊治療)のお世話になりました。なかなか苦しかったですが(もちろん妻が一番苦しかったです)努力と運により結婚してから3年後に長男を授かりました。本当に幸運としか言えない出来事で今でもクリニックで受精卵が着床した画像を見せてもらった時の感動は覚えています。その後コロナ禍中に次男も自然妊娠で授かりました。
私は女性は産む機械などと言うつもりはまったくありませんし、人口維持のために女性はキャリアを捨てて若いうちから子供を産め、と言うつもりも全くありません。女性が教育を受ける機会を得て社会に進出することが正しいと100%思います。ジェンダー論やフェミニズムまで本稿では立ち入りません。(知見も持ち合わせていません)ただリプロに苦しんだ立場からするとリスクは正しく把握した上でもし産みたい場合はできるだけ早く取り組むことをお勧めします。
話を戻すと、女性はネットなどで情報に触れ、教育を受けることでたとえ発展途上国における古い文化(家父長制など)にあっても自由に生きる機会への道筋を知ることができ、目指すことができます。結果として今までは若いうちから結婚し・させられ、子供を産んでいたとしてもキャリアを築くことでその出生率は減ります。それは決して悪ではなく、あくまで自由に選択することができるようになることが人類にとって正しい道である、というのが本書の立ち位置です。(私も同感です)
では少子高齢化によって先進国はすべて自壊・衰退するのか?その答えが次のキーワードです。
移民
移民といえばアメリカです。人種のるつぼとして建国以来移民を大量に受け入れ(そもそも建国自体が入植者によるもの)そしてその移民の能力、あるいは上昇志向を原動力にのし上がった国。自由競争を求め今も多くの移民・難民が目指す国。一方で反作用として未だに人種間の軋轢に悩み、今日も水面化では差別や階級が残ります。国境に壁を作ろうとした大統領が生まれたのも記憶に新しいです。
アメリカは白人(コーカソイド系)がマジョリティですが50年後には過半数を割ると言われています。ラテン系・アフリカ系・アジア系の合計が上回ります。このあたりが壁を築こうとした要因と言えそうです。
ただ、現在アメリカにやってくる移民の15%が単一の人種に分類できないミックスだと言われており既に人種の境界線が曖昧になりつつあるのも事実のようです。
さらに、移民は元の国がたとえ高出生率だとしても、行った先の国に適応し高い教育に接することで出生率が下がることがわかっています。
要は移民を受け入れる=元のマジョリティが脅かされるとは限らず、さらに言えばマジョリティという概念自体が曖昧になっていくことは不可避と言うことです。
先進国となれば少子化に至ることは避けられないため移民を受け入れて労働力を補完しなければならない、というのが著者の意見です。そして移民というのは最底辺から這い上がる者もいれば、現地の平均より高い学力の者もいるのです。その原動力はアメリカ自身が最もよくわかっているはずだ、とも。
先進国の少子化による人口減退は移民受け入れによって(一時的にであるにせよ)補完せざるを得ません。なぜなら一度「都市化」し「女性が自由を得れば」少子化に至り、元の人口構成には戻らないからです。
ちなみに著者のひとりであるジョン・イビットソンはカナダのジャーナリストで本書でもアメリカに勝るとも劣らないカナダの移民の歴史と政策に深く踏み込んでいますが本稿では割愛します。ぜひご一読ください。言うまでもありませんがイーロン・マスクは南ア→カナダを経てアメリカ人になった移民一世です。
まとめ
強引にまとめます。
世界各国は経済的に成長するにつれ都市化し、同時に女性が旧来の価値観から自由になる。そして少子化に至る。急激に少子化に至ることで急減した労働力は発展途上国からの移民を受け入れることで補完するしかない。
日本人が移民と聞くと最近の入管における非人道的なふるまいからも見るように、ネガティブな見方が強いと思います。NIMBY的な側面も否定できません。しかしもう人口が減り始めたこの国は動かなければなりません。
本書によると人口の90%が単一民族な国はハンガリーと日本だけだそうです。そしていずれも移民受け入れに消極的であると。それが果たして21世紀の間も続くのかは我々や次の世代にかかっていると言えます。
そして子だくさんパパ、イーロン・マスクの心配
あれ?移民受け入れればOK、となってもやがてその移民も出生率が減り、世界のどこからも出生率の高い途上国がなくなったら人類はどうなるの?というのが冒頭のイーロンの心配につながります。
つまり人類があらゆる叡智(Web3.0、DX、SDGs、など)によって(ある程度の)富の均衡がなされたとき、全世界の出生率が2.1を切ったらどうするの?人類は萎んでいく一方なの?(自然死以外の事故死など起こるため人口維持にはひと夫婦あたり2人ではなく最低2.1人の子供が必要と言われています。)
どこからも移民が来なくなった時こそ人類が本当に人口減少と向き合う必要があり、そしてイーロンが心配している点だと思われます。子供を産むことが人手をまかなうためでもなく、学歴社会を勝ち抜き富を築くためでもなくなった時に人類はどうするのか、今から考えておかねば火星に入植する頭数がいなくなる、と懸念しているように私には見えます。(なお、イーロン自身は最初の奥さんとの間に五人の子供がいて、三人目の奥さんとも2人、合計7人の子だくさん!)
最後に
ここまで読んでいただきありがとうございました。感想文なので最後は感想です。
私自身、幼少期にアメリカに8年くらい暮らしたこともあり、移民の真似事のような体験はしました。差別のような体験もありました。しかしその時の経験が自分のアイデンティティに強く影響を与えたと思います。移民は確かに言葉も通じないし、文化・思想も異なるし、食べ物も匂いも違う、よそ者です。しかし彼らは母国を捨て(あるいは一時的かもしれませんが)我々の国に覚悟を持ってやってきたのです。犯罪目的なのは論外ですが、生計を立てるために来た以上、迎えるのが同じ人間としての義務だと私は思います。人類皆兄弟とは言いませんが、仲間にはなれるはずです。今日も公園で息子たちと遊びましたが、南アジア系の親子さんと出会いました。子供同士はまったく警戒もせず仲良くなれるようです。願わくば我々の次の世代になる頃にはこの日本特有のムラ社会が少しでも解消されていればと思います。そのチカラがより良い社会を築くことになるはずです。おおきくまとめたな〜
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おわり