クリスマスゴスペルソング「Joy to the World」の深掘り - 4.歌詞③-
ホイットニー・ヒューストンのゴスペルソング「Joy to the World」の歌詞を、前回に引き続き深堀りしていこうと思います。
Joy to the Worldについては今回が最終回。曲調がガラッと変わる、中盤のソロの部分を見ていきます。
【今回深堀りする歌詞】
(sing) Joy to the world for the savior reigns
And makes His blessings flow
Joyful all ye nations rise
Join the triumphof the skies
With anfelic hosts proclaim
Glory to the King
While the angels sing
一つずつ、ゆっくり見ていきましょう。
歌詞の和訳
(sing) Joy to the world for the savior reigns
喜びを世界中に 救い主が統治される
And makes His blessings flow
そして祝福を注いでくださる
Joyful all ye nations rise
喜びをもって すべての民よ
Join the triumph of the skies
天の勝利に加わろう
With angelic hosts proclaim
天使の群れは宣言する
Glory to the King
王に栄光あれと
While the angels sing
天使たちの歌にのせて
歌詞の豆知識:「Hark! The Herald Angels Sing(天には栄え)」の歌詞を引用
まずはこちらの動画、特に43秒~1分22秒の部分に注目して聴いていただきたい。
今回紹介しているJoy To The Worldの歌詞とほぼ同じなのである。この曲は「Hark! The Herald Angels Sing(天には栄え)」というクリスマスソング。クリスマスソングにクリスマスソングを被せて、よりクリスマス感が増しますね!
ちょっと違いますが、椎名林檎の「長く短い祭」を初めて聞いた時、東京事変時代の「能動的三分間」のワンフレーズが出てきた興奮と近いものを感じます。(動画3:47あたり)
歌詞のイメージ:大勢の天使たちが、喜び歌い伝える
angelicやangelsなど、このパートで初めて「天使」が出てきます。聖書の原語(新約聖書はギリシャ語)で天使は「ἄγγελος(アンゲロス)」で、使者、伝令といった意味があります。天使は神様のメッセンジャーなのです。マリアに受胎を告知したり、羊飼いにキリストの誕生を知らせたのも天使です。メッセンジャーの役割を果たしていますね。
また、羊飼いに知らせた際、おびただしい数の天使が神様を賛美しました。今回の歌詞の「With angelic hosts proclaim ~」と続く部分でその場面を表現しています。そしてクワイアは「hosts proclaim」の部分から、ハミングが歌に切り替わり盛り上がっていきます。メッセンジャーである天使が大勢、キリストの誕生を喜び歌い伝える、そんな情景をイメージしながら聴いたり歌ったりすると、表現の幅が広がるのではないでしょうか。
英語の深掘り:「ye」は古い英語で「汝(なんじ)ら」
「Joyful all ye nations rise」の「ye」って、聞きなれない単語ですよね。これ、日本語にすると「汝(なんじ)らは」。400年ほど前まで使われていた古い英語ですが、アイルランドなど一部の地域では現在も使われているそうです。
ちなみに単数形は「thou」で「汝(なんじ)」。こちらは頭を大文字にして、神様を表す言葉として用いられることがゴスペルの歌詞で多々あります。天使にラブソングを2でおなじみのJoyfull Joyfllでは冒頭で「Joyfull Joyfull Lord we adore Thee」とthouの目的格(Iでいうme)の「thee」が使われていたり、色んな楽曲で「神の御名」を「Thy name」と、thouの所有格(Iでいうmy)の「thy」が使われたりしています。意識してみるとゴスペルでよく遭遇する単語だと思うので、チェックしてみてください。
今回でJoy to the Worldの歌詞の深掘りは終了です。ゴスペルは歌詞が英語ということもあり、日本人は何となく歌ってしまうことが多いと思います。しかし、ひとつひとつ歌詞を見ていくと新たな気づきがあると思うので、ぜひイメージの膨らませ方や感情の込め方など、表現の参考にしてみてください。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
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