わざとじゃなくて ぶつかっちゃう人
最近ツイッターで「女の人にわざとぶつかる男性がいる」という話題をよく目にします。動画もタイムラインに流れてたりして、それは「気のせい」では無い事は明らかです。
でもこのタイミングでどうしても言っておきたい事があります。
今日は、「よく人にぶつかってしまったり、足を踏んづけてる事に気づけない」自閉症の人の感覚鈍麻のお話し。
数日前のNote↓↓↓で自閉症の人の感覚過敏には少し触れましたが、
今日はそれとは逆に「他の人が当たり前に感じられる感覚を感じられない辛さ」についてです。
聴覚、触覚、視覚…こういった誰もが知っている感覚以外に、体の位置を知ったりそれをコントロールする為の「固有覚」という感覚が関節や筋肉で感じ取られています。これの感覚をうまく感じ取れないという事は、”自分の体の全体図(ボディイメージ)”をうまく把握できにくいという事なんですよね。
例えば朝起きたばかりだと、体がぼぅ~っとしててどこかに足をぶつけたりって経験が増えますよね。
それは、自分の体がどこまであって、どんな風に動いているのかをうまく把握できていないからなんですよね。
自閉症の人などには、感覚の問題を抱える人が多く、こういった「固有感覚」の感じられなさもその一つ。この固有感覚鈍麻は、日常生活の中のちょっとしたことが大変になったり、他の人とトラブルを起こす原因になったりもするんですよね。
例えば、
● 人や物にたびたびぶつかる、さらに、ぶつかった事にも気づいていない。
● 列に並ぶ時、必要以上に他の人にくっついて並ぶ。
● 歩くとき、周りにある物(壁など)を触りながら歩く。
● 飲み物をやかんから注ぐと、勢いよく注ぎすぎこぼしてしまう。
● スナックの袋を開ける時、力いっぱい開封して、中身が散乱してしまう。
● 鉛筆や洋服や爪ををかむ。
● 硬い食べ物が好き。
● 歯を食いしばったり歯ぎしりで歯が削れて小さくなっている。
● 自分で自分をたたいてしまう。
● 人を呼ぶ時に、肩にとんとんとする場合、力が強すぎる。
● ハイタッチ、握手が強すぎる。
● 筆圧が濃く芯をよく折る、消しゴムで消す時に力が強すぎて紙を破いてしまう。
● キャッチボールの時、近くに相手がいるのに、力任せに投げてしまう。
● 授業中など椅子に座っているとき、椅子を前後にロッキングする。
● 歩くとき、必要以上にどしどし音を立てるように歩く
● きつめの洋服が好き。
● 人の絵を描いたとき、ある体のパーツ(例えば腕や足)を描かない。
● 手足を動かす時、それらを見ながらでないとうまく動かせない。
例えばあなたがミッキーマウス等の着ぐるみを着て街を歩いてみる事を想像してみてください。きっと普段より人や物とぶつかる回数が増えると思いますし、着ぐるみの大きな靴の先で誰かの足を踏んづけててもそれに気づけないと思います。それは、あなたの体の一部である着ぐるみがどこまであるのか把握が難しいからであって、こういう事が自閉症などの固有感覚鈍麻の人には日常的に起こってるんですよね。
決して意図的にぶつかってるんじゃないし、「ぶつかったのに謝らない」事に対してもぶつかった事に気づいていないから謝らなかったのかもしれません。もちろん、意図的に自分より弱い人にぶつかって行くことは断じて許されることではありませんし、意図的ではなくともぶつかったことを指摘された時に謝罪しないのも許される事ではないとは思いますが、
こんな風に意図的ではない(だからぶつかる相手も様々です)、指摘されるまでぶつかった事に気づけない人の存在も知ってもらえたらなと思い今日のNoteに書きました。
固有感覚鈍麻の改善のアイデアなど下記のブログにまとめてあります。
興味あるかた、ぜひ読んでみてくださいね!